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世界を超えて編2

「ならば俺達、テッドorアライブの出番だな。」俺は颯爽と名乗りを上げる。


「そうだね。やはり僕たちテッドorアライブしかないね。」アライブも賛同する。


「それは…駄目なんだ。」メガネ君が苦しそうに発言する。


「何でだ!俺達は数多(あまた)の試練を乗り越えて来たんだ。今回だってきっと大丈夫さ。」


 メガネ君は仕方ないといった顔で説明を始める。


「テッドorアライブのテッド君、アライブ君。君達が今の惨状の最大の原因なんだ。」


「えっ」

「えっ」


「まずはテッド君。君は第2話で何をしたのか覚えているかい?」


「いや、特に何も…」


「そうなんだ。君はメインの主人公であるにもかかわらず、初登場で何の活躍もせずに『ブービーが口から火を吐いてビックリ』みたいな事を言っているだけだったんだ。」


 テッドに多くの冷たい視線が突き刺さる。


「そんな主人公見たことないよ。君の行動にこそ、ビックリなんだ。」


「えっ…」


「くっ、そうやったんか。ワイさえ、ワイさえ第1話からfeatしていれば…」


「それにアライブ君」

 アライブは身構える。


「君は初登場の第4話を覚えているかい?」


「僕は城塞都市でガーゴイルを数匹倒して、颯爽と現れたはずだ。何ら問題はないはずです。」


「そうなんだ。そこまでは良かったんだ。」


「そこまでは?」


「そう。その後で魔牛やリザードマンの大群が都市に向かって進軍している、との情報が入ったんだ。城塞都市陥落の大ピンチだ。」


 顔色が青ざめる俺とアライブ。


「にもかかわらず、君達はモビーとブービーに丸投げしたんだ。『大丈夫だ。俺達にはモビーとブービーがいる』とか、『彼らは既に戦場に向かっている』とか言っていたけど、君達は何をしていたんだい?」


「うっ!」


「メインの主人公コンビが世界の危機をモブの2人任せて、その後は12話まで、なんと7話も登場しないんだ。君達はどこに向かっていたんだい?」


 隠れるように身を小さくする俺とアライブ。


「ちなみに第4話は旧第7話と第8話に当たるんだが、ここが魔力の流れが大きく減ってしまう最大のポイントだったんだ。

 旧7話と8話は凄く短い上に、他人任せだから人気がなかった。だからパーフェクトオーダーが死戦を繰り広げて人気のあった旧9話とくっつけてダメージを減らしたんだよ。」


 更に小さくなる俺達。


「君達の大活躍はそれ以降なんだ。それ以降の君達の活躍は、どの世界の勇者にも負けていないと思っている。だけど今回は駄目なんだ。それに君達が出たら本編との区別が難しくなる。今回は君達の出番はない。」


「すみません…」平身低頭謝る俺達。


「そうすると、私達パーフェクトオーダーの出番かしら?」ミーネさんが手を上げて発言する。


「すまない、ミーネさん。パーフェクトオーダーは中身が正統派すぎる割に名前がハイカラなので、使い方が難しいんだ。」メガネ君がぶっちゃける。


 ザワザワザワザワ・・・主要なパーティの出番が無いとわかり騒めく会場。


「ではいったい誰が世界線を超えるんですか?」パーフェクトオーダーのライルが確認を求める。


 スクッと立ち上がる青い影。


「ワイや。テッドorアライブfeat(フィーチャリング) ウルフンのウルフンや。ワイが世界線を超えるんや。」


 皆が、ウルフンで決まった。そう思った時だった。


「ニャア」


 会場に猫の声が鳴り響く。


 コツコツコツ…ゆっくりと足音が近づき会議場の扉が開く。「ばぁやが行くのですじゃ」


「えーっ?」俺は思わず声を上げる。


 ノーミズ博士が立ち上がって告げる。「世界線を超える候補は、この2組だ。」


「なんやて、世界線を超えるのはワイや。」

「時を欺くのは、ばぁやですじゃ。」

「孤独なんはワイや」

「笑顔を守るのは、ばぁやですじゃ」


「どうやって決めるんですか?」アライブが確認を求める。


「タイトルだ。魔力を引き寄せる作品はタイトルが素晴らしいのだよ。我々は異世界のネットと呼ばれる情報網にアクセスする事に成功した。」


「おぉーっ!!」会場から歓声が上がる。


「そこで素晴らしいサイトに出会ったのだ。名はRaWiといってナーロウのタイトルを診断してくれるのだ。この場を借りてお礼を申し上げる。」


「ありがとうございます。」皆で声を合わせて、頭を下げる。


「そこで驚愕の事実が判明したのだ。我々の星のタイトルである株式勇者は…」


 皆が固唾を呑んで見つめる。


「コメディのDランクで1038点だ。」


「なんや、なんや1000点超えとるなら凄いんとちがうんか。 」ウルフンがホッとしたかの様に発言する。


「ちなみに私のデビュー予定作の伝記【ノーミズ博士】はコメディDランクで1124点だ。


「おぉーっ」

「名前だけで勝つとは」

「さすが博士だ。」助手達が騒めく。


「タイトルの変更も必要そうね。さすがに【ノーミズ博士】に負けては厳しいと思うわ。」ミーネさんは呆れ顔だ。


「確かに、株の話はほとんど無いのに、株式勇者というタイトルで入口を狭めている気がするな。」ライルはメガネ君を見る。


「そうだね。準備が整い次第タイトルを変更しよう。より多くの人に気軽に見てもらえるタイトルにする必要がある。」メガネ君が答える。


「それは議長にお任せしましょう。それでは話を戻そうか。ウルフン君、君の予定タイトルを教えて欲しい。」


「ワイか、ワイのは【ウルフン行商記〜狼男なんで顔が怖いのは勘弁して下さい】や。ワイの商売の秘訣が仰山(ぎょうさん)詰まった名作やで。」


ピピピピピッ

助手の持っている機会が判定を始める。


「どうだね?ジョーシュ君。」博士は助手のジョーシュに結果を問う。






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