骨董品屋から始まる異次元生活3
明日を見失った俺と3号は、マッドマキシマムと共に修羅の国を目指す事になった。
しかし俺はテッドorアライブを諦めきれない。本当にマッドマキシマムのメンバーになってもいいのか?
「おい3号。お前はこのままでいいのかよ?」
「良くは無い。というか何でお前が2号なんだ?」
「成り行きだ 」
「そんな成り行き任せだから、こんな目にあっているのではないのか?」
「くっ……」
3号はなかなか口が立つので厄介だ。1号は基本ヤバイ奴だし、俺の立ち位置はクールな次男キャラか。
「さぁ着いたぞ 」
俺達は街から離れたマッドマキシマムの砦に連れて行かれた。砦は山の崖の洞窟を利用したもので、見張りが2名立っていた。
「お疲れ様です。モヒー・カーン隊長 」
「あぁ。異常は無いか?」
「はい。先に幹部の皆様は揃っております 」
「わかった 」
おぉ、モヒー・カーンがキチンとした対応をしている。俺は密かに感動した。
洞窟の中は予想以上に広かった。しかも大勢の人がいた。何なんだ、こいつらただの勇者パーティじゃないぞ。本気で独立国家を作るつもりか?
「着いたぞ。ここだ 」
俺達は大広間に案内された。ざっと100人以上はいそうだ。かなり広く奥にステージがあり、豪華な椅子にシュラオンが座っていた。 シュラオンは俺達に気が付くと立ち上がった。
「うぬらに紹介しよう。新しき名も無き戦士達、モヒカン2号と3号だ。 隊長クラスの手練れだ。自己紹介を頼む。」
「モヒカン2号です。猫について骨董品屋に行ったら、ここに来る事になりました。宜しくお願い致します。」俺は無難に自己紹介した。
パチパチパチパチ…
「モヒカン3号だ。宜しく頼む。」
3号め、カッコ良く決めやがった。そんな覆面をしてカッコつけても無駄だと言うのに。
パチパチパチパチ…
「さて、今日はうぬらに大事な報告がある。ついに魔族領侵攻の日取りが決定した。今から3ヶ月後の満月の夜。我らは魔族領への侵攻を開始する 」
ウォオオオオオオオオオ!!
「王様連盟との話はついた。共同作戦の元に全面的な支援が約束されている。命が惜しい者は去れ、止めはせぬ。チャンスが欲しい者は戦え。戦って勝ち取るのだ!!」
ウォオオオオオオオオオオオオオ!!
「ジーク(勝利を)シュラオン!!」
「ジーク シュラオン!!」
「ジーク シュラオン!!」
「ジーク シュラオン!!」
大広間の中は「ジーク シュラオン」の掛け声がいつまでも鳴り響いた…
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流れ流されて何処に行くのだろうと、アンニュイな気分で砦を散策していると、向こうから懐かしい顔がやって来た。アライブだ!!
「おーい。アライブ。俺の名前を言ってくれ 」
「どうしたのリーダー。こんな所で変な覆面をして何をしているの?」アライブが怪訝な顔で尋ねてくる。
「お、俺がわかるのか?」
「その真紅のドラゴンラブジャケットは、今年の最優秀パーティ賞の賞品だけど……」
俺はお気に入りのジャケットを着ていたのを思い出して、ジャケットを見つめる。
「リーダー以外は着こなすのが難しくて誰も着ていないしね。ただ、そのモヒカンマスクとの組み合わせは強烈だね。なんかヤバさが伝わってくるよ。この砦の中で一番だね 」
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アライブは王様連盟の交渉役の1人として、マッドマキシマムとの交渉に来ていたそうで、俺は名前を言ってもらって無事に覆面を卒業できた。
シュラオンに事情を話すと、「うぬにはうぬの役割があろう。構わぬ。うぬの役割を果たせ 」と言われて解放された。
モヒー・カーンには「残念だ。そのジャケットは置いていけ」と言われたが、丁重にお断りした。
3号はマッドマキシマムと共に修羅の国を目指すそうだ。「またいつか会おう」と約束して別れた。
他の奴等も見かけはヤバイが、話してみると悪い奴等ではなかった。俺はこの時、彼らの行動が世界を大きく動かす事になるとは想像だにできなかった……