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100年前の大戦編3 リセマラ

「……儂の謎が解けたと……」

 エタールが冷たい目でニトラルを見る。


「そうじゃ。貴様は時間を巻き戻しておる。儂は何度も同じ時間を繰り返しておる」


「……ほう……」


「戻される時点は先程セーブと言った場所。貴様がロードと唱える事で引き戻されるのじゃ。

 貴様は召喚で強力な魔物を呼び出す為に、召喚失敗する度に時間を巻き戻しておるのじゃ」


「……正解だ……よく気がついたな……」


「儂は脳と異次元を連結させて、自立式の魔法陣を作成中なのじゃ。しかし明らかに時間の流れに差が発生しておる」


「……そういう事か……」


「召喚に必要なエネルギーを儂らとの戦いから得ておる……そうか、だから貴様はこの城に残った。この城が巨大な魔法陣という事じゃな!!」


「……よくぞ、そこまで見抜いた……大したものだ……」


「要はロードさせなければいいわけじゃな」


「……不可能だ……余は最高位魔族……たとえ首を飛ばされてもすぐには死なん……」


「それはどうかな」

 回復されたナイトが立ち上がり剣を構える。


「氷漬けなんてどうかしら?」

 リヤが後ろから出て来た。


「……試してみるが良かろう……少し本気を出してやろう……」


 エタールの口から牙が伸びて、目が充血し、目の下にクマが出来る。


「吸血鬼じゃ!!」

「少し疲れている感じね」


「こちらも本気だ」

 エタールの正面に立ったナイトは、剣を片手持ちに変えて、交差するように腰の横に添える。


 リヤはナイトの右斜め後ろで、ニトラルは左斜め後ろで呪文の詠唱を開始する。


「秘剣 紫電一閃(しでんいっせん) 刹那(せつな)!!」


 高速でエタールとすれ違った瞬間、エタールの首が跳ね飛んだ。


 すかさず氷結魔法を唱えるリヤ。

絶対(アブソリュート) 零度(テンパチャー)!!」


 エタールの首が凍りついた……


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 セントラル中央平原 南端部


 ドガガガガガガガガガガガガガーン!!!


 30人の魔導士部隊による一斉魔法攻撃が炸裂する。

「ここで、ここで、奴を止めなければ南端の戦線が崩壊するぞ!!魔力の限り、打ち続けろ!!」

 部隊のリーダーが声を枯らして檄を飛ばす。


 爆炎の中から黒い影が現れる。

「無駄だ、無駄。この魔法無効の鎧(マジク インバリド)には一切の魔法が届かないのだよ」


 キメラ伯爵は腐敗剣を上段に構える。

「そろそろ、あの世に旅立つがよい」

 そして振り下ろした。


 ・

 ・

 ・


「ん???」

 手に剣が無い?

 魔導士部隊の連中は上空を見ている。

 私もつられる様に上空を見る。


 上空には不気味な扉が開いており、腐敗剣は吸い込まれていった。


「なんだ?……」


「今だ!!撃て!撃て!撃て!撃てーっ!!」

 魔導士部隊のリーダーがここぞとばかりに命令する。

 一斉攻撃を再開する魔導士部隊。


 ドガガガガガガガガーン!!!


「愚かな、私の鎧にはいかなる魔法も届かない。」

 爆炎の中から現れるキメラ伯爵。


「毒ヘビ ビームでも喰らうがよい」

 尻尾の毒ヘビが獅子の頭の上で大きく口を開く。


「毒ヘビ ビーーー……」

 ガシャン ガシャン勢いよくキメラ伯爵から離れていく魔法無効の鎧(マジク インバリド)。そして急上昇して上空の不気味な扉に吸い込まれていった。


「え?」

 目が点になるキメラ伯爵。


 ドガガガガガガガガガガガガーン!!!


「ギャアアアァア……」

 キメラ伯爵は力尽きて倒れた……


 ・

 ・

 ・

 ・


 大魔王城にて


「馬鹿な!!!」ニトラルが大声を張り上げた。


「間違いなく瞬間冷凍して、詠唱する時間は無かったはずよ」リヤは驚愕の表情を浮かべる。


「……余は詠唱破棄出来るのだ……誰も余を止める事は出来ぬ……」


「そうなので〜す。大魔王様にリセマラ(リセットマラソン)の能力がある限り、無敵なので〜す」元気な状態に巻き戻ったドーシャが前に出て来る。



 さすがに肩を落とすニトラルとリヤ。



「無敵では無いだろう。何度でも、何度でも倒すのみだ。エタール、貴様が諦めるまで倒し続けてやる」

 ナイトが剣をエタールに突きつける。



「そうね。少しずつ変化をつけながら倒し続けたら、きっと弱点が見えてくるわね」落ち着きを取り戻したリヤが賛意を示す。



「どんな時でも希望は捨てないか……さすが勇者じゃな。ナイト」


「えた〜る様〜。こいつらポジティブで〜す」

 ドーシャが呆れ顔でエタールに告げる。




 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


「なんじゃ?」


(かみなり)?」


「そ、空が暗く……」

 ナイトは窓の外を見つめる。まだ昼過ぎなのに空は黒く染まっていた。


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


「え、えた〜る様〜」


「……この演出は……ま、ま、間違い無い……つ、つ、つ、つ、遂に来たか?」


「は、はい〜。さ、最強レアを引き当てました〜砕け散った多くのスケルトンの骸が報われました〜」


「セ、セーブ」エタールは慌てて小さな魔法陣を書いてセーブする。


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!


 ガラガラガラガラガラガラガッシャーン!!



 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーン!!!!!!!!


 大地が大きく揺れる。


 世界を喰らう蛇。ミズカルノズの大蛇が顕現(けんげん)した。



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