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ブービーの過去編1

 テッドとアライブは、ある依頼を受けて魔法都市に来ていた。


「アライブ、モビーとブービーはどうした?」


「何か用事があるらしくて、今回は来れないらしいよ 」


「そうか、用事といっても、あの2人の場合は想像もつかんな 」


「未だに謎の連中だからね 」


「ところで赤い流星の話は聞いているか?」


「赤い流星?」


「この前、ビーゴ砂漠の魔王退治に行く為に、高速移動で飛行したじゃないか 」


「うん 」


「その時に、俺達3人は黒い極炎だったのに、モビーだけ輝くような真っ赤だったんだ 」


「うん 」


「それを見た目撃者達が、モビーの事を赤い流星(りゅうせい)と呼んでいて、俺達3人が黒い3流星(さんりゅうぼし)って呼ばれて、モビーのモブの引き立て役みたいって新聞に載ったらしい 」


「ごめんリーダー 」


「ん?」


「実はその件で、リーダーに謝って欲しいってモビーに言われていたんだ 」


「えっ?」


「前日に、トマトを食べすぎたのでリコピンの色素が強くでたのかも知れないって 」


「リコピン??」俺は問い返す。


「鮮やか赤で、リーダーより目立ってごめんなさいって言って泣き出したんだ 」


「ちょっと待て!!なんか毎度わけのわからない事で謝られている気がするぞ 」


「そしたらブービーが ……」


「えっ?続きがあるの?」


「モビーさん。トマトの色素(カロテロイド)はそんなに強くありませんよ。ゆで卵を染める実験で全然染まらなかったのを忘れましたか?」って、


「実験??」


「安心して下さい。あなたの炎の温度が低いだけです。まだまだですね 」って


「まだまだ?」


「そしたら、モビーがブービーに先生〜って抱きついたんだ 」


「なぁ、あいつら、その後は俺の事を完全に忘れているだろ…」


「うん。お、着いたみたいだよ」


「ここが魔法高等第1学院か 」


 俺達は守衛に用件を伝えて校内に入っていった。


「アライブ、なんか学生さん達の、俺たちを見る目が変じゃないか?」


「そりゃあ、急に尻から火を出して大回転されたらヤバいからじゃないかい 」


「それ冤罪だから、尻から火が出て超高速飛行するだけだから、大回転なんかしてないから 」


「ははっ、冗談だって。まぁ、魔法使い以外の冒険者が校内に立ち入る事は、あまり無いんじゃないかな?」


「もぅ、いいや……で、ここかな 」


「そうだね。ここが校長室みたいだね 」


 コンコン!


 アライブがノックをすると、


 部屋の中から若い女性の声で「どうぞ」との声が聞こえてきた。





 中に入ると20歳くらいの金髪の美しい女性が待っていた。


「ようこそ魔法学院に。私が校長のエイマ アットソンですわ 」


「テッドorアライブのリーダー、テッドだ 」


「アライブです 」


「ようこそテッドさん、アライブさん。まぁ、お座りになって、お茶でも飲みながらお話しましょう 」


 ・

 ・

 ・

 ・


「それでご用件は何でしょうか?エイマさん 」


「私、テッドorアライブについての、ある噂を聞きまして、居ても立ってもいられなくなりまして、お呼びした次第ですの 」


 俺とアライブは青ざめた顔を合わせる。


 ど、どれだ?


 尻から火が出て大回転か?


 テッドさんは、尻からヤバイ炎を出すって言われていたけど、実は大した事が無かった件か?


 テッドさんは凄くクールでカッコ良いが、賛成おばさん1票、反対99票の圧倒的多数で否決された件か?


 赤い流星とモブ3人が謎の魔王に破れた件か?


 ヤバイ、俺達ロクな噂がないぞ……二人で青ざめた顔を見合わせていると、エイマさんが語り出した。


「尻から火が出て大回転が見たいの 」


「えっ」


 こんな綺麗な顔をした才女が、尻から火を出して大回転なんて奇術が見たいなんて、


 そんな事言われても無理だから、俺は毅然とした態度で答える。


「それは、パーティ秘密なのでお見せする事は出来ません 」


「私、テッドorアライブの大株主ですの。なんなら大観衆の前で見せてもらってもよろしいですのよ 」


 まさかの大株主来たー!!


 慌てて あたふたする俺に代わり、アライブが前に出て答える。


「何故、あんな物を見たいのですか 」


「そんなに警戒しなくても宜しいですわ 」


 いやいや警戒するだろう、普通。


「かつて魔王城をも陥落させたと言われる対軍戦略魔法 ドラゴニカルストーム 」



 エイマさんは話を続ける。


「先日、星屑の巫女様が新たなる予言をなさいました。ドラゴニカル ストームを操る4人の勇者が炎を(まと)いて天に昇る 」と、


「炎を纏いて天に昇る?」俺とアライブは顔を合わせる。


「はい。天に昇りし4人の勇者は、口から火を吐き、尻からも火を放ちて回転し、大魔王を打ち倒すとの事です 」


「そして大魔王は4人の勇者によるドラゴニカル ストーム以外には倒す事が出来ないと。」


「えーっ!!」俺とアライブは思わずハモってしまう。


 それでは大魔王は倒せない。世界は滅んでしまう。


 あんなのが出来るのは、世界でもブービーだけ。俺達3人は尻からしか火が出せない。いや、尻から火が出るだけで常人離れしているのだが……更にハードルが上がるの??


 俺とアライブは青ざめた顔を見合わせた。


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