汎用決戦兵器編3
「ちょっと待って。リーダーは確かデキモノが出来ているはずでは……危険過ぎる 」
アライブが慌てて止めに入る。
アライブ、お前は本当に良いやつだ。俺が履かないと、お前が履かされる可能性があるのに、自らの身を省みずに人の身を案じるなんて……
お前こそ、勇者にふさわしい。
モビーとブービーに爪の垢を煎じて飲ませてあげたい。
「大丈夫だよ。アライブ君。君達、例の物を 」
すると助手達が、複数の新聞を広げて読み出した。
「勇者、テッド、デキモノ完治!!」
「これで敵無し。デキモノ完治 」
「英雄テッド、デキモノ克服 」
しまったー!!
あまりにデキモノ、デキモノとうるさいので、マスコミのインタビューで、
「デキモノは完治しました。もう僕はデキモノなどありません。いや、今となっては本当にデキモノだったのか、疑問に思うほどです 」と答えたのだ。
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結局、俺は赤いブリーフを履かされて実験に協力する事になった。
博士や助手達は、
「これで人類は救われる 」とか
「一人の勇者では、世界は変えられない。人々を勇者にする英雄テッドこそが世界を変えるんだ 」とか
ワイワイ盛り上がっていたので、俺も何か心が盛り上がって来た。そうだ。これは世界を救う偉業なんだ!!これは英雄の振る舞いなんだ。
パンツ1丁で実験するのかと思ったが、普通に服も鎧の装備もOKだった。テッドorアライブの女性ファンは残念がるだろう。
博士が俺を倉庫のような場所へと案内する。
倉庫の中に入ると俺は、床にある四角い2枚の板に乗るように指示をされた。
「博士、これは?」アライブが問う。
「カタパルトという道具だ 」
「カタパルト?」
「物体を乗せて高速移動して発進させる機械だ 」
俺は指示どおりにカタパルトにそれぞれの足を乗せて中腰でスタンバイする。
そして博士や助手やアライブ達は、全面が大きなガラス窓の部屋に移動して行った。
すると倉庫の入り口が自動的に開き、そこに繋がる道の線が明るく光だした。
倉庫内に、女性の声での魔法放送が響き渡り、カッコいい音楽が流れ始める。
「進路確保確認 」
「魔力充填80パーセント 」
「リミッター解除 」
博士が最後の指示を出してくる。
「発射された君は、極炎を持って敵役のゴーレム3体を破壊する。それが君のミッションだ 」
「魔力充填90パーセント!!」
「健闘を祈る 」博士がグッドラックの合図をだす。
「魔力充填完了 」
「システム、オールグリーン!!」
「ファイヤーパンツ発進します!!!」
ズゴゴゴゴゴーーッ!!!!!
物凄い勢いでカタパルトが動き出し、倉庫の出口で、俺だけ勢いよく発進された。