空飛ぶ壺編2
「ワイもワイだけの為に設計された専用機が欲しいんや!!」
「ウルフンさん、ワガママを言わないで下さい。一人のワガママが全てに悪影響を与える事だってあるんですよ。僕達は組織人なんです」アーダ君が冷静に返す。
「くーっ!!ワイが、ワイが我慢するんかい」
「それでデザイン重視の為に他の機体に比べて底が浅いので、上部の防御力が弱い仕様になっています。
ベースカラーは僕の大好きな白をベースに、同じく大好きなモースキ君を50倍サイズで描いています」
「ちょい待ち!ワイに『ワガママ言うな』言うといて何で大好きなモースキ君が出てくるんや!!」
「モースキ君のワンポイントには重要な意味があるんです。順番に説明するので静かにして頂けますか?」
「ムキーっ!!ワイの、ワイの専用機なのに、なんで蚊の絵を、50倍サイズの蚊の絵を描かれなければならないんや!!」
「まぁまぁ、ウルフンさん、落ち着いて」
「ミーネはんはいいがな、カッコいい黒龍で、ワイは、ワイは蚊なんやで……ビックな蚊なんやで……」
「ちなみにモースキ君は後ろに書いてありますが見ますか?」
「いや、いいです」皆で声を揃える。
「アーダさん、えー、モースキ君以外にそのマシンの特徴は無いのでしょうか?」ココがおずおずと質問する。
「よくぞ聞いてくれました。フライングポット3号機 スキュポスには凄い機能を搭載しております」
「なんや、なんや、ワイのスキュポスにも、自動迎撃機能とか、自動結界防御とか凄い機能があるんかい」
「ふふ、今見せますよ……スキュポス、バンザ〜イ!!」アーダ君がスキュポスに指示を出す。
すると、スキュポスの2つの丸い取っ手の下側がニュイ〜ンと離れて、上に上がってバンザ〜イをした。
「はい?」
「スキュポスの取っ手は実は腕なのです。普段は腰に手を当てた状態です」
ウルフンはガクッと膝をつく。
「バ、バンザイして……どないするんや……」
「ウルフンさん、まだまだですね。スキュポスの真価はここからです。」
皆が冷めた目でアーダ君を見る。
アーダ君は負けずに見返す。
「テッドさん、スキュポスの何が凄いかわかりますか?」
「え、俺?」
完全に不意を突かれるテッド。
「はい、英雄の誉れ高きテッドさんから見て、スキュポスの凄い所は何でしょう?」
「て、手がある事……」
「さすがはテッドさん。手がある事によってスキュポスは物が持てるのです。これは革命的な進化です。人族が他の動物と何が違うのか?手があり道具が使える事なのです」
「ま、まさか、ワ、ワイのスキュポスは進化するんか?もっと進化するんかい?」
「いえ、しません」
「…………」
「ではミーネさん。手があるスキュポスの役割は何でしょう」
「手がある……わかったわ。スキュポスは物資の輸送に活躍出来るのね」
「その通り。フライングポット3号機のスキュポスは、手で物資を輸送出来る輸送艦タイプなのです」
「ちょ、ちょい待ち。ワイ達はこれから敵の本拠地に行くんやで。ワイは荷物を持って敵陣真っ只中を突き進むんかい?」
「そんな愚かな事はしません。スキュポスの手は武器を持つ事が出来るんです。 例えば、右手に剣、左手に盾を装備した戦士タイプ スキュポス。」
コーディ君と、ドーナン君がスキュポスに剣と盾を渡す。戦士タイプ スキュポスが現れる。
「右手に弓、左手に矢を装備した長距離戦タイプ スキュポスなど、色々な状況で活躍出来る万能性がスキュポスの売りなんです」
「ワ、ワイはスキュポスに乗って矢を打つんかい?ワイは魔法攻撃とかビーム攻撃とかの方がいいんやで」
「スキュポスは肉体派なんです。万能格闘型 輸送艦スキュポス。空を飛びながら格闘したり荷物運びをする何でもありの輸送艦です」
テッドがおずおずと手を上げる。
「そーだ。ビックなモースキ君の絵の意味ってなんなんだ」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。スキュポスにのみ搭載された新機能と関係があるんです」
アーダ君は笑顔でみんなを見渡した。