100年前の大戦編6 眷属
大魔王の間にて〜
顔に出すわけにはいかんが、絶望的じゃな……とは言え思考停止するわけにはいかんわい。若い2人を支えるのが儂の役目じゃからのう……
「リヤ、吸血姫は魅了を使う。儂やナイトとは相性が悪い。吸血姫とドーシャを頼みたいんじゃが……」
ニトラルがリヤに小声で話かける。
リヤが頷く。
「ナイトは儂と共にエタール他3人を相手じゃ。1人頭ノルマ2人じゃな 」
「わかった 」
ナイトは力強く頷いた。
ニトラルは思考する。第一にエタールのリセマラを防ぐ方法を考えなくてはならない。そうしないと無限に戦い続ける事になる。ただし情報が足りない。
第二に、エタールとドーシャに加えて、新たに加わった四天王をどうにかせねばならない。一人弱そうなのはいるが他は強そうだ。
さすがに一度引かざるを得ないか……しかし、大魔王は目の前。こんなチャンスが再びあるのか……ならば、弱そうな奴から突破口が開けないか……
「むむむ、どうした御老人。先ほどから吾輩の顔ばかりを見て、吾輩の高貴なオーラから目が離せないのか?」キュードラが嬉しそうに言う。
ニトラルは名案を思い付いた。
「こんなに強そうなのに、大勢で攻めて来ようとするとは……見掛け倒しなのかの……」
残念そうに首を振るニトラル。
「むむむ、エタール様とドーシャは下がっていてくだされ。ここは吾輩達、四天王がいれば充分であります」キュードラ伯爵が前に出る。
エタールは大魔王の椅子に座り告げる。
「……良かろう、キュードラよ……余はガチャで疲れた……少し休ませてもらうぞ……」
「キュードラさん〜あざ〜すっ!!」
ドーシャは満面の笑みだ。
ニトラルは心の中で感謝する。キュードラさん、あざ〜すじゃ
「ふふん、さぁ来い。勇者達よ、吾輩の強さを思い知るが良い」
「ナイト、リヤ、いくぞ。フォーメーションQじゃ 」
「わかった 」
「わかったわ 」
「キュ……Q、ドーシャもわかったので〜す 」
「余もわかった 」
「妾もわかったわ 」
「拙者もわかったでござる 」
「キュ、キューか、俺もわかったぜ 」
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「むむむ、何なのだ。それは?」
「いくぞ!!」
ナイトがキュードラに向けて駆け寄る。
「秘剣!紫電一閃 刹那!!」
ガチッ!!
「何?」
キュードラの首筋に当たった刃が弾かれる。
ドガッ!!
キュードラの蹴りがナイトを蹴り飛ばす。
「轟雷!!」
「断界剣!!」
「血の鞭 螺旋」
キュードラは片手を高く掲げて、血の鞭を頭上からリボンの様に螺旋状にグルグル回す。
ドガーン!!
モウモウとした爆炎が上がり、爆炎の中から無傷のキュードラが現れる。
「ムフフ、甘い、甘い」
「な、なんじゃと!!」
「キュードラさんはある意味で四天王最強なので〜す!!」
ドーシャが高らかに宣言する。
「エタールより硬い?」
ナイトが衝撃で痺れた右手を抑えた。
「キュードラさんは、エタール様の眷属なので〜す!!しかも、一発芸のご褒美に血をいっぱい頂いているので〜す!!」
「ムフフ、吾輩はエタール様の眷属。エタール様の近くでは力が無限に湧いてくるのだ」
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セントラル中央平原 北東部 上空
「隊長〜、食いつきが悪いですね 」
「釣りは我慢なんやで。ワイもマグロの海釣りに行くんやけど、ほとんど釣れないんやで 」
「隊長、大蛇が口を開いて、こちらを見てまっせ 」
「なんやて!!」
ミズガルノズの大蛇は大きく口を開き、猛烈な勢いで巨大な毒液を飛ばして来た!!
「か、回避や!!」
ブラドラ編隊はバラバラの方向に飛んで回避する。
ミズガルノズの大蛇は蜷局を巻いて……一気にジャンプする。
ドドドドドーーーーーーーーン!!!
グィィィーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
「な、なんやてー! ぜ、ぜ、全速で回避やー!!」急上昇して逃げるブラドラ。大きな口を開いて飛び掛ってくる大蛇。
ガチッ!!!!!
大蛇が口を閉じる。
ギリギリで脱出するブラドラ。
頂点に達して落下軌道に入る大蛇。
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
「た、隊長〜!!」
「ぜ、全速で西に向かうんや!!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーン!!!!!!!!
大地を大きく震わせて大蛇が着陸する。
着陸した大蛇は、西に飛ぶブラドラ編隊とクラーケンに吊られて西への移動を開始した。