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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

昆虫物語。〜貪欲な偽物の蝶と強かな陽炎の話〜

作者: 漣 龍桜

 この世の生き物に生まれたからには、誰もが認められ、恋をして愛され人生を閉じたい。

それが、私の夢。

 生まれ落ちて、毎日毎日天敵に食べられてしまわないように見つからないようにひっそりと生きていた。

生きた心地なんかしない。毎日を、美しくなるために醜い芋虫は地べたを這いつくばって生きていた。

通りすがりの人間に踏まれそうになりながら、子どもに棒で突かれたり、鳥にも食べられそうになった。

芋虫だ!気持ち悪い。人間に言われる。

 あぁ、私は気持ち悪いの?そうよね、こんな汚い姿じゃ、誰にも愛されないわ。水溜りに映る自分の姿。

でも、私は蝶々になるのよ!美しい蝶に。もうすぐよ。沢山葉っぱを食べて、飛び立つの。そうしたら、私をみんなが見るわ。美しいって言われる。そして、素敵な彼と結ばれるの。

 体も成長し、隠れて、誰にも狙われないようにひっそりと。春になりついにその時はきた。

パリッ。

 だんだんと羽が開く。視界には青空。綺麗な花畑。

春って温かくて幸せの季節だわ。

自由に体を動かして空を飛ぶ。虫達も、綺麗な黒い羽だなー。美しい。と口々に言う。

幸せよ。私は美しい生き物。

ねぇ?君、綺麗だね。

えっ?貴方誰?

僕はアゲハチョウだよ。君は、えーっと同じ蝶だね。僕と似てる!アゲハチョウだよきっと。

私は、美しい蝶。とだけ見た目では判断した。同じく美しい彼がいう言葉を信じたい。

えぇ、そうみたいね。貴方も素敵。

一緒に散歩でもしない?

彼が私のそばに来る。ドキドキする。美しい黒い羽、初めて話したオス。彼を私のものにしたい。

ご一緒したいわ。ぜひ。

優しい彼に連れられて、花が咲き乱れる森でおしゃべり。あぁ、なんで幸せなの?美しい私たちをまるでみんなが祝福してくれてるみたい。彼のお腹いい匂い。。。彼と一つになりたい。出会ったばかりの彼に夢中。

貴方と重なりたい。

私は素直に伝えると、

僕もだよ。君は本当に魅力的だね。

 私たちは気がすむまで求め合う。本能のままに何度も。

しかし、時間が経つのが早い。あっという間に日が落ちてきた。

あ、僕帰らなきゃ。

えっ?まだまだ私は動けるわ。

もう日が暮れそうだよ、なんで君は帰らないの?危ないよ。

じゃあ、一緒に帰りましょう。

2人で帰る途中、キラキラ光る四角い大きな箱。私は近づきたくて近づく。

ちょっと、、、やめなよ、他の虫沢山いるよ?危ないよ。

え?貴方もとまりなよ。綺麗よ。

そこにいた、白い蝶のような虫が話しかけてきた。

 貴女は蛾ね。あそこの彼に似てるけど、貴女はアゲハモドキ。彼は、ジャコウアゲハ。黒い羽が似てるけど、彼には毒があるわよ?

食べてた葉っぱに毒の成分があるみたい。お腹のいい匂いは毒よ。

私は陽炎。貴女、彼のこと抱いたの?

同じ麝香の匂いがするわ。私は体が弱いし、生きる力が少ない生き物なの。恨めしいわ。私は今日ずっと彼を見ていたのに。。。恋してた、、あぁもう、私は今日死ぬ日だったわ。。へたりと草に落ちた。


あ、あ、、、、、。わ、私は、蝶じゃないの?!

お、落ち着いて、ぼ、僕に毒があるの?

それじゃあ、私が息が苦しいのは、貴方の毒?

も、申し訳ない。。しかし、

いや、幸せよ、、、私は貴方に殺される。貴方のものになれた。そして、死ねる。

彼は、蛾だと知ってから冷たい目で私を上から下まで舐めるように見る。

残念だったよ。君は、蛾なんだね。だから光にとまるのか。

蛾って何?

私が彼に聞いた。後ろから、知らない蝶がきた。

君、綺麗だね。一緒に遊ぼうよ。

え、っ、、嫌よ。私には彼がいるの。

え?いないじゃん。誰?それ。体を押さえつけられて、無理やりのし掛かられるて体を擦り付けられる。彼の麝香の匂いが消えていく。ドロドロした液体に匂いに包まれる。

体が彼の毒に侵されて、あのオスから逃げれなかった。

キラキラ光る箱に私と同じ色と形をした蛾が映る。その姿に絶望する。

綺麗じゃない、、、。醜い。みんな綺麗って言ってた。嘘なの?

それは彼に対して言ったのを自分が良いように勘違いしただけだ。事が終わり、オスは消えた。

 彼を探す、もう動く力もないが、あたりを見回すと、あの陽炎の側にいる。

ごめんね。君を見つけれなくて、話しかけてくれたらよかったのに。

私は、1日で死ぬって知ってたから話せなかったのです。

今日が死ぬ日だから、きっと私の側に来ると信じて待ってました。好きでした。

 儚い美しい透き通る妖精のような生き物。小さくてか弱い。対して私は黒い羽。悪魔と天使のようだった。

 彼は、羽がかじられた。夜に危ない場所にいるはずの無い蝶が鳥に狙われたかけた死にぞこないの陽炎を助けたからだった。

王子様とお姫様のように重なり抱きしめあって見えた。2人は、柔らかな草の上で静かに眠る。幸せそうに。。

蛾だから、蝶だからなんて、関係なかったのね。私は、、、、美しくない。彼女より美しくない。

 ふっと力が抜けた、キラキラ光る光にあたった。

ジジジッ。

ばさっ。私は落ちた。

ガタン、ガタン。

あ、はずれたー。この自販機には虫がいっぱいだー最悪と女。

うっわ、でっかい蛾だな。気持ち悪い。ぬるぬるしてる。と男が言った。

光に近づくと、命を落とす。私は、蛾なんだから。貴方の毒が回って、今さらガタガタ震える。

 また私は生まれ変わって貴方と出会う。貴方の死体を食べながらガタガタガタガタ震えながら誓う。

貴方の全部を私の体に入れる。貴方を私の中にしまうの。

もう誰も私たちを引き裂くことは出来ないように。



終わり

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