大魔王フリーチェ編4
「マイナー村の木こり…… 」
「そうだ!!俺たちは、あんたが大好きなマイナー村の木こりだよ。あんたが意識を取り戻したって聞いて、デモ行進を止めてここに来たんだ 」
「懐かしいですね。私は貴方方と一緒にマイナー村を巨大なリゾート村にしようとしていました 」
「なぁ、今からでも遅くないよ。俺たちと一緒に巨大なリゾート村を作らないか? 」
「残念です、木こりさん達。大魔王となった私には貴方達の力は必要ありません。木こりコレクションは私の趣味…… 」
「趣味…… 」
「そう、そして大魔王の仕事は世界の支配なのですよ。お退きなさい木こり達。命までは奪いません。私が世界を支配した暁には、思う存分木を切らせてあげましょう 」
「フリーチェさん、あんた、俺たちとの思い出を裏切って仕事を選ぶのかい? 」
「残念ですが…… 」
ブォーン!!木こり達の身体から熱い蒸気がものすごい勢いで溢れだした。
「なっ? 何ですか?一体? 」
「熱い情熱だ…… 」
木こりのリーダーが前に出る。
「えっ? 」
「フリーチェさん、あんたが俺たちとの思い出を裏切って仕事を選ぶなら、俺たちも仕事を選んで……神話になる 」
「な、何なんや?何が起きているんや? 」
熱いパトスで氷が溶けたウルフン。
「俺たちは、湖に落ちたあんたを助ける為に、竜王様の元で血の滲む修行をしたんだ。そして、王様連盟から首都の守り神、アルテミスの名を冠する事を許された 」
「なんやて? 」
「王都防衛特殊部隊アルテミスの木こり達。それが俺たちだ 」
「何を馬鹿な事を……木こり風情が修行したところで、大魔王に敵うと思っているのですか? 」
フリーチェの前に鞭を持った若い木こりが前に出た。鞭を勢いよくフリーチェに叩きつける。ベチーンと痛そうな音が高らかに響いた。
「な、何をする。痛いではありませんか!! 」
打たれた尻を押さえるフリーチェ。
「木こりは鞭を打つ…… エイエイオー…… 」
「『「『「エイエイオー」』」』」
「え??? 」
「も1つ、鞭を打つ 」
ベチーンとフリーチェの左足が打たれて、フリーチェはひざまづいた。
「くっ……な、なぜ、私に触れても鞭が凍らないのだ? 」
フリーチェの顔が苦悶に染まる。
「熱いパトスだ…… 」
「え??? 」
「木こりの鞭は痛いよ!! 」
鞭を持った木こりが鞭を連打する。身体中がアザだらけになるフリーチェ。
「な、なぜ、木こりが鞭を…… 」
フラフラになりながら立ち上がるフリーチェ。
無表情で鞭をふりかざす木こり。
「木こりは鞭を打つ……エイエイオー 」
ベチーンとフリーチェの右足が打たれて、ひざまづくフリーチェ。
「『「『「エイエイオー 」』」』」
「木こりは鞭を…… 」
「そこまでや!木こりはん!! 」
ウルフンがフリーチェをかばうように前に立った。
「フリーチェはん。あんさんの負けや。大人しく降参するんや 」
フリーチェは目の前のウルフンを掴んだ。
「愚かなりウルフン。貴方を凍らせて人質になってもらいましょう 」
ジュッとウルフンを掴むフリーチェの手から煙が出た。
「なっ!!何故凍らない? 」
「熱いパトスや!!
ワイの心も熱いパトスで燃え上がっているんやで 」
「フリーチェ君、君の負けだ。アルテミスの木こり達は、まだ本気を出していない。彼らが本気で斧を使えばどうなるかわかるだろう 」
顔だけ氷が溶けたノーミズ博士が口を開いた。
「くっ、大魔王たる私に降伏せよとは…… 」
「フォーメーションM!! 」
木こりのリーダーが指示を飛ばす。
鞭を手にした12人の木こり達が、フリーチェの周りを囲んで回りだした。
「『「『「木こりは鞭を打つ〜 」』」』」
青ざめるフリーチェ。
「こ、こ、こ降伏します!! 」
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この後、アルテミスの木こり達に加入したフリーチェは木こりに囲まれて幸せな人生を送ったという。