表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/196

勇者の祭典2

「それでは最後に、本年の勇者語大賞の発表を致します 」司会者が言うと、


 メガネをかけた男が壇上に立った。


「あら、メガネさんが出てきて、アーモンが後ろに立っているわ 」


「メガネ君、何しに出てきたんだ? 」


「少し嫌な予感がするのう……」


「勇者語大賞 審査委員長のメガネ君。と申します 」


「審査委員長??」カシューは思わず問い返す。


「今回の審査は、素晴らしい2つの言葉で、審査委員会の票が割れてしまいました 」


「最善を尽くせー!!」

「尻から火が出て大回転ー!!」


 王スポを見た観客から野次が飛ぶ。


「そう。その2つです。ほとんどの審査員は最善を尽くせと言います。尽くしてこそ道が開かれる時がある、と」


 その通りだ。尻から火なんて論外だろうとカシューは思う。


「ここ10年、魔王軍の進行によって多くの方々が亡くなりました。最近は多くの勇者の奮闘により戦況は改善されるも、悲劇の傷が未だ癒えない方々も大勢います 」


 静まり帰り聞き入る観衆。


「そんな時です。テッドorアライブのリーダーのテッドさんが、城塞都市を救い、絶対の死地に陥った勇者達を救い、そして尻から火を出して大回転をして、魔牛の大群を殲滅したのです 」


 いや、してないから、とテッドは内心で突っ込みを入れる。


「私は最初、城塞都市の話を友人と共に聞いて泣き、そして最後は腹を抱えて笑ってしまいました 」


「そして思ったのです・・・人は強いだけでは生きていけません。笑顔や、時にユーモアが必要なのです 」


「真の勇者は強さと優しさ、そして人を笑顔にする事が出来る者です。私、メガネ君は勇者語大賞にテッド氏の"尻から火が出て大回転"を推薦致します!!!」


「ウォオオオオ!!!」


 7割ぐらいの観客が盛り上がって同意をしている。


 よしトドメだとメガネ君は追撃をかける。


「皆さん!!尻から火が出て大回転を、この場で見てみたいと思いませんか!!」


「ウォオオオオオオオオオオオオ!!!」

 大観衆の心が一つになった。





 そんな事言われても無理だから。テッドは物凄く焦っていた。


 先程、冒険にイレギュラーは当たり前とか思っていたのが嘘のようだ。


 しかし救いの女神が現れた。


「ダメよ。こんな所で尻から火を出して大回転をされたら、みんな消し屑になってしまう!!」

 唯一の目撃者のミーネが慌てて止めに入る。


 しかしメガネ君は笑顔で、


「大丈夫ですよ。ミーネさん。王都防衛の最精鋭部隊、結界近衛団(けっかいこのえだん)に来て頂いています 」


 聖なる鎧を着た僧兵40人がぞろぞろとステージを囲みだして、詠唱を始める。


「アーモンさん、お願いします!!」とメガネ君が合図をだすと、いつの間にかテッドの背後に立っていたアーモンが、テッドを掴んで結界内に投げ入れた。


 詠唱が終わり結界が完成する。


「さぁ、テッドさん!!お願いします!!」とメガネ君が言うが、テッドはオロオロするしか出来ない。というか出来るわけが無い。


 すると、


「テーッド!!」

「テーッド!!」

「テーッド!!」


 まさかのテッドコールが巻きおこる。


 もぅダメだ……


 真実を告げるしかない…テッドが語ろうとした時に奇跡が起きた。


「リーダー、仕方がないですね。真実を語りましょう 」とブービーが前に出てきてくれたのだ。


 深呼吸したブービーは語り出す。


「皆さん。リーダーはお尻にデキモノが出来ております 」


「え〜!!!」とテッドが驚くも、


 モビーも前に出てきて

「リーダーはデキモノが出来ています。かなり危険な状態です 」と真顔で合いの手を入れる。


 騒めく会場。


「リーダーはデキモノなんだってよ 」


「極炎がコントロール出来ずに尻が爆発するんじゃね 」


「尻から火が出て大爆発!!」


 好き勝手な事を言い出す大観衆。


 天国から地獄。人生最悪の瞬間だとテッドは思った……







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ