ポン吉エイト編6
「やったか? 」
7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜に後ろから駆け寄るカシューとヘーゼル。
「ウヒョウヒャウヒャウウヒョウヒョウヒョヒョィィィイイイイ!! 」
奇声を上げ、フラフラと揺れながら、ゆっくりと立ち上がる7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜。
「私の全力の血の大鎚を受けて立ち上がるとは…… 」
「ウヒョヒョ、私の正体は大魔王デアールの精神であーる。ポン吉エイトに肉体は敗れ滅んだが、精神を乗っとったのであーる 」
ポン吉達の顔が全てデアールの顔に変わった。
「なんやて!! 」
ブレインマッスルウィザーズに地上に下ろしてもらったウルフン。
「ウヒャヒャ、故にどんなにポン吉エイトの身体が傷ついても関係ないのであーる。別の人間に乗り移るのであーる。憎っくきポン吉エイトには死んでもらうのであーる 」
「困りましたね。ポン吉エイトには吸血鬼キュードラ9になってもらわなくてはいけないのですが 」
「俺たちに任せろ!! ヘーゼル!! 」
「わかったわい!! 」
「扇風剣 奥義 剣嵐」
前に出たカシューは剣を突き出したまま回転を始める。グングンと加速する回転。
「ウリャリャ、愚かであーる。そんなノロマな技を食らうほど私は甘くないのであーる 」
振り向き、カシューに相対するポン吉デアール。
「付与魔法 雷風!! 」
ヘーゼルが放った雷がカシューの剣に絡みつき、雷を纏ったカシューは回転しながらポン吉デアールに向かっていく。
「ウヒャヒャ……全ての目から怪光線を放ってトドメを刺すのであーる 」
ポン吉デアールの身体の周りに真っ黒な瘴気がまとわりつき、目がドンドン充血していく。
「ウヒャウヒョウヒャウリャウヒョヒョウヒョウヒョィィィイイイ!! 」
16の目から一斉に怪光線が放たれて、カシュー死んだと皆が思った瞬間、カシューが怪光線を弾き飛ばす。
「『「『「えっ? 」』」』」
「よく見るんや!!怪光線は2本しか出ていないんやで!! 」
「???」
「俺は知っている。ポン吉以外のタヌキは剣鬼カシューに憧れているんだ。だから、この技を見るのに夢中で怪光線なんか出せやしない 」
回転しながら近づいてゆくカシュー。
「血涙や!!血の涙を流しているんや!! 」
「ぐ……グルグルドカン……かっこいい…… 」
「剣鬼カシュー…… 」
「これが……グルグルドカン…… 」
「グルグルドカン……見たかった…… 」
「う、美しい…… 」
「け、剣鬼カシューを舐めるんじゃねーよ…… 」
デアールの意思に逆らって声を絞り上げるポン六達。目から真っ赤な血の涙を流している。
「馬鹿か!!タヌキども!!グルグルドカンをこれから食らう気か!! 」
キャラを忘れて激昂するデアール。
「馬鹿はおまえだ!!くらえ…………グルグルドカン!! 」
カシューのグルグルドカンがポン吉デアールに炸裂した。
「ぐえぇえぇえぃえ…… 」
情け無い悲鳴を上げるデアール。
「ヘーゼル!! 」
「わかったわい!!ファイヤーアロー!!」
ドドドドンと炎の矢がポン吉デアールに突き刺さる。
「エイマさん!! 」
「ありがとうございます。準備は整いました。
浄化魔法 聖浄化!! 」
「グェエエ……………………… 」
真っ白な光が、ポン吉デアールを包んで行き、真っ黒なオーラが消えていく。
「ふふふ、さようなら、デアールさん。エタール様以外に大魔王はいらないのですよ 」
「……………… 」
真っ黒なオーラが消えて、8匹のタヌキが地面に残された。
「ふふふ、デアールさんは滅びました。さて、我々はミズガルノズの賢蛇を倒しに参ります。ウルフンさんや、グレティ姫、ブレインマッスルウィザーズの皆さんもご一緒です 」
キュードラがカシュー達の前に立つ。
「ポン吉エイトさんは連れて行きますが、貴方達はいかが致しますか? 」
「俺たちは…… 」
「ちょっと待ってくれ、リーダー 」
顔色の悪いメガネ君が現れた。