汎用決戦兵器編 1
メガネ君は友人と酒を酌み交わしていた。
「ついに出来たんだ。服型汎用決戦兵器、ファイヤーパンツの試作品が 」
「ファイヤーパンツですか?」
「尻から火が出て大回転を、誰でも出来るようにする最終兵器さ 」
「そんな事が出来るのですか?」
「魔法構文の解析は以前から出来ていたんだ。ただそれをパンツに移植するのがとても難しいんだ 」
ホウホウと頷く友人。
「でも僕は最新の流体力学と、フレミングの法則を応用する事で、ついに成功したんだ 」
「それはすごいですね 」
「特に熱量の発生点を上手く調整しないと大変な事になるからね 」
「確かに使用者や衣類を燃やすわけにはいかないですね 」
「僕の夢はね、ファイヤーパンツを履いた英雄マカデミアナッツの4人が、魔王城に乗り込む事なんだ……」
ワインを軽く飲んだメガネ君は笑顔で、
「そして、グルングルン大回転しながら極炎を撒き散らし、敵を蹴散らして、泣き出した大魔王をやっつける事なんだ……」
満足そうに夢を語った。
その頃、マカデミアナッツの4人は久々に、メガネ君のいない夕食を楽しんでいた。
ガタン!!
リーダーのカシューが急に立ち上がり四方を警戒する。
「殺気!!!!」
「確かに、急に寒気がするわい 」
「駄目だ。震えが止まらない 」とガクガク震えだすアーモン。
パン!とココが手を叩く。
「落ちついて、みんな。邪気に飲まれちゃダメ 」
「しかし・・・」震えが止まらないアーモン。
ココはみんなに向かい微笑んで、歌うように口ずさんだ。
「ヤバイの、ヤバイの、飛んで行け〜 」
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「おぉ元に戻ったわい 」
「大丈夫?アーモン?」
「ありがとう。大丈夫だ 」
「しかし、今のは禍々しい気配は何だったんだ?」
カシューの問いに答えられる者はいなかった。
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舞台は再び、メガネ君と友人に戻る。
「確かにゴーレムでの実験の成功率は70%程度・・・万が一にも、尻から火が出て大火傷なんて笑えないな。」
「そうですね 」
「うーん、僕の大事なマカデミアナッツのメンバーを危険な目に晒すのは気が進まないな 」
友人はニッコリと微笑んで提案する。
「それなら、私の知り合いに最適な人材がいますよ 」
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「へっくしょい!!なんだ?なんだ?すごい悪寒がするぞ!」
その日、テッドは風邪を引いた・・・