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第25話 告白(ニーナside)

冒険者ギルドの朝は忙しい。

どの依頼を受けるか、指名でもない限り早いもの勝ちだからギルドの始業と同時に依頼受付のラッシュが始まる。そして忙しい状態が2〜3時間続くと、夕方の依頼達成報告ラッシュまで比較的暇になる。

今は丁度朝の忙しい時間帯が過ぎたところだ。

そんな折、声をかけられた。


『おはよう、ニーナ』


「ジャックさん、おはようございます。今日は休日だと伺っていましたけど何かありましたか?」


この人はジャックさんと言って珍しくソロで活動しているBランク冒険者だ。ソロといっても依頼の大半は野良パーティを組んでこなしている。おおよそ、自分よりランクの低い冒険者とパーティーを組んで、色々と後輩冒険者の世話を焼いているようだ。本人は否定しているが、超がつくほどのお人好し冒険者だ。

そんなジャックさんが心配そうな顔で受付まできた。


『ちょっと気になったんだけどね、今日、クルセイダーは何か依頼を受けたのかい?』


・・・何で私に聞くかな?

あいつ等には恨みしかないし、興味もないから依頼状況なんて把握してないわよ。


「知りませんよ。あんな奴らのことなんて。何でそんな事聞くんですか?」


『クルセイダーの連中、性格悪そうなニヤけ面して君の彼氏を追い掛けて行ったからね』


・・・ふーん、どうやら私の知らないところで私には恋人が出来ていたらしいわ。


「私の彼氏って誰ですか?」


『ガレスって聞いてるけど、、、違うのか?』


「不思議なことに私も初耳です」


さてと、犯人は分かっている。


「システィーナ!!!

こういう恋愛絡みの戯言はアンタのせいでしょ!」


『ちょっと!何も確かめないで噂の出どころが私だって決めつけるのはヒドくない!?』


「じゃぁ違うのね?」


『いや、私だけどさ♪

ぉっと!!ちょっと、今グーだったわよ』


チッ躱された。

次の瞬間、筋肉(ギルドマスター)が私とシスティの間に入る。


『おい、じゃれ合うのはそのくらいにしておけ、ジャックの言う通りだとすると状況は良くない。

ガレスは未だにレベル1だったよな?下手したら死にかねんぞ』


「でもガレス君、今日は珍しくパーティーを組んでましたから多少はマシかと。。。」


そう、ガレス君は珍しくパーティー組んでいたし、珍しく討伐依頼を受けていたからよく覚えている。

するとジャックさんが更に心配そうな顔で口を開く。


『ガレスとパーティーを組んでたのは王都から来た田中とかいう奴だろ?

昨日クルセイダーのメンバーと酒場で仲良く酒を飲んでいたぞ』


私に近づこうとする男を排除しようとしてるのは確実ね。以前は感情のままにギルド内で私の彼氏を血祭りにあげて問題になったから、今回は依頼失敗に見せかけるように他の冒険者を使って誘い出したのね。本当にあいつ等はクズの集まりね。


ギルドマスターが面倒くさそうな顔で溜息をつく。

『バァ、これは確定だろ。

あのバカども(クルセイダー)はどれだけトラブルを増やせば気が済むのか。。。

おい、ジャック。休みところ悪いが出れるか?』


『事情が事情だけに仕方ないですね。何人か暇な奴を連れて・・・』


『大丈夫、大丈夫、ガレス君なら問題ないですよ』


システィ、アンタのせいで面倒なことになってるって自覚ある?大丈夫なわけないでしょ。


『だってガレス君、帰ってきましたよ、ボラ』


システィが指を指す先に、ギルドの入り口でキョロキョロしているガレス君の姿があった。

そして私を見つけるとちょっと困った顔で私のところに寄ってきた。


『ニーナさん、ちょっと相談したいことがあるんです。あまり大きな声で言えないと言うか、何と言うか・・・』


『愛の告白かしら♡グフぅ!』


とりあえずシスティは殴って黙らせる。

するとガレス君が小さく手招きして顔を寄せてくる。ヒソヒソ話をしたいのかな?

そう思って顔を寄せると・・・


『あのですね、とても言いにくいのですが・・・クルセイダーのメンバーを皆殺ししちゃったんですけど、どうしたらいいですかね?』


「・・・は?」


私は愛の告白より衝撃的な告白を受けるのであった。


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