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テッドの使徒編10

 赤いテッドと緑のテッドに気を取られたフォージュリーを黄色の太陽が包みこんだ。


「ぐぉわぁあぁあぁ…… 」


 フォージュリーを包みこんだ太陽は、勢い良く燃え盛る。


「しぶとい奴だったね 」

「さすがに終わりだろう 」


「きゃあ!! 」

 ピンクのテッドが悲鳴を上げる。


 皆の注目を集める中で、黄色の太陽の中から真っ黒な手が少しずつ出てくる。


「ば、馬鹿な!!あの太陽の熱量の中で 」

 よろめく赤いテッド


「ふふふ、ふふふふふ。愚かなり人間共…… 」

 黄色の太陽の中から聞こえてくる暗い声。声と共に真っ黒に染まったフォージュリーの上半身が出てきた。


「私の正体は獄炎の大悪魔。故に熱量には耐性があるのですよ。日光に弱いキュードラなどと一緒にしないでもらいたい…… 」


 黄色の太陽から完全に抜け出したフォージュリーは黄色の太陽を思いっきり蹴飛ばす。ぶっ飛んでゆく黄色の太陽。


「かつてエタールに敗北し、力を封印されていたのですが、膨大な熱量のおかげで力を取り戻せました 」

 ニヤリと笑うフォージュリー、その力を確かめるように手の平を見つめる。


「さてさて、取り戻した力で手始めに、この国を滅ぼして、ついでに貴方達やキュードラを始末して差し上げましょう 」


「そうはさせない 」

 フルートを構えるテピュア。


「おやおや、手が震えていますよ……貴方にもわかるでしょう。圧倒的な力の差が…… 大魔王エタールにも匹敵した私の力を…… 」


 フォージュリーはゆっくりとテピュアの目の前まで歩を進める。一歩も動けないテピュア。


「そうら 」


 ガンっと、フォージュリーのデコピンで吹っ飛んで壁にめり込むテピュア。



「トドメを刺して差し上げましょう 」


 テピュアに向かうフォージュリーの前に赤いテッドと緑のテッドが立ち塞がる。


「そうはさせない!! 」


 フォージュリーの足元から丸太のような大根が飛び出した。


「大根アッパー!! 」


 しかしフォージュリーに触れる事すら出来ずに燃え尽きてゆく。


「そうら 」


 フォージュリーが両の手を振ると、小さな炎が赤いテッドと緑のテッドに降りかかった。赤いテッドと緑のテッドに触れた小さな炎は瞬く間に轟々と燃え盛る。



「くくく……愉快、愉快。さて大将首を頂きに参りましょうか 」



「そうはさせねーよ 」

 フォージュリーの前に立ち塞がるテミュジンとブルーのテッドとピンクのテッド。


「これだけの力の差を見て、まだ私の前に立ち塞がるとは、どこまで愚かなのでしょうか 」


 テミュジンはフォージュリーを悲しい目で見る。


「ちげーな。愚かなのは、守るべき者を守るべき時に守ろうとしない事だと思うがな 」


「守る力も無いのに? 」


「理屈でも確率でもねーんだ。魂の在り方なんだよ。ここで死んでも逃げるわけにはいかねーな 」


 フォージュリーは興味深げな目でテミュジンを見た。そしてピンクのテッドとブルーのテッドの方に目を向ける。


「お嬢さん達、赤と緑は黒こげですが、貴方達もそうなりたいのですか 」


 ピンクとブルーは顔を向き合わせて頷き合う。


「『……私達も逃げない!!」』


「くくく……そうですか、そうですか。ならば、死ぬ前に絶望をさせてあげましょう…… 」


 フォージュリーが両の手を振ると、炎の鞭がテミュジンとピンクとブルーのテッドの足に巻きついた。


「さて、さて、これで貴方達は動けません。そこでゆっくり、大勢死ぬのを見ていなさい。

 どれ、人がいっぱいいそうな場所は……ほほう、避難の建物か何かですかね。子供から大人まで大勢の人の気配を感じます 」



 フォージュリーは顔を上に向けて大きく口を開いた。口から燃え盛る大きな溶岩が次々と飛び出していく。空を真っ赤に染めた溶岩は、避難の建物めがけて降り注いでいった。


「くはははは!!あの程度の建物では私の溶岩は防げません。どうです。無力、無力でしょう。貴方達は ……ん? 」


 真っ赤な空から降り注ぐ溶岩に、多くの青い何かが向かってゆく。


 バイ〜ン!!


「馬鹿やろう!!テッドの使徒は俺たちだけじゃねー……テッドの使徒がいる限り、この世の悪は許さない!! 」


 降り注ぐ溶岩を迎撃する数多のテッドの使徒。


 フォージュリーは肩をすくめた。


「……テミュジンさん、愚かですね。これは私の罠ですよ。テッドの使徒をシェルター上空に集めて、反対側にある大病院、もっと大勢が集まっている大病院ごと人々を殲滅する為のね 」


 反対側を向くフォージュリー。


「ふふふ……こちら側には魔力を感じさせる人は誰もいません。シェルター上空の羽虫さん達では間に合いませんよ 」



 フォージュリーは口を大きく開いて溶岩を次々と吐き出していく。真っ赤な空から降り注ぐ溶岩の雨。

 大病院の屋根に溶岩が届きそうになった時だった。


 キラッと光る何かが屋根に届きそうになった溶岩に突っ込んで破壊した。


 次々と高速で溶岩に突っ込んでいくキラキラ光る物体達。


「……何ですか?あのキラキラは…… 」


「 ブレインマッスルウィザーズ空挺部隊……我等の……テッドの使徒の……同志だ 」

 テミュジンの目が潤んで見えた。



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