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決戦 ネタギーレン編2

「カリカリ風呂をお持ちなさい」ネタギーレンは(ふところ)から羽扇(うせん)を取り出して、指示を出す。


 指示を受けた部下達は「えっさ!ほいさ!」とバスタブをかがげて持って来た。


「2mx1mぐらいのバスタブですね。」テツコは冷静に分析する。


「そんな事より、ホワイティが」ミーネがホワイティを指さす。


「駄目です!ホワイティ!」ココがホワイティを抑えているが、ホワイティはココを引きずってカリカリ風呂に向かっている。


「ホホホ、どうかしら?(わらわ)魅了(チャーム)は。男性陣は妾の(とりこ)よ」


「……テツコはん、ミーネはん。ワイは大丈夫や……ホワイティを止めるんや!!」

 テツコとミーネがホワイティを止めに向かう。


「ネギターレンはん……大切な事を教えてあげるんやで。いくらカリカリが好きやからって、同じ味を食べ続けたら飽きるんや。風呂一杯のカリカリなんか食えへんで!!」


「大丈夫よ。ドライフード、ウェットフード、セミドライフードにセミモイストフードをミックスして、味も各種取り揃えたの。最後に最近話題の液状フードを上から掛けてあるわ」


「な、な、な、何やて〜!!」

 ワイの口から、ヨダレが再び溢れ出す。


「さぁ、ウルフンさん。(わらわ)の配下になりなさい。そうすれば、思う存分にカリカリ風呂を楽しめるわよ」


「ワイの夢のカリカリ風呂が、カリカリ風呂が目の前にあるのに〜目の前にあるのに〜」ワイの目から涙が溢れ出し、口からヨダレも溢れだす。


「お手!!」

 ネタギーレンは右手を差し出して命令する。


「な、な、な。」


「ほら、カリカリ風呂に入りたいんでしょう。お手も出来ない子は、カリカリ風呂には入れないんだから」


「くっ……」


「だめよ!ウルフンさん!!狼男の誇りを捨てちゃぁ、だめ!!」ミーネはんがワイを必死に引き止めようとしとる。そ、そうや、ワイは誇りを捨てる事は出来ないんや。


 ・

 ・

 ・

 誇りを捨てずにカリカリ風呂に入る。なんかええ策は無いんかい……そうや!ワイは冷静になって、スッと手を出す。


握手(ハンドシェイク)や。親睦の証なんやで」


「ウフフ、面白い狼さんね。なら、お座り!!」


「な、な、な、何やて〜!!」


「ウルフンさん!!だめよ!!」

 ココはんの叫びが、誘惑に負けそうなワイの心を引き戻す。


 し、しかし身体が勝手に……ワイはフラフラ歩き出して「こ、こ、腰が抜けたん……やで……」

 ペタンと座り込む。


「ワ、ワイも年やからさっきのブランコで腰が抜けたんやで。お座りやないんやで」


「ウフフ、天下のテッドorアライブのウルフンも、(わらわ)の前では子犬と同じ。そろそろ勘弁してあげましょうかしら」


 ネギターレンは羽扇を高く掲げる。

 そして振り下ろす。

「よし!!」


 ホワイティが女性陣を振り払ってカリカリ風呂に飛び込んだ!!


「ズルイで!!ホワイティはん!!」一瞬遅れてワイもカリカリ風呂に飛び込んだ。


 ガチーン!!


「ホーホッホッホッ!!お食べなさい。心ゆくまでお食べなさい」


 タンコブを作ったウルフンがバスタブから顔を出す。「ホ、ホワイティはんが一瞬で食いおった。扉を全開にして、一瞬で食いおった……」


「ウ、ウルフンさん……」ココが心配するような声を上げる。


「ワ、ワイの苦労が……」

「ワイの夢が……」

「ワイの誇りが……」


「ウルフンさん。悪いのはアイツよ!!」ミーネがネタギーレンを指さす。


「わ、(わらわ)は何も悪くないわ。悪いのはホワイティさんですわ。全部食べたのはホワイティさんですもの」ネタギーレンはホワイティを指差す。


 ホワイティは慌ててテツコの後ろに隠れる。

「すみません、ウルフンさん。ホワイティの不始末は私の責任。私が責任を取って……腹を切ります」


「ちょ、ちょっと待ってテツコさん。ホワイティ、ペッしなさい。ペッとしなさい」ココがバスタブを指さして指示を出す、


 フィーンとバスタブの上に飛んだホワイティは、バスタブの上で扉を開く。


 ズダダダダダダ……

 カリカリがお風呂に落ちて行く。


「ほら、ウルフンさん。よし!!」ミーネはんがワイに指示を出してくる。


 ワ、ワイにもブライトがあるんやで。ホワイティがペッとしたカリカリを食べるなんて、ワイには、ワイには……出来そうや。でも少し我慢も出来そうや。


「みんな、ワイはもう大丈夫や。ネタギーレンはん、勝負や。あんさんが負けたらワイとホワイティに毎日カリカリ風呂や。それが王様連盟からの条件やで」


 それは違う……けど勝負が終わった後で話せばいいや、と思うココ。


「そんな事より、(わらわ)魅了(チャーム)を練りこんだカリカリを食べて、なぜホワイティは魅了(チャーム)されてないのかしら?」


 控えていたテツコが前に出てくる。

「博士の研究によると、ホワイティはリスの頬袋(ほおぶくろ)と同じように、亜空間に食物などを一時保管している可能性が高いのだそうです」テツコの解説が始まる。


「そうなんか。食べて成分を吸収してないから、チャームが効いて無いって事やな」


「はい。地獄の番犬(ケルベロス)に頬袋があるとしたら生物学上の大発見だと、遠く離れたイヌ科とリス科に前代未聞の共通点が発見されたのかも知れないと、おっしゃってました」


 ミーネとココは思う。

 犬とかリス以前に……あの白い大量の手は何???




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