メビウスのループ編2
「〜という訳なんや。」
ワイがエイマさんに会うと、ノーミズ博士にも聞いてもらう必要があると言われて、2人でノーミズ博士の研究所に行ったんや。そして今、博士達に説明した所や。
「うーむ。ウルフン君。テツコは昔からテツコなんだ。冥界戦士テツコ。忘れたのかい?」博士が真顔でとんでもない事を言ってきた。
「知らんわ!冥界戦士って何なんや!!そんなのファンタジーとちゃうで!!」
「大丈夫ですか?ウルフンさん。冥界戦士とは地獄の底から蘇って来たぜ、的な何かですよ」
「大丈夫ですか?はワイや無い、あんたらの方や!地獄の底から蘇って来た的な何かって…何なんや!!」
エイマはんは真っ赤な顔をして黙りこむ…
やばいで、この世界線は。みんなアホになっちょる。知的キャラだった2人までアホや…
「ウルフン君、それを女性の口から言わせては駄目だ。城塞都市を救い、人類を救ったテツコの大活躍を忘れてしまったのかい?」
「それは尻から火が出て…」
「何を言っているんだ、君は。テツコの尻から火が出るわけないじゃないか。」
「なんやて?」
「尻から手が出て冥界門。魔牛の大群を全滅させた恐ろしい技だ。次々と手に引きずり込まれて冥界の門をくぐる魔牛達。阿鼻叫喚の地獄絵図のようだったそうだ。」
「……」
「それ以降テツコは冥界戦士と呼ばれるようになったんだ。正確に言うと、尻の後ろに召喚した冥界門に魔牛を引きずり込んだのだが、科学者以外には違いはどうでも良いものらしい。」
ワイにもどうでもええ。
そんな事より、どうすればええんや?博士達も役立たずや。そう思っていると博士の助手が一人向かって来た。
「助手のジョーシュです。ウルフンさん、異世界転移する前に博士から手紙をもらいませんでしたか?」
「ん…そうや!暗号めいた〜〜〜.comみたいな、訳のわからん手紙をもらっていたんや!!」ワイはジャケットの胸ポケットの中から手紙を取り出した。
「そうか!異世界の私はこの事態を危惧して情報を残していたんだな。」
異世界のあんさんはホンマに優秀やで、と思いつつ手紙を博士に渡す。手紙を見た博士は、ジョーシュはんに指示を出す。
「ジョーシュ君。ネットにアクセスだ。秘密のノーミズ博士ドットコムにアクセスだ。」
「わかりました!」ジョーシュ君は機械を開いて、何やら操作を始めた。
「どうしたんや?」
「バタフライエフェクト。遠く離れた土地の蝶の羽ばたきが、遠く離れた土地で竜巻を起こすような影響を与える事がある、というカオス理論の中の言葉だ。」
博士が真剣な表情で説明する。
「世界線を超えるような大きな事態があれば、この世界にどんな変化が発生するかわからない。
だから影響を受ける可能性が低い所に情報を残して置く必要があったのだと思う。
それで、私が秘密裏に保管していた異世界のネットのマイページに、この件の情報を保管していた訳だよ。」
「さすが博士は異世界でも優秀ですね。」
「ワイの負けや。尻から手が出て冥界門とか、アホな事言うてるとか思うて、すまへんかった。」
「気にしなくて構わない。さてどんな重要な情報が出てくるのか…」
「は、博士!!」
「どうしたジョーシュ君?」
博士と一緒にみんなで機械のページを確認する。
「テ、テツコの、アイドル戦士 兼 冥界戦士テツコの水着写真集の画像が、た、大量に…」
時が止まった…
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「まー、しょーがあらへん。ワイにはさっぱりわからへんが、博士も健康な男性っちゅー事や。
固まって無いでそろそろ動かへんと冥界戦士がやって来るで。」
「そ、そうですよ。私にもさっぱりわかりませんが、テツコさんは世界を救ったヒロインですから、しかも冥界系のヒロインですから、呪術的な何かが人を惹きつけるのかも知れません。」エイマはんも引きつった顔でフォローを入れる。
「私にもさっぱりわからない。」
「僕もさっぱりわからない。」
「さすが博士だ。常人にはわからない領域に達していらっしゃる。」助手達が騒めき始める。
博士の時は止まったまま、ピクリとも動かない。
「博士!!ありました!!何百枚もページをめくって、やっと情報が出て来ました。」
「で、でかした、ジョーシュ君!!」
博士の時が動き始める。