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テッドの使徒編8

「シュラオンはん達も大変やったんやな 」


「そうね、私、あの人達の笑顔は好きよ 」


「そうやな……しかしフォージュリーはしぶといで。ビンタを食らい続けて、頭にファイヤアローを食らい続けても耐えてるで。足止めにしかなってないで 」


「大丈夫。主役はまだ着いてないわ 」





 その頃、ライル達、パーフェクトオーダーは街道をひた走っていた。

 ライルは思う。もしも大蛇が向かって来たら逃げ切るのは不可能だろう。アンジーがテッドを、パルンがミーネを背負っている為、移動に時間がかかる。


 しかし、ミーネやテッドだけでも逃さねば、皆が命をかけて戦った全てが無駄になってしまう。少しでも前へ……少しでも希望を未来に繋ぐため……


 ライルは剣を振りつづながら考える。


 行く手を塞ぐ魔物を排除する。隣ではダースクが矢を放つ。しかし矢が減って来ている為、近接戦は剣だ。だからこそ、近づいて来た敵は俺が倒す。


 巨大なゾンビスパイダー2体ががいきなり前方横に現れた。地面に隠れていたのか?


 そのゾンビスパイダー2体の眉間に矢が突き刺さり、ゾンビスパイダーは動きを止めた。


 よし、先に行け。俺は皆に合図を出して、ゾンビスパイダーにとどめを刺しに向かう。眉間を刺されたゾンビスパイダーは一時的に動きを止めた。しかし短時間だけだ。放置は出来ない。すぐに追いつかれる。


 風神剣で風に乗り、ゾンビスパイダーの頭上に飛び乗った俺は、即座に雷神剣を突き刺してゾンビスパイダー1体の脳を破壊した。崩れ落ちるゾンビスパイダー。


 もう1体に飛び移ろうとした時だった。


「キエエエエエェ〜ッ 」

 不気味な叫びが上空から響いた。


 頭上を見上げると、ゾンビワイバーンが10体ほど、円状に並んでグルグルと飛んでいる。一体がダースク達に向けて急降下を始めると、次々とゾンビワイバーンは急降下で続いてゆく。ダースク1人で止められる数ではない。


 間に合わない……


 それでも俺は風神剣でゾンビワイバーンに向かう。仲間を黙って死なせはしない。死ぬ時は一緒だ。


 ダースクの矢がゾンビワイバーン1体の眉間に突き刺った。2体、3体と突き刺さり、バランスを失って、ダースク達から離れた地面に激突した。


 しかし、そこまでだった。


 ゾンビワイバーン7体がダースク達に激突する。



 終わりだと思った瞬間、極炎の柱が湧き上がりゾンビワイバーン達を吹き飛ばした。


紅炎(プロミネンス)

 ミーネが復活した。






 キュードランド入口前


「お、おのれ、愚かな人間ども、貴様らなど、薄汚い欲望の為に簡単に悪事に手を染める、人を裏切る。悪事を誤魔化す為に人に罪を押し付ける……」


 フォージュリーは屈しない。


「救いが無いのだ、愚かな人間には。だから私が管理してやっていたのだよ。正常な人間という異分子を排除しつつね。正義の名の元に犯罪行為を正当化する連中の様に、私に感謝するべきだよ。理由さえでっち上げればやりたい放題できると大喜びしていたよ 」


 高笑いするフォージュリー。


「馬鹿やろう!! 」

 馬鹿でかい声が響いて、黄色のテッドが現れた。


「てめぇの捏造のせいで、てめぇに洗脳された連中の嫌がらせで俺のオヤジのカレー屋は潰れてしまったんだ!!

  変な言いがかりを付けやがって!!何だ!!カリーじゃなければカレーじゃないって!!どっちでもいいじゃないか!! 」


 黄色のテッドはフォージュリーを睨みつける。


「究極料理魔法……カレー玉!! 」


 黄色のテッドの右手の上空に、透明の魔法の膜に丸く覆われたカレーが現れた。


「くくく……何ですか?この黄色のお馬鹿さんは。貴方のお父さんのカレーの味が不味かっただけでしょう……まさに冤罪ではないですか 」


 ビンタされながら、頭にファイヤアローを食らい続けながらニヤリと笑うフォージュリー。


「馬鹿やろう!! 」

 ちょっと低めの声が響いて赤いテッドが現れた。


「黄色のテッドのお父さんのカレーは美味かった。俺はあの味を忘れられない……

 お前の仲間のカリー屋の味が不味くて人気がなかったから、嫌がらせをされて潰されたんだ!!黄色のテッドのカレーの味とは全く違うんだ!!

 こんなと一緒にするんじゃ無い!!!! 」




「何ですか?貴方は? 」


「赤いテッド……うどん屋だ 」


「次々と変なのが湧き出てきますね 」


「俺のオヤジは、村長として、皆を守ろうとして殺された 」


「エタールの名のもとに、正義の名の元に、やりたい放題犯罪行為を繰り返す連中を止めようとして殺されたんだ 」


「愚かなお父さんですね。エタール様のお言葉が全てではないですか 」


「毎回、言っている事が違うんだ……最後にエタールの名を出せば、全てが許される。人として、親として、そんな連中と同じ事は出来ないって……」


 赤いテッドは空を見上げる。


「家族を騎士王国に逃して、親父は1人で戦った。人としての尊厳を守るために……」


「くくく……愚かなお父さんですね。村長の権力があれば、犯罪者達と一緒にやりたい放題できたでしょうに。法にも何も縛られずに、ノーチェックで永遠に私刑(リンチ)が出来る。怖くて誰も逆らわないから、更にやりたい放題の犯罪行為が出来る。この世の天国では無いですか 」


 赤いテッドの目から一筋の涙が落ちた。そしてフォージュリーを睨みつける。


「至高料理魔法……うどん玉 !! 」


 赤いテッドの右手の上空に、透明の魔法の膜に丸く覆われたうどんが現れた。







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