35 救われた昨日と落ちた今日
「哈哈哈哈! 我是一个隐士,这对我来说不是问题。
你做事的方式很有趣,不是吗? 是密封主义吗?」
白ひげ男は勝ち誇ったように笑い声を上げたあと、私に向かって何かを問うてきた。
対話をしたいのだろうか。
それで解決できるなら私も応じるのだが、先に手を出されているので
そこまで優しくはなれない。まずは反省してもらおうか。
私はもう一度【拘束する鎖】を使い、しゃべっている白ひげ男を鎖でぐるぐるにした。
「我不能再这样做了。哈!」
多分無駄だと言ったであろう白ひげ男。先程と同じように叫ぶと鎖が破壊された。
そのタイミングで近くに接近していた私は男を蹴り上げた。
「おらあ!」
「ギャッ」
鈍い音をたて白ひげ男は上空に吹き飛ぶ。【拘束する鎖】を突破できるほどの男だ。
蹴り一発で参るほど弱くはないはず。すぐさま追撃を行い大きな腹に拳を数発叩き込み
もう一度蹴り上げると、最後に【風魔法ゴッドハンドプレッシャー】をお見舞いする。
突如空中に巨大な拳が出現し、隕石のように降下すると、蹴り上げられた白ひげ男はぶつかり
ゴムボールのように反射し急降下してきた。
落下地点には【召喚魔法:粘りつく地獄蜘蛛の糸】を配置し今度こそ完璧に捕らえた。
久しぶりにコンボをしてみたが、身体がスムーズに動いてよかった。
「風来坊くん。君も一発いれておくか?」
糸がついていない部分を指しながら聞くと、
「え、いや、まあ……ここまでボコボコだと引けるっていうか」
うわぁという顔をしながら近づく風来坊。あれだけやられたのにと思っていると
「えい!」
パチンと気持ちのいい音が響いた。
「なんだ。やり返さないと思ったよ」
「見てたらやっぱむかついてきちゃって、つい」
「やられた分には程遠いが」
「もういいっす。満足っす」
ふむ。本人がそう言うなら私の仕事をするとしよう。
会話を終えたタイミングだった。
『格瓦哈哈哈! 我从未想过我能看到有人能招待这个隐士。
我期待着再次见到你,年轻人』
白ひげ男の声がスピーカーから発せられてるように辺りに響いた。
そしてピキピキとヒビが入る音がすると、捕らえていた男の身体が崩れ、雲になって消えてしまった。
「逃げたか。やるな。なんだったんだあいつは」
実態を叩いている感触はあったのだが、いつの間に入れ替わったのか分からなかった。
素直に強いと感心する。
「多分あれは仙人ね。神仙とも呼ばれていて、過酷な修行の果に不老不死を得て
神に近い存在になった者。仙術をあやつり超常現象を起こすらしいです。
中国語とか白ひげとかそれっぽくないですか?」
「安直な……とも言いきれないな。火の無い所に煙は立たぬという言葉があるが、
実際に私も異世界に行けてるし妖怪もいた。仙人がいてもおかしくはない。
そうか。私は無意識に仙人の存在を感じ取り、この台風を止めに来たのだろう。
特殊なチカラがある者はそれに相応しい者と惹かれ合うという。
そう――まさに運命」
運命か。…………くくく。暴力を振るわれた風来坊くんには悪いが、
強い者と会えた喜びがふつふつと湧いてくる。
この若くなった身体で思いっきり遊べるのかもしれない。
近いうちにまた会えるだろう。妄言ではなく確信めいた運命線を感じる。
「中国語。習わないとな」
「あてぃしは情報を集めますね」
「ああ頼むよ。小さいことでもすぐに教えてくれ」
「かしこま」
太平洋の海原で起きた日本を救った話。
一般的には知られず上層部のごく一部だけが知っている、そんな話。
超大型台風は急速に勢力をなくし、暗い雲は晴れ、混乱は収束した。
その日、オーロラのような巨大な夜光雲が観測され巷を賑沸かせた。
☆
「総理! 政府が台風の情報を意図的に制限したというのは本当ですか!?
これは一大事ですよ! お応えください総理!!!!」
テレビでは襟足を尖らせた女性政治家が国会中継で問い詰めているシーンが流れている。
活き活きと問い詰める姿は国会の名物だ。
これに肉体も精神もボロボロになった総理がしどろもどろに答え、有耶無耶にするのがいつもの流れ。
しかしどうだろう。演壇に立つ総理の姿にチカラがみなぎっているように見えるではないか。
内容自体は劣勢であるにも関わらず、立ち振舞に圧が生まれ、問うている方が
間違っているのかと勘違いしてしまう空気になっていた。
現にしつこく追求する場面であったのに調査中の一言で流れてしまった。
続いてゴミの問題が議題に上がり日本が受け持つことが可決された。
反発の意見にざわつく国会。乱闘が起きそうな一触即発の雰囲気の中、最後に出された
話に誰もが耳を疑い静まりかえった。それは――
「市民の通報により自衛隊が洞窟を調査したところ、未知の生物を発見。
被害は軽傷。持ち帰った情報をもとに専門家の意見をまとめ、ここに発表します。
日本にダンジョンが出現しました」
第一部 完
長い間読んでいただきありがとうございます!
これにて第一部完結となります。
次回は幕間を挟んでからついにダンジョン編へ突入となります。
岡崎輝と敷童幸恵がどのようなダンジョンを築いていくのか……
楽しみですね!
それでは引き続きお楽しみくださいませ。
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