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【書籍化】すべてを奪われた少女は隣国にて返り咲く  作者: 狭山ひびき
第一部 街角パン屋の訳あり娘

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成婚パレード 2

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「お父さん、サンドイッチがもうないわ」


 パン屋ポルポルの店番をしていたサーラは、今日限定で並べているサンドイッチの残りが少ないことに気がつくと、奥で作業しているアドルフに声をかけた。


「おや、もうかい?」

「うん。すごい売れ行きよ。サンドイッチだけじゃなくてパンもね!」

「それは嬉しいけど、目が回りそうだよ」


 アドルフの苦笑をにじませた声が奥からして、「サンドイッチはグレースに頼んでおくよ」と返答があった。

 今日限定のサンドイッチは、グレースが作成しているのだ。


 今日は、第一王子セザールと、隣国ディエリエ国の公爵令嬢レナエル・シャミナードの成婚パレードがある。

 下町の大通りもパレードの対象になっていて、パレードがはじまるのは昼過ぎだと言うのに、朝から場所取りのために大通りには人がごった返していた。

 今日のために休む店も少なくなく、リジーのところの菓子屋パレットもそれだ。

 リジーに再三誘われたが、サーラは成婚パレードを見に行くつもりはなく、両親も同じだったため、ポルポルは店を閉めることなく営業していた。


 おかげで、朝からひっきりなしに客が来てはパンを買っていく。

 パレードを見るために大通りに張り付いている人のために、本日限定のサンドイッチを作ってみたが、これがまた飛ぶように売れるのだ。カフェかレストランで食べようにも大半の店が閉まっているからだろう。

 ちなみに市民警察に勤めているシャルは警備に駆り出されていて、自分と同僚のために、大量のサンドイッチを抱えて行った。あのあたりからも口コミが広がっていそうである。


「飲み物をもらえるかい?」


 会計のために並んでいた客が言う。


「冷ました紅茶ならすぐに用意できますけど、それでもいいですか?」


 普段は誰もいない飲食スペースにも、常に人が座っていた。

 それでも足りないので店の外には椅子を並べてあるが、その椅子すら足りなくて、立って食べている人もいた。


「サーラさん、お茶は私が対応しましょう」


 パンと、それからお茶のお金を受け取って、慌ただしく準備をしようとしたサーラに、パン出しをしてくれていた花柄エプロンの紳士が振り返って穏やかに微笑む。

ブノアである。


 何故彼がここにいるのかと言えば、話は二日前にさかのぼる――





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