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【書籍化】すべてを奪われた少女は隣国にて返り咲く  作者: 狭山ひびき
後日談

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王太子夫妻のお忍び 2

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 午後になって、サーラはウォレスとともに馬車で下町の邸へ向かった。

 同行者はブノアとマルセル、そしてベレニスの三人だ。

 ブノアは第二王子付きの侍従長から王太子付きの侍従長になった。仕える相手は同じだが、呼び方が変わるだけで仕事量も格段に増える。ゆえに非常に忙しいはずなのだが……、にこにこと、何故か昔愛用していた花柄エプロンまで身に着けてお忍びに同行するブノアを見ていると、あまり忙しそうに見えないのが不思議だった。


(というか、パン屋の手伝いじゃないんだから、花柄エプロンを身に着ける必要はどこにもないと思うのよね?)


 あのエプロン、気に入っているのだろうか?

 もしかしたら下町に戻ることになるかもしれないと残しておいたパン屋ポルポルは、サーラがウォレスに嫁ぐことが決まり、アドルフが伯爵の位を受け取ったため、正式に閉店することになった。リジーの手紙によると、近く新しい人が入るらしい。次はパン屋ではなくて雑貨屋になるそうだ。


(店主が独身でそこそこイケメンだったって書いてあったわね)


 相変わらず面食いなリジーである。

 そろそろ結婚相手を決めろと両親にせっつかれているようだが、近所の男は嫌だと逃げ回っているという。誰かいないのと訊かれたが、現在のサーラが紹介できそうなのは貴族もしくは貴族に縁のある人間になると言えば、さすがに貴族は無理、とリジーに断られた。


 ――お金持ちは大歓迎だけど、あたしに貴族の奥さんとかぜーったいに無理!


 リジーはそう言うが、順応性があるので意外と大丈夫ではないかと思ったサーラである。

 しかし、下級であっても貴族に嫁げば、今のように噂話を探して歩き回ることはできなくなるだろうから、リジーの方がストレスが溜まりそうだ。


(うん、リジーは下町でのんびりしているのがあってるね)


 礼儀作法だルールだなんだと窮屈な生活は向かないだろう。

 面白いことがあっても大笑いしてはダメだとか意味がわからないと言っていた。「おほほほ」なんて笑ったうちには入らないそうだ。

歯を見せて笑ってはいけませんなんて、心の底から笑えば普通に歯が出るだろうそれは笑顔とは言わない、なんて手紙に書いてあったのを見たときは思わず噴き出したものである。


 ――お妃様って大変だねー。あたしは近くにいてあげられないけどさ、愚痴くらいはいつでも聞くからね!


 王太子妃になっても変わらず友だちでいてくれるリジーに、サーラが心の底から安堵したことを、彼女は知らないだろう。

 そんな大好きな友だちに会えると、そわそわしながらダイニングで待っていると、玄関のベルが鳴った。

 待ちきれず、出迎えるというブノアのあとについて、ウォレスとともに玄関へ向かう。


「ブノアさん、こんにちは! あ、これうちのお菓子……サーラ‼」


 にこにことブノアにお菓子の入った籠を渡していたリジーが、サーラを見つけてぱあっと顔を輝かせた。


「サーラサーラ~! 聞いて~! なんか変なことがあったの~!」


 そう言いながら抱き着いてくる。

 全然変わらないリジーに、サーラはぷはっと噴き出して、声を上げて笑った。





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久しぶりのリジーとの面会! サーラの立場が変わっても変わらぬ態度で迎えてくれる友人は得難い
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