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第104話 神社と二人

「なぁ、瞬。結局この神社って何なんだろうな?」

東一郎は水島瞬に話しかけた。


「さぁ?でも、僕はこれで良かったですよ。神頼みしたおかげで今があるし」

水島瞬は東一郎を見ないで答えた。


二人は先日の東都西高校の生徒と乱闘のあった神社を二人で訪れていた。

二人はこの真北神社で願い事をした結果、入れ替わりが起こったと思われるのだ。


「前にも言ったけど、然るべきときにもどれって言われてんだぜ。このまま入れ替わりっぱなしって事は無いんじゃないか?」

東一郎は水島瞬に向かって言った。


「でも、いつって言われてないでしょ。それに「役目を果たせ」って言われてるんですよね?だからその役目を果たさないでくださいよ」

水島瞬は抑揚のない話し方で言った。


入れ替わった神崎東一郎としての生活を、このまま続けたいと思っていた。本来10歳以上も年上の東一郎と入れ替わったにも関わらず、もう水島瞬に戻ることは考えられなかった。


「その役目ってのがわかんねーんだよな。後さ、実は2つ話してないことがある」

「なんですか?」

水島瞬はそこで初めて東一郎を見た。彼にとっても知らないことが多すぎるのだ。


東一郎はまず東北の神社であった「神様」について話をした。

神様はその山に住んでいて、どうやら入れ替わりや時間飛ばしなど所謂「神隠し」的な事もできるらしい。

東一郎のことも、連れ去ろうとしたが制約があるためそれが叶わないという雰囲気であったこと。つまり水島瞬も同様な状況であるという事を伝えた。


「つまり我々はここの神社の神様に依存してるってことですか?」

「まぁ、神様のいたずらなのか、神託なのか?よくわからん」

「いずれにしても、役目を果たしたら強制的に戻るんじゃないか?」

「だから必死に役目を”果たさないように”してるじゃないですか!」

「無茶言うな。だからさ、もう一回東北の神様に会いに行こうかと思うんだ」

「?」

「だから、その神様なら俺らの知りたいこと教えてくれるんじゃないかって?」

東一郎は水島瞬に冷静に話した。が、水島瞬は常に冷静であった。


「神様…ですか、信じられないですけど、まぁ、この状況ですからね…」

水島瞬は腑に落ちない顔をしたが、否定はしなかった。


「だから、近いうちに東北に行こうかと思う。お前も来ないか?」

「え!?嫌です…けど…それではっきりさせたら今後安心なんですかね…」

「まぁ、知らないよりかはな…」

「うーん。なら、ちょっと考えます…」

水島瞬は少し間をおいてから返事をした。自分の中で答えが固まっていないようだ。


「それとな…もう一つ」

「はい。なんですか?」

「実はお前というか、俺の過去というか、お前、自分がどこの高校出身か知ってるか?」

「いや、僕は記憶を失っている事になってますから、正直神崎さんの過去にも大して興味はありません」

水島瞬はそう言うと、また東一郎から目線を逸した。


「まぁ、俺の出身高校な、東都西なんだわ…」

「え?それって先日の…」

「そう。名前書けば誰でも入れる高校…」

「…」

水島瞬は諦めたような、冷めた顔をした。


「ち、違うぞ!もっと頭は良かったんだ!成績もそこまでアホじゃない!」

「別に何も言ってませんよ…」

「本当に色々事情があったんだよ」

「はい。そこは別に…理解しました」

水島瞬は表情を変えずに言った。


「そんでさ、俺結構強かったからさ。ムカつく先輩、入学して早々に叩きのめしたのよ…それこそ夏休み前には大半を…」

「なんか、漫画の世界ですね…」

「まぁな。そんでよ。その時の2年とか3年とかが、卒業してからもチョロチョロしててさ」

「はい。想像できます…」

「面倒くさかったから、その時の後輩とかに撃退させてた訳…」

「災難ですね…後輩の人達…」

「そんで俺が決めたのよ。OBは現役に手を出したら、誰でも関係なく現役が反撃するって…」

「へぇ…」

「で、それ以来OBは現役に対して、手を出すことは無くなったんだ。何でかって言うと、東都西高の現役全員を相手にできる奴なんて居ないからな…」

「はぁ、それが何か?」

「で、多分それ以来なんだわ…」

「??」

「だから、現役に手を出したOB…」

そう言って東一郎は水島瞬を指さした。


「はぁ!?な、なんですか!?それ!?」

「だから、それ以来久々に現れた現役に手を出したOBてのが、神崎東一郎つまりお前だ」

「な、知らないですよ!?」

「だから、下手したらお前、狙われちゃうかも…」

「ふ、ふざけないで下さいよ!マジで嫌なんですど!」

「す、すまん。俺もすっかり忘れてて…」

東一郎はそう言うと、水島瞬に頭を下げた。


「もー。説得して下さいよー!」

水島瞬は心底嫌な顔をして、東一郎に懇願した。


「いやー、そうしたいんだけど、所詮今の俺は、明和高校2年の水島瞬じゃん。あのアホどもには多分話が通じないかと…」

「マジで嫌すぎる…」

「今のお前ならそう簡単にはやられないって!な!元気だそうぜ!」

「ふざけないで下さいよ!神崎さんのせいで大迷惑ですよ!」

水島瞬は東一郎を睨みつけながら大きな声で言った。


「ま、まぁ。そう言うなよ悪気はないんだ…」

東一郎も歯切れ悪く返事をしたので、水島瞬はより厳しく睨みつけるのだった。

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