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飛行機雲が通り去ったあとを、とんびがまわっていく。
ぴぃひょろろと、遠く鳴り響く。
飛行機雲が通り去ったあとを、とんびがまわっていく。
カラスの群れがちらほらと山をかすめたあたり。
靴越しに感じる、夜露と草と石ころと土との足ざわり。
はるかに望む山際を背に
佇む直線の、影法師たちを迎えに。
散り散りの雲たちが
弧を描いて落ちていった、その向かい。
夕凪広がる水平線の先。
嫩緑照らす地平線の彼方。
落ち行く黒紫の緞帳の、
虫食いの、きらめきを眺め。
浮びあがる、きれながの。
綺羅々々しき、陽の裏側。
おもだるい凪と、間の空いた黒紫色の、立ち込めた空。
濁った青は、月が皓々と映えて。
ほしあかりがぽつぽつと、帳をむしばんで。
きらきらと照らして。
澄んだ空気が、肺腑を浚っていった。
宵待月。