表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/196

100年前の大戦編20 無限流

「そ、そんなに見つめられると拙者、照れるでござるよ」


「どういう事だ? 」

 ケンマロを無視して騎士王が問う。


「初代剣聖から始まった無限流は、多くの者達が対魔族の最前線で戦って来ました。エタールに挑んだ者達も大勢いたでしょう。

 ケンマロはエタールに敗れて亡くなった者から作られたスケルトンだと思われます 」


「せ、拙者は元無限流の人間でござるか……」


「そうだ。だから無限流のランティと同じ剣術を使うんだ。エタールはお前の記憶を奪った。しかし剣術を忘れさせては意味が無い。だから剣の記憶を残したんだ 」


「……」


 考え込むケンマロ。


「無限流の勇者達の活躍で救われた命は多い。ケンマロ、お前がいつの時代の人間だったかはわからないが、お前の子や孫が何処かで生きているかも知れないぞ 」


「えーい!黙るでござる!!拙者は孤独な剣の道を究めんとする生きる屍でござる 」


「無限流の理念を忘れたのか? 」


「無限流の理念でござるか? 」


 ナイトが理念を唱える。

「剣の道は無限なり。ゆえに人から人に継いで行くものなり……」


 ケンマロが続いた。

「人を守る剣、それを繋げるのならば、道が途切れる事は無し…… 」


「覚えているじゃないか、ケンマロ。だったら問題は無い。俺たちは大蛇と戦う。お前は俺たちの邪魔をしないでくれればいい。好きにしろ。

 騎士王様、それで宜しいですか? 」


「うむ、それで構わぬ。ランティやリアム達が前線で戦っている。では、ナイト。前線に出るぞ 」


「はい! 」


「私はティーダさん達の所に向かうわ 」


「儂も行くかの 」


「皆の者、行くぞ!! 」

 騎士王の号令で皆がそれぞれの場所に向かった。一人ポツンと残されたケンマロ。


「拙者はどうすれば良いでござるか……」

 ケンマロは小さく呟いた。


 ・

 ・

 ・


「ティーダ様!! 」

 リヤがティーダの元に駆け寄った。


「良かった。無事だったのね 」


「はい! 」


「貴女が入れば百人力ね。お願い、結界の修復を手伝って 」


「はい 」


 リヤは両手を天にかざして魔法の詠唱を始めた。


「地にある全ての想いを繋ぎ、我らを、我らの大切なものを守り給え 結界魔法 天の(ヘブン)(コーネクシオ)!! 」


 ヒビ割れた結界に、リヤの結界がヒビを埋めながら上乗せされて行く。


「おぉーっ!! 」

「結界が、結界が戻った!! 」


 ティーダの護衛をしていたモンク部隊から歓声が上がった。


「お前ら!!嬢ちゃん達が頑張っているんだ。負けんじゃねーぞ!! 」

 モンク長バリアズが檄を飛ばす。


「おぉーっ!! 」

 より大きな歓声が響き渡った。




 ミズガルノズの大蛇の背の上に騎士王四天王は乗っていた。先程のナレジンの攻撃で大蛇は舌での捕食を控えるようになっている。好機である。


 交互にピット器官への攻撃を繰り返す。かすり傷一つついてはいないが、赤みを帯びて来ているように見える。何度でも何度でも攻撃しよう。


 騎士王とナイトが蛇の背を駆け上って来る。四天王は一度後方に撤退する事にした。




「何度でも、何度でも貴様が元の世界に戻るまで攻撃するのみ 」


 騎士王がピット器官の前に立って、高く掲げた赤雷を回転させる。


「喰らえ!!三層(トライデント)刺突(ピアシン)


 ズドドトドーン!!!


 騎士王は攻撃を決めると大蛇から離れた。


 騎士王に代わってナイトがピット器官の前に立った。

 両手で剣を持ち、全身の力を込める。


「異界の怪物よ……元の世界に戻り給え 」

 全力を持って振り下ろした。


 ガーン!!!


「硬いが……ダメージは蓄積しているように見えるな……」


 ナイトは大蛇の顔から離れて行った。




 エイドは長距離攻撃のタイミングをはかっていた。

 勇者ランティの手が上がるのが見えた。


「撃てーっ!! 」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーッ!!!


 魔法使い部隊の炎魔法の一斉攻撃が大蛇に向かう。

 大蛇には効いていない様に見えるが、牽制の効果は出ている様に思える。前線の者達を休める為にも牽制は必要なのだ。


 ナレジン殿の紅炎(プロミネンス)から大蛇はおとなしくなった。

 しかし、あの大蛇は一撃で全てをひっくり返す力を持っているのは間違いない。このまま推移してくれればいいのだが……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ