表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/196

臨時株主総会編2

 臨時株主総会場は大勢の人達で騒めいていた。


「お静かに!お静かに!これより、ナッツ商会提案のマカデミアナッツへの改名の賛否の投票を始めます。」


 壇上には、司会者と助手がいて、ホワイトボードがあった。


「それでは大口の株主様から投票して頂きます。ナッツ商会様は、マカデミアナッツへの改名賛成で宜しいですね 」


 ピスタチオ ナッツは「うむ」と答え、ホワイトボードの改名賛成の文字の下に、30と書かれる。


「メガネ君様は如何致しますか?」


「もちろん反対するよ。こんな素晴らしい名前を変えようとするなんて理解出来ない 」


 今度は改名反対の下に、25と書かれた。


「ドラゴンラブ様はいかがなさいますか?」


「ドラゴンラブは20票を10票ずつ、それぞれに投票する 」


 それぞれの下に10と書かれた。


 ピスタチオやメガネ君を見るが、双方怒っている様子は無い。良かった作戦成功だ。


 現状はマカデミアナッツへの改名賛成に40票に、反対が35票だ。これから小口株主の投票が始まる。

 ・

 ・

 ・

 ・

 そして小口株主全員が、マカデミアナッツへの改名賛成に投票した。









「ハハハハ!! 勝った!! 俺はドラゴンに知恵比べで勝ったぞ!!」


 ピスタチオ ナッツの高笑いが会場に響く。


 天高く右腕を突き上げると、ピスタチオコールが湧き起こった。


「ピスタチオ!!」

「ピスタチオ!!」

「ピスタチオ!!」

「ピスタチオ!!」


「そうか、裏で手を回しておったんじゃな」とヘーゼルが呟いた。


「そうだ。中立にならざる得ないマカデミアナッツの票が割れるのは、容易に想定出来た。ならば小口の票が勝敗を分ける。であるなら手を打つのは当然の事だ 」


「ルールの範囲内ではあるな。」とアーモンも呟き、会場内の視線が司会者に集まった。


「それでは集計結果を発表します 」


「マカデミアナッツへの改名賛成65、改名反対35で・・・マカデミアナッツへの改名が決定しました 」


 パチパチパチパチ・・・


 会場が拍手に包まれる。


「私はどちらでも良かったけど、決まったのなら仕方ないわ 」


「マカデミアナッツにも愛着があるからのぅ」


「俺は……」


「シャーラップ!!」


 アーモンの発言を遮るように、メガネ君のシャーラップ (お黙りなさい)の声が響きわたる。


 来た!!ここからが本番だ。




「どうした?メガネ殿。ルールに則って正式に決まった決定を否定するのか?」ピスタチオ ナッツが挑発するように言う。


「そんな事はしないよ。以前も言ったけど、僕達ドラゴン族は野蛮では無いからね。」


「ではマカデミアナッツへの改名を認めるのだな?」


「そうだね。認めよう 」


「それでは俺の勝ちではないか 」


「それはどうだろうね 」


「どういう事だ?」


「君も既にドラゴンラブって事さ 」


 馬鹿なの?俺がそう思った時だった。


 バタン!!


 突然、会場の扉が開き、一人の男が室内に走り込んで来た。


「会長〜。我が社の株が買い占められました 」


「馬鹿な!!我が社の株主は、資金力のある大口の安定株主ばかり。売り払う事などあるわけがない 」


 メガネ君がニヤリと笑う。


「少しもったいなかったけど、竜族のお宝と交換したのさ。人族にとっては、口からヨダレのでるような逸品ばかりさ 」


「なんだと!!」


「さて、では過半数確保の筆頭株主として、提案させてもらうよ。君の商会は、今日からドラゴンラブ商会だ。」


 顔色が青ざめて呆然とするピスタチオ ナッツは、


「ドラゴンラブ・・・」と呟き、ガクッと膝から崩れおちた。


 無責任にも、ピスタチオさんの「えーっ!!」が聞きたかったって思っていると、


 メガネ君が勝因を語り出した。


「君の敗因はドラゴンラブが足りなかった所だね。今後はドラゴンラブ商会できっちりドラゴンラブを貯めた方がいいね。」


 貯まるんかい!!と心の中で突っ込みを入れていると、災害級のとばっちりが降りかかって来た。


「さて、マカデミアナッツのメンバーに、ドラゴンラブが足りないメンバーが2人いるみたいなんだけど・・・僕は優しいから追求はしないよ。」


 俺たちは顔を見合わせて、ホッとした。


「代わりに、今日から僕も勇者パーティ マカデミアナッツに参加させてもらう。常に一緒さ。」


「えーっ!!」

「えーっ!!」

「えーっ!!」

「えーっ!!」


 久々に4人のハモった声が、建物を超えて響き渡った。



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ