100年前の大戦編 21 天の絆
シャー……
ミズガルノズの大蛇の口から威嚇音が発せられて一帯に響き渡った。
そして、スルスルと鎌首を持ち上げるミズガルノズの大蛇。
シャーシャーシャーシャー
周りを見渡す大蛇。
そして森の方角に向けて巨大な毒液を放った。
ブォォンと飛んだ毒液は後衛を守る結界に降り注いだ。
ジュジュジャジュジューッ
焦げるような音を立て煙を上げる結界。
「くっ、なんて威力なの……」
聖女ティーダの顔が険しくなる。
ビキッビキッビキッビキッ……
結界にヒビか出来て広がっていく。
それを見たミズガルノズの大蛇は、ゆっくりと尻尾を振って……
結界に叩きつけた。
ガガガガガガガガガガン!!!
ビキッビキッビキッビキッビキッビキッ……
ボロボロと崩れ落ちる結界。
再び尻尾をゆっくりと振る大蛇。
「騎士王殿!! 」
蛇の背を駆け上る騎士王の背を、飛行するナレジンが抱え込む。
「ナレジン殿、ピット器官まで頼む !! 」
「任せろ!!」
ナイトやランティ、騎士王四天王が蛇の背を駆け上り大蛇の顔を目指す。
リアムは大蛇の目前の大地に立って、巨体を見上げて弓を構える。
「好きにはさせん!!光瀑布!! 」
ガガガガガガガガガガ!!!
轟音を放ち連射された光の矢が、大蛇の左目に炸裂した。
ガガガガガガガガガガン!!!
仰け反る大蛇。
そこにナレジンから飛び降りた騎士王が、大蛇のピット器官目掛けて渾身の一撃を放つ!!
「三層刺突!! 」
ガーン!!!
弾き飛ばされた騎士王をナレジンが受け止めて飛び去った。
大蛇が大きく身を震わせる。大蛇の顔を目指していたナイトやランティ達の動きが止まった。
そして大蛇が尻尾を結界に叩きつける。
ガガガガガガガガガガガガガガガン!!!
ピキピキピキ……バキン!!!
結界が完全に崩れ落ちた。
大蛇が再び大きく口を開き、巨大な毒液を放つ。
「いかん!結界が無いぞ!!」
ブォォンと森に向けて放たれた毒液。
目前に迫る巨大な毒液に、立ち尽くす魔法使い部隊や回復部隊。
「まだよ!!地にある全ての想いを繋ぎ、我らを、我らの大切なものを守り給え 結界魔法 天の絆!! 」
森に毒液が降り注ぐ直前にリヤの結界が発動する。
ジュジュジャジュジューッ
焦げるような音を立て煙を上げる結界。
「ぐっ……」
リヤの顔が険しくなる。
ガガガガガガガガガガガガガガガン!!!
大蛇の尻尾が再度叩きつけられた。
ピキピキピキピキピキピキ……
結界にヒビが入り広がっていく。
「だめ……」
リヤの想いに関わらず結界のヒビが止められない。
ピキピキピキピキピキピキピキピキピキピキ……
「結界が持たない……」
「まだだ !!」
リヤの横に現れたモンク長バリアズが、リヤの左手を握ると、リヤにバリアズの魔力が流れ込んで来る。
「リヤ殿に魔力を流すぞ、掴め!! 」
バリアズの手をティーダが、ティーダの手を魔法使いの1人が……次々と手を繋ぐ人々。
リヤに皆の魔力が直接流れ込んで来る。
「ありがとう、みんな。 」
リヤは皆を見渡した。
「地にある全ての想いを繋ぎ、我らを、我らの大切なものを守り給え 結界魔法 天の絆!! 」




