ポン吉エイト編3
瀕死のメガネ君を連れたカシュー達は、城壁上のココとエイマと合流した。
「大丈夫、生きてる。少し時間はかかるけど、私の回復魔法で治療します 」
「頼むココ。メガネ君が死んだら、この戦いの勝ち目が無くなってしまう 」
「ええ、絶対に助けるわ。ただし容体が落ち着くまで1時間はかかると思う 」
カシューはココからエイマに目を移す。
「エイマさんには申し訳ないが、結界の維持を頼めるか 」
「はい、ココさんの協力が無いのは厳しいですが、八賢者の名にかけて何とかしますわ 」
「しかし、まさかタヌキがメガネ君を倒すとは信じられんわい 」
「うむ…… 」
「そうだ。タヌキ達が見当たらないが、どこに行ったんだ? 」
「大ガエルを倒した後に変身が解けて、どこかに消えてしまいましたわ 」
「そうか……どこに行ったか、不安ではあるな 」
「恐らくは大丈夫じゃな。この結界は魔族を通す事はないからのう 」
「はい。ヘーゼルさんの言われる通り、魔族が結界を破壊して通ろうとしたら感知できますわ 」
「それなら安心……」
ポンポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
「なっ? 」
ポンポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
遠くから近づいてくる腹鼓。
ポンポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
「馬鹿な、この結界は魔族を通さないはずじゃ!! 」
「ふふん!!結界の前で人間に化けて通ったんだな 」
現れるポン吉エイト。
「ふふふ、メガネにトドメを刺しに来たんだな 」
「そうはさせん 」
武器を構えて前に出るカシューとアーモン。
魔法の詠唱を始めるヘーゼル。
「ふふん、知っているぞ。メガネと聖女以外は雑魚だって 」ドヤ顔のポン吉。
「舐めるな!!マカデミアナッツのリーダーはこの俺………… 」
「ポン兄、オイラ知ってる。アイツは剣鬼 カシュー。凄いカッコ良い。ポン六はアイツに化けたい 」
「え??? 」
ポン六に集まる視線。
「オイラ、さっき戦いサボってアイツら見てた。グルグルドカン!!カッコ良い 」
「却下。あんな弱そうなのに化けても仕方ないんだな。まだデアールの記憶は残っているから、デアールに化けるんだな 」
「ちょっと待て、ポン吉。俺は剣鬼 カシューに化けてみたい 」
ポン吉を睨みつけるポン三
「え、弱っちい人間の力が5〜10倍になっても、本当の強者が来たら簡単に負けちゃうんですけど 」
「剣鬼カシューに化けたいよなぁ、みんな!! 」
「うん 」
「俺も剣鬼カシューに化けたい 」
「剣鬼カシュー、無敵の剣士 」
「剣鬼カシュー…… 最強」
「吾輩も剣鬼カシューになりたいのでアール 」
予想外の事態に唖然とするポン吉。何故か顔がニヤけるカシュー。
「くっ……どうなっても知らないぞ 」
「けっ、剣鬼カシューを舐めんじゃねーよ 」
「仕方ない、剣鬼カシューに変化するぞ 」
「『「『「「おう!!! 」』」』」
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
どこからともなく湧き上がる白い煙が、ポン吉エイトを包み込む。
ゴクリと誰かの息を呑む音が聞こえた。
「我が体は八剣八頭!!八首カシュー降臨!! 」
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天空要塞キュードランド空の船首では、キュードラが風を受け立っていた。
「キュードラはん、何を見てるんや? 」
ウルフンがやって来た。
「ふふふ、遥かなる未来を…… 」
「…… 」
「ふふふ、遥かなる未来を…… 」
「聴こえてるで 」
「何か御用ですか? 」
「ちょっと気になる事があるんや 」
「ふふ、何でも答えますよ 」
「キュードランド落とし作戦は良い作戦と思うんやが、それだけやと厳しいと思うんや 」
「大丈夫ですよ。元大魔王軍総参謀長のキュードラ。当然、プランBも用意しております 」
「プランB? 」
「ふふふ、人呼んで9人のキュードラ、作戦名 吸血鬼キュードラ9」