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100年前の大戦編17 天槍 赤雷

 ガキーン!!!大きな音を立てて、騎士王の剣は真っ二つに折れてしまった。


「傷一つ付かぬか……」


「騎士王殿!! 危ない!!」

 勇者ランティが叫んだ。


 ミズガルノズの大蛇の舌が騎士王に迫り来る。騎士王は舌を観察する。粘着性の唾液で捕まったら逃げられない。


 ガンッ!!

 ガンッ!!


 リアムの放った光の矢が二本、大蛇の左目にぶつかって砕け散った。


 騎士王はその隙に大蛇の顔から離脱した。


「撃てーっ!! 」

 騎士王の側近エイドが魔法使い部隊に命令する。


 魔法使い部隊の炎魔法の一斉攻撃が、轟音を上げて衝突する。しかしミズガルノズの大蛇は当たっても意に介さない。巨大な顔をゆっくりと魔法が放たれた地点に向ける。


「ひぃっ」

「み、見てやがる」

「ば、化け物……」


 巨大な蛇の顔に睨まれて恐慌を発する魔法使い部隊。エイドは魔法使い部隊の前に立った。


「我らの前には結界がある。恐れるな!!騎士王様やランティ殿には結界すら無いのだぞ!! 」


「撃てっ!! 」

 リアムがエルフ部隊に指示を出す。


  魔法使い部隊の方を向いて横顔を晒す大蛇に数百の光の弓が迫る。矢の動きを片目で追っていた大蛇は、矢の方に向いて息を吐く。


 ブブゥーン!!!


 大蛇の発した息が光の矢をはたき落とす。



 八賢者イルスは大蛇に対して分析をする。


 騎士王様のピット器官への攻撃すら傷一つ付かない。リアムの弓は大蛇の目に当たって透明の鱗に阻まれてはいるが、大蛇の動きを一瞬は止めている。


 魔法使い部隊の魔法や自分の魔法は一切効いていなかったが、エルフ部隊の光の矢を息で防いだ……光の矢は光魔法と銀の弓の、魔力と物理のミックス攻撃か……


 一時撤退し結界内に戻った騎士王と、勇者ランティに代わって、結界内から4人の人影が飛び出した。


「騎士王様の近衛四天王か!! 」

 イルスは分析を止めて目を向けた。


 騎士王の近衛隊の最精鋭の4人の騎士。Aランクではあるが、実質はSランクの呼び声の高い4人の魔法騎士。


 大蛇は近衛四天王に気が付くと大口を開いて襲いかかった。


 四天王に巨大な顔が迫り来る。


火炎連弾(ファイヤーバズーカ)!! 」

 4人の騎士は地面に強力な火炎魔法を放ち、反動で大きく飛び出して死地から逃げた。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーン!!!

 4人が飛び去った跡の地面に巨大な蛇の顔が激突した。


「心臓に悪いな。しかし、大蛇の巨大な顔が迫った場合、少なくともAランクは無いと逃げるのは不可能だな……」


 騎士王四天王は、ミズガルノズの大蛇の巨大な背に乗ると中腹地域を目指して走り去った。


「プランBだな。大蛇の顔と戦うのが難しい者は中腹地域で戦うと。しかし近衛四天王ですら厳しいとは……」


 鎌首を持ち上げて、四天王を追おうとする大蛇の頭に大量の光の矢が降り注いだ。


 ガン、ガンと矢が当たるも、大蛇の頭は気にせずに四天王追う。


「き、効いていない……さ、さ、さ、さっきの鼻息は何だよ!! 」

 愕然とするイルス。


 降り注ぐ矢の雨を弾きながら、四天王を追う大蛇の頭に騎士王が降り立った。


「今度は槍じゃ。天槍 赤雷(せきらい)

 騎士王は槍を高く掲げてグルグル回す。回す毎に赤い雷が槍から発せられ魔力が高まって行く。


 上空で様子を伺うイルスにも空気の震えが伝わる。

「あれが、騎士王国に伝わるSSランクの槍。騎士王様の切り札の赤雷(せきらい)か!!」


「くらえ!!三層刺突(トライデントピアシン)


 ドドドーン!!!

 槍の衝撃と共に(まとい)し赤い雷が突き刺さったかに見えた。


 ガキーン!!!


 騎士王の放った槍は大蛇のピット器官に跳ね返された。


 グォーン!!

 思い切り頭を振って騎士王を振り落とそうとする大蛇。


 顔から飛び離れる騎士王に、巨大な舌が迫る。


「高速剣舞!落ち葉切り!!」

 大蛇の目の前に飛び込んだランティが、大蛇の左目に向けて連撃を放つ。


 ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!


 衝撃で蛇の動きが止まる。


「やはり硬いな、ヒビすら入らないか ……」


 蛇の顔に飛び乗ったランティは、そのまま中腹地域に向けて駆け出した。



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