ポン吉エイト編5
その頃、キュードランド船首ではキュードラが吸血鬼キュードラ9について、熱く語っていた。
「ふふふ、私、真なるキュードラ以外は、私の後ろに隠れています。油断するミズガルノズの賢蛇。しかし私の後ろには分身のように8人のキュードラが隠れているのです 」
「ふむふむ 」
頷くウルフン。
「私が手を振ると16本の手がムカデのように現れます。驚愕するミズガルノズの賢蛇。
私が走り出すと分身のようについて行く8人のキュードラ。もはやミズガルノズの賢蛇はパニック状態です。そこで私は9人のキュードラによる血の大鎚でトドメを刺すのです 」
「通用せん気がするけど、面白そうなんで、見て見たい気がするん…… 」
瞬間、キュードランドが大爆発をおこし、船首部分が砕け散った。
・
・
・
キュードランド艦橋ではグレティ姫達が緊急の対応に追われていた。
「何が起きたの!! 」
「高出力の複数のエネルギー波が船首部分に衝突。船首部分が完全に破壊されました 」
「せ、船首部分にはキュードラ様とウルフン殿が……」
「な、何て事だ…… 」
「ち、地上から高速で巨大な魔力体が接近、だ、大魔王級です 」
「仕方ない、私が白式で出るわ 」
「待って下さい!!
キュードラ様、ウルフン殿の生命反応確認!!無事です!!生きてます!!」
「ふふふ、これはとんでもない化け物があらわれましたね 」
空中で静止するキュードラ。その足首にはウルフンがしっかりと捕まっている。
「なんなんや!!カシューはんの首がいっぱい、手がいっぱいなんやで 」
「ふふふ、私の名前は 剣鬼七首カシュー〜一首のヘーゼルを添えて〜です。以後、お見知り置きを…… 」
「なんや?何があったんや?何でカシューはんとヘーゼルはんが、シェフのおすすめデザートみたいな怪物になったんや!! 」
「七首と一首……わかりました。貴方の正体はポン吉エイトですね 」
「さすが元大魔王軍総参謀長キュードラ、よくぞ、おいら達の正体に気がついたんだな。そう、おいら達の正体はポン吉エイト。エタール様の為に死んでもらうんだな 」
「ふふふ、ポン吉エイトの皆さんは誰かに操られているようですね 」
「何を言ってるんだな 」
「血の大鎚 」
キュードラが右手の指先に傷をつけると、溢れ出る血が次第にハンマーを形作っていく。そして足元を見つめる。
「そうだ、ウルフンさん。邪魔なんで離れて頂けますか? 」
「ちょい待ち!!ワイは絶対に離さないで 」
「ウヒョヒョヒョィィィイイ!! 」
ポン二郎っぽいカシューの顔から怪光線が放出された。
ウルフンに足元をガッチリ掴まれた上に、ブラッディハンマーが重くて動けないキュードラ。
「ちぃっ、仕方ありません!!ウヒョヒョヒョヒョヒョィィィイイイイ!! 」
目から怪光線を放出して迎え撃つ。
キュードラと七首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜の真ん中でぶつかり合う怪光線。
「今や!! 」
キュードラの足元から怪光線に飛び乗ったウルフン。ダダダっと怪光線の上を走って7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜の上に飛び乗った。
「とう!! 」
7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜の背中の羽を押さえつけたウルフン。
「ウルフン!!フルパワー 固結び!! 」
2枚の羽をギュッと固結びしてしまう。
羽を結ばれた7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜はバランスを崩して高度がドンドンと下がっていく。
「よくやってくれましたウルフンさん!! 」
上空から急降下したキュードラ。ブラッディハンマーの重さも加わりドンドンと加速していく。
「血の大鎚!! 」
ポン吉っぽいカシューの頭へ血の大鎚が炸裂し、2つの角が砕け散った。そのまま地面に向けて叩きつけるように加速していく。
そしてウルフンはブラッディハンマーが炸裂した衝撃で宙に投げ出されてしまう。超高度から投げ出されたウルフンを颯爽と空中キャッチするブレインマッスルウィザーズ。
「お休みなさい、ポン吉エイト。次に起きたら吸血鬼キュードラ9になってもらいますよ」
地を震わす衝撃音を響かせて、7首カシュー〜1首のヘーゼルを添えて〜が地面に叩きつけられた。




