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38 本格始動

コロンブスが発見し、自由の国を象徴に掲げた大陸で、連日ゲームのコントローラーを

握る男がいた。彼は新作のゲームを買ったら誰よりも最速で最高レベルまで上げ、SNSに

投稿するのを生きがいにしていた。

現在は日本が作った有名タイトルのRPGゲームをやっている。


「OKOK。やはりこのダンジョンに出るモンスターが一番経験値効率が良い。

今回もトップの座をいただくぜ!」


彼の熱量は本物で、自室には非常食を大量に保管してあるし、災害用の簡易トイレも

設置してあり、常に画面から目を離さない環境が作られていた。

友人も彼の努力を知っており、協力するため情報を集め連絡するようにしている。

眠気覚ましにカフェイン多めの栄養ドリンクを飲んだところだった。

スマートフォンがお気に入りのゲームのBGMを奏でた。

友人は今彼が忙しいことを知っている。それでも電話してきたと言うことは。

彼は先を越されたのではないかと不安になった。


『ヘイヘイヘイヘイ! ビッグニュースだブラザー!

世界中で大混乱が起きている!! 俺もパニックで頭がどうにかなりそうだ!!』


フゥー! とまるでパーティー会場にいるテンションで話す友人。

テンションの高さに参り受話口から耳を離した。


「オイ! ドラッグのやりすぎでイカれちまったんじゃねえだろうな。

俺は今世界のプレイヤーと戦っているんだ。忙しいって知ってるだろ?

くだらねえことで俺の時間を消費してんじゃねえぞ。

この時間で記録が抜かれたら、ショットガン持ってお前の家に突撃してやるからな!」

『ウェイウェイウェイト。すぐに武器に頼るのはいけねえ。気持ちいい薬を吸って落ち着こうぜ。

それほど俺が話す内容には価値がある。これを聞いたらお前は

美人でビッチの妹ちゃんを喜んで俺に差し出すぜ』

「くそったれ! 俺の大事な妹をそんな目で見てんじゃねえ!

OK、やっぱりお前のケツに銃口をぶっ刺して奥歯をガタガタ言わせるしかねえようだな!」


彼はゲームのコントローラーを操作しながら話す。

ゲームのプロともなると、会話しながらでも間違えることなく、余裕でプレイできるのだ。


『カッカすんなよお・に・い・ちゃ・ん。どこの誰だか知らねえマフィア野郎にやるより

俺のほうが安心するだろ? 一緒に楽しもうぜ』

「ファックファックファック! ファアアアアアアアアアク!! ゴートゥーヘエエエエエル!!!」

『OK。温まって来たところで本題だ。興奮してぶちまけんじゃねえぜ。

俺のイカした声が汚え耳のせいで聞き取りにくいなんてやめろよな。

いいかおい、言うぞおい。ゲーマーなら当然ダンジョンって知ってるよな?』

「あたりまえだ。モンスターがいて、お宝が落ちてるところだろ」

『ああそうだ。俺たちの日本でそのダンジョンが発見されたらしいぞ』

「は? まじで脳みそイカれちまったのか?」


大麻を嗜む友人が心配になり、さすがの彼も手が止まった。

薬物の規制緩和が進むアメリカでは、アルコール中毒よりマシだと大麻に手を出すこともしばしば。

たばこ感覚の認識で広まりつつある。

ゲーマーの彼は幻覚や幻聴で操作ミスをしたくないので、カフェインをキメる以外しない。

たばこもヤニでコントローラーの操作性が悪くなるかもしれないため吸っていない。

人生をゲームに注いでいる徹底ぶりなのだが、情報をくれる友人はいわゆる

エンジョイ勢なため、いつ危険なドラッグに手を出してもおかしくない状態だった。


『は~~~やれやれ、やっぱりだ。お前が引きこもり期間に入っていたから知らないだけだ。

ニュースを送ったから見てみろ』


友人が冗談を言わず真面目なトーンでしゃべるので、彼はコントローラーを捨て

タブレットPCをつかみ取りアプリを起動させた。

ニュースを読むとそこには“日本の総理大臣がダンジョンの発見を国会で発言”と書かれており、

各国の動向やモンスターの存在、鉱石やお宝が取れるなどゲーマーとして震える内容が書かれていた。


「なん、だよ――これは」

『ガチさ。どうだビビっただろ。興奮しただろ。胸がビートを刻んで下手くそなヒップホップを

歌いたくなっただろ』

「おま、おま――こんな面白いことなんでもっと早く教えてくれなかったんだよ!」

『俺も後悔してるのさ。ちょうど大学の友人が所有してる別荘でパーティーがあってよ、

薬と女の天国ループを楽しんでたんだ。今そのとき捕まえた女が隣で寝てるぜ』


そう言うと友人は女の尻をひっぱたき、軽快な音を鳴らした。


「くそが! 楽しみやがって! まあいい、まああいい!

教えてくれたことに感謝しよう。おお我らがゲームの神ソニャーよ。

使徒である我らに恵みを与えくださり感謝します。お会いする来る日に

チコボでヴァルハラを駆け、エリクサーを手に乾杯しましょう。

よし! 俺はすぐに準備するがもちろんお前も行くよな!」


彼が信仰する神に祈りを捧げると、ゲームのことは忘れ、どたばたと荷物を詰め初めた。

衣服に食料に懐中電灯や電池、銃は父親からパクってと考えて一番必要な物があったことに気づく。


「くそ! しまった! パスポートがない! お前は持ってるのか!?

一緒に取りに行くか?」


焦る彼とは対象に、電話先の友人は落ち着いた声で言った。


『それなんだけどよ……今日本への国際便は、安全性の確保やらで全線ストップしてるんだ。

だから俺たちはどうやっても行けない。残念だ』

「ッッッッッッッッッ!!!!!!!! ファアアアアアアアアアアアック!!!!」


彼は声にならない声を張り上げ、落ちていたコントローラーを握り、

壊れた顔で壁を窓を見えるものすべてに怒りをぶつけた。

友人はため息をつくと、寝ている女の胸を揉み出し、落ち着くのを待った。

しばらくして気が済んだ彼が友人を呼んだ。


「行けるようになったらすぐに行く。だからパスポートは必要だ。それはいい。

聞きたいのは日本は今どうなっている? 空が止まるぐらいだ、モンスターが溢れて戦争状態なのか?」

『いや、自慢のアメリカ軍と日本の自衛隊が守っているんだ。

食い止めたって書いてあったな』

「そうか、それはよかった。お前に言うとうるさいから黙ってたんだが、

実は妹が着物を着たいとか言って、日本にホームステイしに行ったんだよ。

あいつも絶対ダンジョンに興味あるだろうし、先越されちまう。とりあえず連絡してみる!

お前も準備しておけよな!!」

『おいおい、妹ちゃんまじかよ。相変わらずのラッキーガールだな。

オーケー。解禁されたらすぐに向かって黄金の国で暴れてやろうぜ!』


男たちは約束を交わすと電話を切った。そうして目標を持った彼らは

身体を鍛えるためスポーツジムに入会。

同じ考えを持った大勢のライバルと器具を取り合いながら筋肉を鍛え、

銃の腕を上げるため射撃場に足を運んだ。



一方日本では、ドキドキと心臓が爆発する気持ちで待つ、岡崎輝(おかざききらり)の姿があった。


「カハァー、カハァー……ッだ、だめ。さっちゃん。もう、私」


震える彼女に敷童幸恵(しきどうさちえ)は寄り添いなだめる。


「あれだけ二人で練習したんじゃから大丈夫じゃ。台本をキレイに読み上げれたじゃないか。

なら練習通りやればいい。ほれリラックスリラックス」

「う、うん。スーハースーハー」


輝が緊張している理由。それは数分後に、人生で初めて大勢の前で発表をするからだ。

それに……


「よし、岡崎くん。ミスターPもお越しになられた。そろそろ始めよう」


ダンジョンを束ねる異世界からの帰還者、時渡封元(ときわたりたかもと)が合図を送る。


「うひぃ。総理の前でなんて緊張で死にそうですよ!」

「総理? 何を言ってるんだ。彼はミスターPだよ、岡崎くん。間違えないでくれたまえ」

「プライムミニスターのPでしょ!? 安直ですよ!」


ぷりぷりと頬を膨らませて怒る輝。対象の時渡はやれやれと肩をすくめた。

だが感情が昂ぶったおかげで、輝が抱えていた緊張はどこかにいってしまった。


(もう! もう! どうにでもなれってんですよ!!)


輝は室内にあるひし形のクリスタル“ダンジョンコア”に触れると、大きく息を吸い、

新たな歴史が始まるスイッチを押した。


『荒野に集まりし夢追い人たちよ。情報を嗅ぎつけよくぞ参った。

私はこの地を支配するダンジョンマスターだ。諸君らの行動を讃え、約束通り一ヶ月の期限を設ける。

人類はその身を持って私のダンジョンを最低でも十階層まで攻略しなくてはならない。

もし達成できなければ、2回目のモンスタースタンピードが起こり、人類の住処は瓦礫の山と化すだろう」


輝はそこまで言うと指をパチンと鳴らす。

すると地表では地震が発生し、集まった人々がいる場所がもこもこと盛り上がり、

逃げ惑う人と砂埃が収まると、目の前に閉ざされた洞窟が出現していた。


「「ダンジョンだ!」」


人々は歓声を上げた。その声を聞き輝は最後のセリフを読み上げる。


『道は開かれた。さあ来るがいい冒険者たちよ! 知恵を絞り熱き闘争心をもって攻略してみよ!!』


彼女の声に反応するように、閉ざされた扉がゆっくりと開かれた。

読んでいただきありがとうございます。

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