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無限迷宮編3

「そういう訳なんだ。」アライブは説明を終えた。


「アライブはん。そりゃアンタらが悪いでっせ。」ウルフンは呆れ顔になる。


「そもそもジミーはん。いやリッチはんの名前はジミーっていうんやけども、ジミーはんは、あんさんらの被害者でっせ。」


「いや、リッチはダークネス クラウドって攻撃してきたんだ。」アライブは反論する。


「それは攻撃ちゃう、ちゃう。」


「え?」


「それは室内を真っ暗にして安眠する為の呪文や。ジミーはんは神経質やから不眠症なんや。 あんさんらが騒いだから光も見えぬ真っ暗にして追い返そうとしたんや。」


「永遠の闇とか言ってましたよ 」ブービーが久々に発言する。


「それは半日コースやな。12時間は暗闇でぐっすりや。あとジミーはんはクラシック音楽好きで中二病やから、表現にもこだわるんや。」


「いや、でもリーダーのゴージャスな必殺技、迅雷剣 (きわ)みをふざけた技とか言ってましたよ。」モビーは納得がいかないようだ。


「テッドはんのはゴージャスなんかや無い。成金っぽいんや。」


「確かに」

「確かに」

「確かに」


「それに、ハム職人みたいな必殺技を使う勇者なんてテッドはんだけでっせ。他に見たことありまっか?」


「ないです…」モビーが小さな声で返答する。


「それにこのポーズは何や!!」


 ウルフンは片足立ちになり、両腕を斜め上に伸ばして、手先を内側に丸めて叫ぶ「(みやび)!!」


「全然、(みやび)や無いやないか!こんな技では死んでも死にきれんとちゃうんか!!」


「…………」


「こんなん勇者やなくて芸人やん。どこかで見た事のあるようなネタのパクリかいな。テッドはんは3流のパクリ芸人みたいなもんなんか?」


「くっ」反論できないアライブ。」


「後でジミーはんに必ず謝っておくんやで。それが人の道ってもんや。」


「いや、ジミーさんは亡くなられたと思うんだが」アライブが確認を求める。


「そんな恥ずかしい技で成仏出来るわけあらへん。いずれ必ず復活するやろ。そん時はハムギフト持参して謝罪に行くんやで。ワイも一緒にごめんなさいしてやるから。」


「ジミーさんはわかってくれるのでしょうか?」モビーが心配そうに(たず)ねる。


「大丈夫や。ジミーはんは悪い人やあらへん。最上級のハムギフトを持っていけばイチコロや。

 おっ、また階段か?うーん。こっちや。かなり臭うで。こんなけったいな刺激臭は初めてや。」


 ・

 ・

 ・

 テッドは上の階を目指してダンジョンを探索していた。最近はモンスターともほとんど遭遇しない。

 前のフロアでは襲いかかってきたモンスター達が「やっぱり駄目だ。奴には近づけない」とか言って逃げていった。ダンジョンを彷徨い、悟りを開きつつある俺の聖なるオーラが、邪悪な存在を近づけないのだろうか?


 戦わずして勝つ。まさに兵法の極みじゃないかと思っていると、ブリーフワンからの報告が入る。

「残り魔力10%。すみやかに補充して下さい。」ブリーフワンの魔力が尽きる時は、俺の命も尽きる時。

最後の瞬間まで足掻いてやる。パンツに香水を振りかけて、俺は足取りを早めた。



「んんん、なんか物凄い魔力をこの通路の先から感じまっせ。」ウルフンが注意を促す。


「リーダーの匂いじゃないのかい?」アライブは剣を構えながら前に一歩出る。


「いや、そんなヤバイ臭いじゃあらへん。無臭に近いで…これは。洗濯好きのしっかり者や」


そんな奴いるんかい?とアライブが心の中で突っ込みを入れていると、敵が姿を現した。


真っ黒な鎧の首無し騎士。左手にマスクをした頭を抱えている。


「デュラハンか!!」アライブの叫びと共に戦闘態勢に入る3人。デュラハンは滅多に現れない高位のモンスターで、高い戦闘能力を保持している。




「デュラハンはんやないか。どないしたんか?こんな所で遊んでてもいいんかい。」


「おぉ、ウルフン殿か。なんか面白いおススメ商品でもあったのかの。」


「えーっと、御二方はお知り合いですか?」モビーが聞いてみる。


「おっ!お互い初対面か。こちらのデュラハンはんは、このダンジョンの30階から60階までの階層主をされているデュラはんや。」


デュラハンは頭を乗せた左手を前に上げて、胴体はお辞儀をしてから自己紹介を始める。


「デュラハンのデュラと申します。中層階の階層主をさせて頂いています。ウルフン殿とは長い付き合いで、様々な商品を仕入れさせて頂いております。」


「デュラハンはんとはビジネスパートナーなんや。win-winの関係やで。それでこちらの3人はあのテッドorアライブさんや。」


「テッドorアライブのアライブです。」

「ブービーです。」

「モビーです。」


「おぉ、まさかこんな所で有名人に会えるとは」

デュラハンが握手を求めて来て、3人は応える。


「僕達を知っているんですか?」馴れ馴れしいデュラハンにモビーが聞いてみる。


「王国スポーツ新聞を毎日読んでいるからね。この変化の少ないダンジョンでは君達は有名人だよ。尻から火が出て大回転の最優秀賞の受賞、おめでとう。」


「ありがとうございます。」あまり嬉しくはないけど

お礼を言うアライブ。


「ところでデュラハンはん。階層主の間から出て何をフラフラしてるんでっか?」


「それが・・・」デュラハンは事情を語り出した。






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