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オススメの武器屋編2

「う〜ん、2つともダメですか、あなたと相性の良い武器は2つしかないのに…… 」


 グリンティアさんの顔色が曇る。


「テッド、どれか、気になる武器はないのかい? 」


「う〜ん……この剣はカッコいいな 」

 テッドは黒光りする1本の剣を手に取った。


「おっ、お客様、お目が高い。当店、最高級の素材で作られた漆黒の剣をお求めですか 」

 手を揉みながら近づくグリンティア。


「ふふん、この剣を見た瞬間にビビっと来たんだ。俺の目に間違いはなかったようだ 」


 剣をかざして、目を細めるテッド。


「うふふ、当店最高峰の真っ黒なシールを貼った木刀ですからね。誰にもバレませんよ 」


「はい? 」


「いゃ〜、本当にお目が高い。お部屋に飾るのに最適ですよ 」


「いらない 」


「え?? 」


「いらない 」


「二度と市場に出回らないかも知れない逸品ですよ。

 今なら50万Gの超特価ですよ 」


「飾らないから、いらないから 」


「う〜ん、残念です 」


「ねぇ、グリンティアさん。テッドにあう実用的な剣は無いのかな? 」


「実用的な剣ですか…… 」

 困惑するグリンティア。


「ちょっと待って、何で困惑してんの 」


「いえ、そもそもテッドさんに実用的と言う言葉があうのかどうか…… 」


「俺は実用的だから。実用的な剣士だから 」


 グリンティアはため息をついた。


「仕方ありません。私は昔、冒険者ギルドの受付嬢として多くの冒険者を見てきました…… 」


「はい? 」


「テッドさん、あなたの最適な職業はコメディアンだと私は思います 」


「いや、そんな事ないから。いずれ、英雄と呼ばれる勇者になるから 」


「うふふ、さすがです。面白い冗談ですね 」


「冗談じゃない。俺とアライブは勇者になって、魔王軍の為に苦しんでいる人々を救うんだ 」


 テッドは真剣な目でグリンティアを見る。グリンティアは、その瞳の奥を覗き込んだ。


「……そうですね。いずれ、英雄と呼ばれる勇者になれるかも知れませんね。

 わかりました。失敬します 」


「痛っ!! 」


 グリンティアはテッドの髪の毛を1本のすばやく抜いた。


「何をするんだ!! 」


「私の本職は付与師(エンチャンター)なのです」


付与師(エンチャンター)って武器とか防具に特殊効果をつける……」

 物知りなアライブ。


「そうです。金の竹槍も私が作り、特殊効果を付与したのです 」

 胸を張るグリンティア。


 いや、それは自慢にならないと思うテッドとアライブ。


「テッドさんと相性の良い属性は…… 」

 右手の人差し指と親指で髪の毛を挟み、魔力を流すグリンティア。息を飲むテッドとアライブ。


「地震、雷、火事……親父……と言った所です。

 さすがです、テッドさん。親父属性の冒険者はレアですよ。私も初めてみました。まだ若いのにビックリです 」


「親父属性のメリットって何かあるのですか? 」

 真面目に余計な質問をするアライブ。


「特には………思いつきませんが……

 ……恐らくは、場を冷やすギャグを思いつきやすくなるのでは……非常にレアな属性なのでよくわからない事か多いのです 」


「場を冷やすギャグ…… 」

 考え込むアライブ。


「親父はいいから!!雷か炎か大地系の能力を、剣に付与してよ 」


「わかりました。私の得意な雷属性の剣にしましょう……ちょっと待って下さいね。倉庫から鋼の剣を持って来ますので…… 」


 5分後


「雷属性の剣ですと、お値段は……100万Gです 」


「ちょ、ちょっと高すぎじゃないか。予算的に足りないんだ 」


「良質な鋼の剣に雷属性がついている魔法剣ですよ。高くて当たり前です。金の竹槍とかと一緒にしないで下さい 」


「え??? 」


「おほほ、仕方ありません。ご予算はおいくらですか 」


「50万G 」


「わかりました。50万Gで作らせて頂きますね。宜しいですか 」


「うん、50万Gで作ってくれ 」


「かしこまりました。純度100%の雷属性を50%に変更して……レアですけど無価値の親父属性を50%を追加します 」


「ちょっと待って…… 」


「いでよ!!雷属性 親父ハーフ 迅雷剣(じんらいけん)


 ガラガラガッシャーン!!剣が大きな轟音を響かせて雷光をまとった。


「うふふ、素晴らしい剣が出来上がりました。とても親父ハーフとは思えません 」


 剣を差し出すグリンティア。


「確かに……脂っぽいのかと思ったけど、どこから見ても普通の雷属性の魔法剣だ。良かったね。テッド 」


「うん。親父属性の剣を見たことないからわからないけど、素晴らしい雷属性の魔法剣だ。

 ありがとうグリンティアさん 」


「うふふ、どう致しまして。恐らくは世界で唯一の雷属性 親父ハーフの魔法剣です。貴方と、この剣が世界に名を響かせる事、間違いなしです 」


「うん。ありがとう……ただし、親父ハーフは絶対に秘密でお願いします 」


「え??? 」


「え、じゃないから。シークレットだから 」


「グリンティアさん、お願いします 」

 アライブも頭を下げる。


「アライブさんからのお願いなら、仕方ありません。シークレットにしますね 」


「いや、いや、俺の剣だから、テッドの剣だから 」


「うふふ、冗談ですよ、テッドさん。秘密にしますので、頑張って下さいね。きっと迅雷剣が貴方達の旅路を助けてくれますよ 」



 テッドとアライブは良い買い物をしたとして満足して帰って行った。グリンティアは世界で唯一の雷属性 親父ハーフの剣を作成して満足していた。


 迅雷剣がテッドとの旅路の中で、迅雷剣シリーズの必殺技を次々と作りだした事を、それは親父属性の効果であった事を、3人は遠い未来に思い出すのでありました。


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