ポン吉エイト編1
「ごめん、狸くん。君たちの相手をしている暇は無い。竜化!! 」
メガネ君の身体が赤く染まり、グングンと形を変えていく。メガネ君の周りを大きく囲むポン吉エイト。
「かかったんだな、メガネ君。1人では化けられない竜も綿貫8兄弟の力ならば変化可能なんだな 」
「ポン吉エイト!!八変化!! 」
黙々と湧き出る煙が、メガネ君とポン吉エイトを包み込み、煙の中から、ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポンと腹鼓の音が鳴り響く。
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
延々と鳴り続ける腹鼓、そして現れるメガネをかけた真紅の竜。なぜか落ちないメガネ。
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
ポン、ポン、ポポ、ポン。ポン、ポポ、ポン!!
ポポン、ポポポン。ポン、ポコ、ポン!!
「天上天下唯我独尊!!降臨!!ポン吉エイト8首ドラゴン!! 」
煙が晴れ、現れた巨大な八首のドラゴン。メガネ君ドラゴンより一回り大きく、その首の顔の一つ一つが綿貫8兄弟の面影を残している。
「ふふふ、大魔王デアールすらポン吉エイトの前では風の前のチリに等しかったんだな 」
ポン吉っぽい頭の首。
「あぁ、我らポン吉エイトの8首デアールの圧勝だったね 」
ポン二郎っぽい頭の首。
「……デアール 」
目を閉じ薄ら笑いの顔の首。
メガネ君ドラゴンは首を大きく振りかざして息を吸い、そして真紅の息を吐き出した。轟音を轟かせながら8首ドラゴンに向かう真紅の息。
「ふふん!!4首ブレス!! 」
8首ドラゴンの4つの頭から真紅の息が吐き出された。ぶつかり合う真紅の息。お互いのブレスの勢いはほぼ互角で中央で一進一退を続ける。
「ふふん、4つ首のブレスとほぼ互角なんだな。更に二つ出すんだな 」
「任せろ!! 」
「ガッテン!! 」
更に二つの首から真紅のブレスが吐き出され、少しずつメガネ君の方に押して行く。
「ふふん、ポン八。トドメをさしてあげるんだな 」
ドヤ顔のポン吉の顔の首。頷くポン八の首。
「我輩がポン吉エイト最強、綿貫ポン八であーる!! 」
絶叫と共に吐き出された真紅のブレスが勢いよく6つの首のブレスに加勢して、一気にメガネ君のブレスを押し込んで……メガネ君ドラゴンに激突した。
大爆発するメガネ君ドラゴン。
「くくく……エタール様の力をお借りしているのでエタール様には化けられないし、ミズガルノズの大蛇は魔力の桁が違いすぎて化けられない。
でも、それ以外の相手にはポン吉エイトは負けないんだな 」
倒れ行くメガネ君ドラゴンを傲然と見下ろす八首ドラゴン。
「さぁ、みんな、トドメのブレスを決めるんだな 」
「『「『「おう!!!!』」』」
7つの首が大きく息を吸い込んで真紅のブレスを吐こうとした時、奇跡が起こった。
「ちょっと待つんだな。ポン吉兄、トドメの前にはポン六の舞を踊らせて欲しいんだな 」
頭を下げるポン六。
「ポン六の舞? 」
「ポンポン、ポポポン、ポン六ですって奴だよ 」
「却下 」
冷たく言い放つポン吉。
「ちょっと待て、ポン吉。俺はポン六の舞を見てみたい。勝手に決めてんじゃねーよ 」
ポン吉を睨むポン三。
「えっ?見るも何も一心同体だから、一緒に踊る事になるんだけど 」
「楽しそうじゃねーか。なぁ、みんな 」
ニヤリと笑うポン三。
「いや、別に 」
首を振るポン二郎。
「我輩はポン六の舞より、ご飯の時間にしたいのであーる 」
「いや、それより…… 」
言い争いを始めるポン吉エイト。そこにミズガルノズの大カエル達が一斉に襲いかかった。