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骨董品屋から始まる異次元生活2

 店を追い出された俺は、知り合いを探す旅に出た。


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 街を歩いていると、通りの向こうに見知った顔の勇者パーティがいた。「お、あれはマカデミアナッツ。チャーンス!!良いところで出会った 」 俺は街を歩くマカデミアナッツに向かっていった。


「ん?何か怪しいのが近づいて来るぞ 」 戦士のアーモンが注意を促す。


「おーい!!俺だ。俺。俺の名前を言ってくれ 」


「なんだ。お前。俺達に何の用だ 」リーダーのカシューが前に出る。


「俺だよ。俺。俺の名前を言ってくれよ 」


「俺だけじゃ、わからんのう 」困った顔をしてヘーゼルが答える。


「おいおい、このハスキーボイスを忘れたのかよ?」


「うーん。聞いた事がない気がするのう 」


「ハスキーというか、ヘリウムっぽい声だな 」カシューが失礼な事を言う。


「ごめんなさい。覆面さん。私達はメガネさんに呼ばれている途中なの 」ココが話を進める。


「そうだった。遅れるわけにはいかないんだ。すまない 」


 そう言って、マカデミアナッツの4人は去って行った……


「ヘリウム……?」一人残された俺は、自分の声が違って聞こえているのに気がついた。なんか、モヒー・カーンもこんな声だった気がする。


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 俺が知り合いを探して再び街を歩いていると、後ろからヘリウムっぽい声が聞こえてきた。


「おい!貴様!そのマスクをどこで手に入れた。それは我が家に伝わる一子相伝の大切なマスク。チンピラが手にしていいもんじゃないぞ!!」


「いや、骨董品屋で売ってたけど 」


「馬鹿な! そのマスクは300年以上伝わる秘伝のマスク。さては貴様は俺の偽物だな 」そう言うと、モヒー・カーンはモヒカンを後ろにズラして取り外した。


 こんなマスクをつけたままで死ぬわけにはいかない。俺もモヒカンを取り外す。


「くらえ! モヒーカッター!!」

「くらえ! モヒーカッター!!」


 クルクルクル ガチーン!!2つのモヒーカッターが激突する。その刹那にモヒー・カーンは俺に詰め寄り、回しの上段蹴りを放つ。


「飛竜脚!!」


 ガンッ!! 俺は腕でギリギリガードするが、弾き飛ばされる。ガードした腕の痺れが取れない。


 えっアイツ、こんなに強かったの?今日はオフだからブリーフワンは着けていない。これはヤバイかも知れない。


「やるな!では、これはどうだ!!」言うやいなや、突進してくるモヒー・カーン。俺は両手をガードに回すが目前で奴の姿が消える。


「なっ?」


「地龍旋!!」急激にしゃがみ込んだモヒー・カーンが俺の脛に回し蹴りを放つ。


 ガンッ!!


 強力な一撃を喰らい体制を崩す俺。トドメとばかりにオーラを纏った拳が迫る。俺は死を覚悟する。


「ちょっと待てや!!」謎のヘリウムボイスがモヒー・カーンの後ろからストップを掛けてきた。


「何だ!貴様 」振り向いたモヒー・カーンは固まってしまった。


「俺か、俺の名前を言ってみろ!!」もう1人のモヒー・カーンが現れた。


「モ、モヒー・カーンが3人?」俺は思わず俺自身もモヒー・カーンに含めてしまう。


「おう!よくわかっているんじゃねーか。俺の名はモヒー・カーン。マッドマキシマムの突撃隊長よ。おかげで今日の魔法ロックが解除できたぜ 」


 しまった。本物のロックを解除してしまった。じゃあもう1人のこいつは何者だ?


「ま、まさかお前はポン吉か?」


 すると上の方から返事が聞こえて来た。「おいらはコッチだ 」 目の前の家の屋根に、立ち上がったタヌキがいた。


「オイラ、テッドから20万Gを取り戻しに来たんだ。そしたらヤバイ覆面マスクが3人も。至急戻って大魔王様に報告しなくちゃ 」ポン吉はそう言うと、走って去って行った。


「じゃあ、お前は誰だ!!」俺は正体不明のマスクマンを問い詰める。


「お、俺は……俺の名前を言ってみろ 」

「知らねーよ。俺の名前こそ言ってみろ 」

「俺こそ知らねーよ。俺の名前を言ってくれよ 」

「お願いだから、俺の名前を言ってくれよ 」


「ふふふ、何たる僥倖 」俺たちが段々と弱気な言い合いをしているとシュラオンが現れた。


「我がマッドマキシマムの三下が3人もおるわ。ポケットを叩くとビスケットが増えるという魔法のジャケットを買って……騙されたかと思ったが、モヒー・カーンが増えるとは」シュラオンはアホな事を言い出した。


「いや、それは騙されているとおもうぞ 」俺は鋭いツッコミをかます。


「では何故増えた?」


「えっ?」


「うぬらは魔族領侵攻の為の貴重な戦力。さぁ、ともに参ろうぞ。これからは突撃部隊のモヒカン兄弟として俺を支えてくれ 」


「しかし……」俺と偽物。


「俺は知っておる。そのマスクは呪いのモヒカンマスクの量産型。一度着けたら名前を呼ばれるまでは取る事は出来ないし、名乗る事も出来ぬ 」


「何?」


「その怪しげな覆面をつけ、ヘリウムボイスのうぬらに戻る場所など無い。俺はうぬらの過去にも名前にも興味は無い。チカラのみが全てだ。来いモヒカン2号と3号よ。ともに修羅の国に参ろうぞ 」


 もう俺達に帰る場所は無い……俺と3号は共に修羅の国に行く事になった。




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