矛盾編3
「くそーっ、くらえ迅雷剣!!」
ポン吉は、俺の必殺技の迅雷剣で攻撃を仕掛けるが、シュラオンはマントを叩きつけて防いだ。
「ふふふ。無駄よ、無駄。うぬでは俺には勝てぬ。勝てぬ訳があるのだ 」
ちょっと待って。俺はアイツに勝てないの?初耳なんだけど。不安になる俺。
「えーい。こーなったら、役立たずへの変化はやめた 」
ちょっと応援していた俺に対して、酷い事を言うポン吉。
「そーだ。あのモヒカンに化けてや 。」
人選が間違っている!素の頭も良くないのか?ポン吉と、心配するアライブ。
ポンっ!!
ポン吉は覆面モヒカンのモヒー・カーンに変化する。そして言い放つ。
「俺の名前を言ってみろ……」
「ふふふ、馬鹿め。うぬの名はモヒー・カーン。マッドマキシマムの三下よ!!」
酷い事を言うシュラオンに、シュンとする本物。
「馬鹿はお前だ。シュラオン。オイラはポン吉。大魔王軍特殊部隊の一員でワータヌキのポン吉だ!!」
「何?」
「弱っちいモヒカンの魔法でも、オイラが使えば威力は倍増。くらえ!!くるみ連射!!」
指からくるみ大の魔法の弾を連射するポン吉。
ダダダダダダダダダダ!!
「くっ!」
マントで防ごうとするが、マント越しにダメージを受けるシュラオン。
「どういう事だ。俺の時は俺と同等の威力しか出せなかったのに?」
「そうか!リーダーの素の力はポン吉を上回っていたからフルカラーで完全コピーしたんだ。でもモヒカンの力は、ポン吉を下回っているから片面だけコピーしたんだ 」
「と言うことは?」
「そう。片面がモヒカンで片面がポン吉、良いとこ取りをしているんだ 」
ダダタダダダタダダダタダダダ!!
連射を続けるポン吉。
「ぬおーっ」
シュラオンが怒りの声を上げる。
「モヒー・カーン!!何をしておる。お前も戦うのだ!!」
「はっ!はいっ!!シュラオン様!!」
「悪いな、ポン吉。死んでもらうぞ 」と言いながら頭のモヒカンを取り外すモヒー・カーン。
「えっ、外れるの?」唖然とする俺とアライブ。
「死ね。ポン吉。モヒーカッター!!!」モヒカンをポン吉に向けてぶん投げるモヒー・カーン。
グルグルと回転しながら、ポン吉に迫るモヒーカッター。
「遅い!!」すっと避けたポン吉は、必殺技モードに入る。
「トドメだ、シュラオン!!くらえ!!ヤシの実連射!!」
ズドドドドドドドドド!!!
ヤシの実大の魔法の弾丸が雨あられのようにシュラオンに降り注ぐ。
マント越しに大ダメージを受けるシュラオン。身体中が青あざだらけである。
グルグルグルグル
ポン吉が勝った!!誰もがそう思った瞬間である。モヒーカッターがブーメランのように戻ってきてポン吉の頭に・・・セットされた??
「なっ、一つの頭にモヒカンが2つ??」驚愕する俺とアライブ。
「オイラはこの瞬間を待っていた。くらえ!モヒーカッター!!」
ポン吉は2つのモヒカンを取り外し、一つはシュラオンに、一つはモヒー・カーンに投げつける。
「ギャァ!!」
「グォオ!!」
モヒーカッターが突き刺さり悲鳴を上げて倒れこむシュラオンとモヒー・カーン。
「勝った……強敵だった。でもオイラは、故郷を守ったぞ……」
しかし、もう戦う力が残っていないポン吉は、死を覚悟した。最強の敵テッドorアライブが無傷で残っているのである。
パチパチパチパチパチパチ
すると観衆から拍手が起きた。
「ん??」なポン吉。
「帰れ、ポン吉 」テッドは言う。
「そうだね。君は本質的には悪い奴じゃなさそうだ。故郷を守る戦いに、人間も魔族も関係ないしね 」アライブが続ける。
「ただ、もう人間界には来るな。俺達、人族も故郷は守らなくちゃならないからな。あと、もう俺には変化するな 」
「んんん。わかったよ。オイラは帰るし、もう人間界には来ない。あとテッドにはもう変化しない 」
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ポン吉は帰って行った…
「さっ、俺達も帰ろうぜアライブ 」
「ちょっと待った 」多くの観衆から声がかかる。
「ん?」
「今日はテッドが長年の借金を返してくれるって聞いて俺達は集まったんだが 」
「そうよ。今日はテッドが2人いるから、上手くいけば2倍。最低でも元本は返ってくるって聞いたんだけど 」
「はい?」
「ごめんね、テッド。前々からテッドの借金について催促されていたから、この機会に返済してもらおうと思ってね。いいじゃない。ポン吉が20万Gも肩代わりしてくれたんだから 」
「えーっ!!」
「ファイヤーパンツの整備費等にお金がかかるのはわかるけど、上場した時のお金やミッションクリアの報酬もあるし、いつまでも新人気分の借金体質じゃ駄目だからね 」
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俺は全ての借金や、マンガ本などを返済する事になった。
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その頃のポン吉。
「なんか雰囲気に騙された。20万Gを返せ。必ず返済させるからな!!」
全てじゃなかった……