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第32話 1人前

今日はジャックさんと一緒に討伐依頼をこなしている。

討伐対象はボアだ。直線的な突進しかしないため冒険初心者でも狩りやすい。今日は1人で狩ってみろと言わのでれたので1人でボアの前に立つ。実際はヤエがいるので正確には1人ではないけど。


 ブモォォォ!!!


ボアが雄叫びと共に一直線に突進してくる。ボアを討伐するの初めてではない。何度か見ている光景なので対応方法は分かっている。単純に射線上からサッとズレるだけで突進を躱せる。


突進を躱すと同時に矢を番え、魔力を練る。矢が敵に当たると同時に風魔法が相手を切り裂くイメージを込める。


「食らえ、ウィンドボム!」


ピギィィ!


突進が終わり、振り向く直前に後ろ足の腿の裏側に矢が当たり、それと同時に風魔法が発動。ボアの後ろ足をズタズタに切り裂く・・・と言いたいが悲しいかな。まだまだ弓術も風魔法のレベルも高くないので、ズタズタと言うほどではない。ボアはまだ動ける。そして再度突進してくる。足にダメージを与えたので最初の突進より全然勢いがない。


「ヤエ、糸で顔を覆え!」


この程度の突進の勢いならヤエの糸は的を外さない。ボアの顔が糸で覆われる。ボアは糸を嫌がり木や地面に顔を擦り付けて糸を取ろうとする。ヤエの糸は本来自分より小さい虫などを、捕食するためのもの。ボアの顔を覆ったところで10秒程度の時間稼ぎにしかならない。

だがオレはその10秒が欲しかった。

たっぷり魔力を練り、矢を魔力で作る。風魔法の矢。貫通力を強化するイメージで矢を生成する。

ボアが再度こちらに向かって突進しようとした瞬間、


「ウィンドアロー!」


魔法の矢がボアの額を打ち抜き絶命する。余裕で倒せたようだ。

後ろからパチパチパチと拍手する音が聞こえる。


『大したものです。しかし、最初からウィンドアローを当てられたのでは?』


ジャックさんの言う通りだ。あれだけ単純な突進なら、魔力を練りながら躱すことも容易かった。だけど・・・

「ヤエに経験を積ませたかったんですよ。今のでレベルアップしたみたいですし」


『なるほどな。従魔に経験を積ませるほど余裕があったわけですね。では私の手助けはもういらないでしょう』


あ、そうくるか。ジャックさんに寄生できてたから安全が確保できてたけど、Lv10になったしそろそろ何か言われそうな予感はしてたんだよ。


「えー、そんなことないですよージャックさんのような優秀な先輩がいないと怖くて討伐依頼こなせないですー」


『ここまで心がこもっていない言葉も珍しい。もう少し付き合ってあげたかったのですが、最近新人冒険者が何組か入ってきたようでして、危なっかしくて見てられない新人が何人かいるのですよ。

どうです?ガレス君も先輩冒険者として指導しますか?』


「遠慮しておきます。自分のことで手一杯なんで」


『そうですか。 

・・・本当に困ったことがあったら言ってくださいね』


「そうさせてもらいます。つーか、マジでお人好しっすね、ジャックさん」


『そんなことないですよ。自分が新人の時に受けた先輩方々からの言いつけを守ってるだけですよ。さて、さっさと解体しますか』


「了解です」


・・・・・・


ー 冒険者ギルド ー


『・・・はい、確かにボアの討伐依頼完了です。ジャックさん、ガレス君、こちらが報酬となります。』


ニーナからジャックさんと一緒に報酬を受け取る。

するとジャックさんが報酬のほとんどをオレに渡し別れの言葉を告げる。


『今日は私は何もしてません。解体分の報酬だけ貰います。ではガレス君、先ほど言った通り、私の助けを必要としないくらい君は強くなりました。一緒に依頼を受ける機会は少なくなると思いますが、活躍を期待しているので頑張ってください。では。』


「はい、今までありがとうございました」


間近で見ていたニーナがオレに話しかけてくる。

『ジャックさんに認められたみたいね、ガレス』


「まぁね・・・あのさ、ニーナに話があるんだけど仕事終わってから時間ある?」


『あるわよ』


すると横からすかさずシスティーナさんのツッコミが入る。

『いいなー、私も彼氏欲しい!そしてアンタたちみたいに夜を共にしたい!』


「システィーナさん、今聞いてました?話したいことがあるって言っただけですよ」


『システィに何言っても無駄よ。とりあえずもうすぐ終わるから待ってて』


やれやれ・・・





ー 某宿屋の1室にて ー


『あっ、あっ、あっ、いい!もうイキそう♡』


「・・・ニーナ、オレの話聞いてた?話したい事があるって言ったよね」


『うん、聞いてた。あ〜〜〜っ!

もうすぐイクから、あっぅ!イッてから聞く、ね♡』


やれやれ・・・


・・・・・・



事を終えてオレはニーナと一緒にベッドの中にいた。腕枕をしてあげている状態だ。


「話なんだけどさ、ジャックさんはどうやらオレを1人前として認めてくれたらしい。だから今後はオレより弱い新人冒険者の世話を焼くだろうね」


『ジャックさんならそうするでしょうね』


「ソロでの活動は危険が増す。だからね最近お金貯まってきたし、今度奴隷商に行って奴隷を見てこようと思う」


『・・・もともとそのつもりではあったけど、はっきり言われるとちょっと複雑ね。もう少し恋人気分を味わっていたかったかな』


「必ず奴隷を買うわけじゃないよ。いい人材がいなければ買わないし」


『様子見って感じ?』


「そんな感じ」


『奴隷を買っても私を愛してね』


「ああ、分かっている」


夜の帝王(エロスキル)なら4〜5人は余裕で愛せるから問題ないな

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