大魔王城 御前会議
次回からタイトル変更します。詳しくは後書きです。
中央大陸セントラルの中央部には巨大な山脈が連なっている。その中で一際高い山にエタールの本拠地は存在する。
「エタール様、城塞国家と戦闘中のギガンテス部隊より、結界が脆くなってきているとの報告が入っております」黒い煙のような影の魔物が報告する。
エタールの左横に立っていた金色のローブをまとったリッチが前に出た。名はハデダスと言う。
「エタール様、賢者リヤの寿命が尽きそうという噂は本当のようですな。これは大チャンスですな」
「うむ……暗黒龍ブラドラとガーゴイル師団を向かわせよ……」エタールは低い声で呟く。その姿は人と変わらない。
「はっ、直ちに!!」
黄色い煙のような影が部屋から飛び出して連絡に向かった。
「次の者、報告せよ」
ハデダスが報告を促した。
スルスルと赤い煙のような影が前に出る。
「北部地域より報告が入っております。マッドマキシマムと名乗るならず者集団が、北部地域の人族の集落を襲撃中。大量の流民が発生して南下しております」
赤い煙のような影が報告した。
「マッドマキシマムとはどのような集団なのか?わかるように説明せい!!」
ハデダスが更なる説明を促す。
「人族の集団なのですが、町や村を破壊しながら北上中との事です」
赤い煙のような影が説明を補足する。
「えーい!北部総督の獅子王はどうした!!」
キレ気味のハデダス。
「それが、ならず者集団の頭目のシュラオンと名乗る者との戦闘で、敗死なされました」
「なんじゃと!!」
「北部総督軍も壊滅的なダメージを受けて潰走中との事です」赤い煙のような影は身を丸めるようにして報告する。
「……ミズガルノズの大蛇を向かわせよ……」
「いけません!エタール様!ミズガルノズの大蛇が赴けば北部一帯が再起不能のダメージを受けてしま…」
ハデダスの右半身が吹き飛んだ。
バタッ
「エタール様のお言葉は絶対。異存は許されぬ 」
エタールの右に控えていたダークエルフの剣士が剣を鞘に戻す。
・
・
・
「はっ、私は今、半身を吹き飛ばされて……」
ハデダスは自らの身体を確認する。何も……別状が無い……
「エタール様に感謝するのだな 」
ダークエルフの剣士は薄い笑いを浮かべる。
「ミズガルノズの大蛇を向かわせる……異存あるか?」
「エ、エタール様の御心のままに……」
ハデダスは大きく頭を下げた。
「……もう良い……報告を続けさせよ……」
エタールは目を瞑る。
「つ、次の者、報告せよ 」
「はっ!」
灰色の煙のような影が前にスルスルと出て来る。
「南部より報告が入っております。複数の都市より人族の蜂起が発生しているとの事。南部総督のスラウィン大将軍とスライム軍団が、反乱軍を南部中心都市サウザーに追い詰める事に成功。攻囲中との事です 」
ハデダスはエタール様の様子を見る。
「……南部はスラウィンに任せよう……しかし、急に色々と事態が動き出したか……ハデダス……どのように思うか?」
「はっ、 賢者リヤの寿命が尽きそうな事から、城塞国家絡みで思惑が渦巻いているように思えます 」
「えた〜る様〜」
ハデダスの影から声がする。
そして強い眼差しの2つの目が現れた。
「そこにいたのか!!ドーシャ」
ハデダスが影を睨みつける。
「はい〜、ハデダスさん〜」
影から若い、女性っぽい吸血鬼が出て来た。
「大魔王軍特務部隊長 ドーシャの参上でございます〜る」ドーシャはエタールの前で跪く。
「えーい、どうしたのだ。イライラするから早く話すのだ!! 」ハデダスは既にイライラしている。
「うちのポン吉君の以前の報告で、マッドマキシマムなるヤバ〜イ集団が、セントラル侵攻を企んでいた事とかあったんです〜」
「何だと!!」
「話を聞く限りアホみたいだったので放置してたんだけど、実際セントラルに侵攻して来たのであれば、何か裏がありそうです〜」
「ウエスタンの王様連盟が100年ぶりに仕掛けてきたようだな……面白い、再び我が前に屍を晒しに来たか……」
「エタール様、いかがなさいますか?」
ダークエルフの剣士が跪いてエタールに問う。
「これは好機だ……セントラル侵攻軍を滅ぼした後に、ウエスタン大陸も我々の物としよう」
全ての配下がエタールに対して跪いた。
次回からタイトルを、
モブな勇者の英雄譚〜俺たち普段はモブだから〜
に変更し、セントラル侵攻にあわせてジャンルをハイファンタジーに変更したいと思います。
今後とも何とぞ宜しくお願い致します。