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Grand menu  作者: 武上 渓
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Grand menu

10人程が入れるカラオケルーム。壁の一方がプロジェクションの大画面になっている。

窓を扉で塞いであり、風で真ん中が膨らみ開いてしまう。新入社員のナツが定期的に押さえに行く。

「三上さん!この歌誰っすか?」

「レッドツェッペリンだ」

「良い歌っすね~演奏停止しま~す」

主任の岩屋がリモコンで三上の歌を止める。

「良かった。トイレに行ってくる」

三上はカバンを持つて出て、そのままカウンターに行く。

「店長。Aルームの会計はこれで。お釣はやるよ。足りなかったら電話してくれ。払いに来る」

接待常連の三上係長に、店長は黙って一万円を受け取る。


タクシーを降りて、アパートの手すりを持って階段を上がる。妻は随分前に子供たちと出て行った。

ガタガタと扉を開け、電灯も付けずに万年床が有るはずの場所にダイブする。


カーテン越しに日曜の朝が開けた事が判る。天気は良さそうだ。

ガタン

と扉の郵便受けで音がする。

三上はゴミの海を砕氷船のように這って玄関まで行く。

「エアメール?」

英語が羅列されている。

封筒を開けても英文が連なっている。

三上はスクショを撮って、英語が判る高橋に送った。ー新手の詐欺か?とコメを付ける。

10分で返信が来た。

「こいつはヤベーぞ」


三上はジョージア州ジョーンズクリークをアトランタアスレチックに向かって、レンタカーのムスタングを走らせていた。崖の有るカーブに車を止めると、花束を3つ崖下に投げた。Grandmenuと言うバンドのボーカルだった時、この崖下に落ち。ドラムとベースとギターが永遠の眠りについた。


アトランタアスレチックの18番ホールのグリーン一帯がフェス会場になっている。

三上は観客席になっているフェアウェイ上で、セキュリティーにエアメールを見せた。

主催者が現れ、丁寧にステージ裏に案内される。

「スケジュールは19時30分。歌っていただけますか?ミスターミカミ?」

「バンドはみんな死にました。もう20年も歌ってない」

「バンドは練習して、完璧にあなたの歌をサポートできます。観客はみんなあなたの歌は歌えます。あなたもすぐ思い出すでしょう」

「なぜ?そこまでしてもらえるんでしょうか?」

主催者はハニカンデ笑って言った。

「Grandmenuは。私達にとって、神なんです」


ショートストーリーGrandmenu完結





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