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矛盾編2

 ポン吉との決戦当日。俺とアライブは1時間も早く決戦の場に来ていた。


「アライブ、なんでこんなに早く来たんだ?」


「ちょっと準備する事があるからね 」


 ・

 ・

 ・


 ワイワイ


 決戦の時間、中央公園には多くの見物人が来ていた。


 俺に化けたポン吉がやって来る。


「さぁ、決着をつけようか!!偽物よ!!」

 ポン吉がふざけた事を言ってくる。


「俺がテッドだ!!」俺は高らかに告げる。


「テッドは俺だ!!」ポン吉が言い返す。


「俺がテッドだ 」

「テッドは俺だ 」

「俺こそテッドだ 」

「俺がテッドだ。」

「テッドは俺だ 」

「俺がテッドだ 」


「ハイハイ!今回テッドを決めるのは君達じゃないんだ 」


「何?」

「何?」


「ギャラリーの皆さんに決めてもらうよ。ではテッドAは左の席に、テッドBは右の席に座ってね 」


 俺とポン吉は、それぞれの席に座った。


「じゃあ、ギャラリーの皆さん。順番にテッドを選んで行って下さいね 」


 ・

 ・

 ・

 酒場の女将さんが俺達の前に出てきた。

「うーん、なんだい。左のテッドは妙にイケメンだね。本物は右ね 」


 何?本物の俺は1時間早く来てアライブに化粧されていたのに。というか俺は何で化粧されたんだ。


「ふっふっふ。その通り、本物は俺だ 」ポン吉が高らかに告げる。


「じゃあ、出世払いのつけ20万Gを返してもらおうかね 」


「はい?」


「あんたがテッドなんだろう?」


「おう!」


「だったら20万Gを返しておくれ 」


 ポン吉は悩んだ。俺は借りてない・・・借りてないのに返したくはない。


「わかったよ。あんたは偽物だね。だから返せないんだ 」


「俺が本物だから・・・返す。」ポン吉はシブシブ20万Gを女将に渡す。おぉなんて太っ腹なんだポン吉。


「次の人、お願いします 」アライブが次の人を促す。


 場違いなガタイの良い戦士と、覆面をしたモヒカン拳士の二人組が現れた。


 唖然とする俺とポン吉。


「俺の名前を言ってみろ……」初対面のはずのモヒカンがわけのわからない事を言ってくる。


「はい?」うかつにもポン吉が相手にする。


「俺の名前を言ってみろと言っているんだ!!」少し苛立ったモヒカンが怒鳴りつける。


「いや、知らないから 」ポン吉が思わず本音を漏らす。


 パーン!!モヒカンの指から豆粒大の魔法の球が飛び出して、ポン吉のおでこにデコピンする。


「いたた・・・何をするんだ!!」さすがに怒るポン吉。


「俺の名前を言ってみろ……」無視して質問を繰り返すモヒカン。


「えっ?」


「俺の名前を言ってみろと言っているんだ!!」


 パパパパパパパパパーン!!


 モヒカンが豆粒大の魔法の球を連射してポン吉を攻撃する。


「イタタタタタタタタ」頭を抱えるポン吉。


「フハハハハハハーっ」笑いながらデコピン魔法を連射するモヒカン。


「ぷははっ」


 コントのような出来事に、思わず俺の笑いが漏れてしまった。するとモヒカンがこちらを向いて来る。


 しまった!!


「俺の名前を言ってみろ……」モヒカンが俺に質問して来た。


 ヤバイ、うかつな事を言うと撃たれる。


「俺の名前を言ってみろと言っているんだ!!」

 魔法の球を連射する準備動作に入るモヒカン。


「も、も、モヒカンさん?」


「おぅ、わかっているじゃねーか。俺の名はモヒー・カーン。今日新規上場した勇者パーティ マッドマキシマムの鉄砲玉よ!!」


 知らねーよ!!俺とポン吉の内心がリンクする。


「そして、こちらのお方が、マッドマキシマムのリーダーのシュラオン様だ 」


 シュラオンが前に出て来て、俺を見る。


「うぬがテッドorアライブのテッドか?」


「はい 」なんか怖いので慎重に返事をする。


「いい目をしておる 」


 おぉ、なんか褒められたぞ。実はいい人達なのか?ヤバイ人達だと思ったが。


「俺達、マッドマキシマムは魔族領奥深くに進行し、種族では無く力で全てが決まる弱肉強食の修羅の国を興す。名高き英雄テッドよ。うぬの力を貸してくれ。副帝の地位を与えるぞ 」


「はい?」ちょっと展開が早すぎてついて行けないと俺が思っていると、


 俺の姿をしたポン吉が前に出る。


「国には、年老いたジィちゃんやバァちゃんもいるんだ。小さな子供達もいる。お前達みたいなヤバイ奴らの好きにはさせないぞ!!」


 おぉ、俺の姿で言うのは止めて欲しいけど、何故かポン吉を応援したくなる。


「くらえ極炎獄龍波!!」ポン吉の尻から出た極炎獄龍波がシュラオンに襲いかかる。


「ふん!!」


 シュラオンは肩がけマントを手に握ると、ブンッと振って炎に当てて搔き消した。


「なっ?」

「なっ?」


「うぬでは俺には絶対に勝てぬ。勝てぬ訳があるのだ 」


「えっ、そうなの?」

「えっ、そうなの?」

 驚愕する俺とポン吉。


「剣を振るうまでも無い。この左腕の拳だけで充分よ 」


「く、くそ〜っ!!」負けフラグの立つような事を言いながら、シュラオンに飛び掛かろうとするポン吉。


「ふんっ!!」


 シュラオンが左腕を振るうと、巨大な拳のような魔力が放出されて、ポン吉を吹き飛ばす!!


「グワァー!!」

 ポン吉がダメージを受けて悲鳴を上げる。


 何なんだ?この展開は。顔を合わせる俺とアライブ。俺達はどうすればいいんだ。





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