第19話 火種(天使side)
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天使の本質は正義である。
正しいことを成す。天使はそう思い行動する。しかし、必ずしも正しい結果になるとは限らない。
正しい結果を求めるあまり、正しくない行動を取ることもある。
プライドが高く自身の正義を疑わない天使は得てしてそうなりやすい。
その天使が正義の体現者と成りうるか否か、天使の試験はそれを判断する一つの指標でもある。
と、いうような事を神様が言ってた気がするけど、目の前で騒いでいる天使はそのありがたいお言葉を覚えていないのかしらね。
目の前で王都に転生者を送った天使同士で争ってる。転生者が多いと依頼の取り合いになるからどこか行けとギャーギャー騒いでいる。
まるで縄張り争いだわ、
しかも騒いでいる片方の天使は私と因縁がある天使だ。
騒いでいない方は気が弱そうだな。
・・・はぁ。仕方ない仲裁するか。
「ちょっと五月蝿いのだけど」
『アンタはNo.4 !?
・・・前回の試験も失敗して、遂にナンバーが1桁台に突入したあなたが何の用かしら?』
「あら?
その1桁台の天使の転生者に、自分の転生者を皆殺しにされて見事に試験に失敗したNo.103じゃない。無駄に元気そうで何よりだわ」
そう、コイツは前回の試験で称号「シリアルキラー」を獲得してしまった私の転生者をいち早く狩ろうとして、ものの見事に失敗したのだ。
ご丁寧に神託を下して自分の転生者を全員集めたものだからその時点で試験に失敗。何気に試験最速失敗記録保持者はコイツだったりする。
もし「シリアルキラー」を狩っていれば天使→大天使の最速昇格記録となっていたはずだから、その誘惑に勝てずコッチの力量を見誤ったのだろう。自業自得だ。
ちなみに、試験失敗記録の2位は私なんだけど。
『チッ、相変わらず口と性格が悪いわね』
「それはお互い様でしょう。
でもアナタほど厚顔無恥ではないわ。こんな公衆の面前で動物のような縄張り争いは出来ないもの。」
『クッ!・・・』
まわりの冷ややかな目に気付いたようね。まわりの目が気になるなら言い争いなんてしなければいいのに。。。
『アンタは絶対に許さないから、覚えておきなさい!』
おぉ、悪役の決めゼリフ「覚えておきなさい」だ。今のセリフは言われてちょっと嬉しかった。
なんて、くだらないことを考えてたら話しかけられた。
『あの、助けていただいてありがとうございます』
「どういたしまして」
『今度お礼も兼ねてお茶でもしませんか、1桁台の方と初めて会ったのでお話聞きたいです』
「別に構わないわよ、話せるのは失敗談ばかりだけどね。
私も王都の情報を知りたいから話を聞かせてほしいわ。天使の力で監視はできるけど、聞いたほうが早いから」
『はい、喜んで!』
1桁台を好意的とらえる天使がいるとは、このコ天然かな。
あれ?久しぶりに誰かとお茶するかも。。。
ボッチなんかじゃないんだからね!




