テッドの使徒編5
「もう、始めても大丈夫だろうか? 」
メレッドが赤いテッドを見る。
「あぁ、大丈夫だ 」
頷く赤いテッド。メレッドと向き合う。
「ちょっと待ってくれ。聞きたい事があるんだ 」
慌てて手を上げる黄色のテッド。
「何でしょう? 」
「あんた、カレーは好きか? 」
「はい? 」
「カレーだよ、カレー。わかるだろ、ご飯にかけて食う辛い奴だ 」
「……知りません。魔族の辞書にカレーなるものは存在しません。必要もありません 」
「良かった…… 」
「はい? 」
「じゃあ、俺たちが魔界のカレーのフロントランナーだ。どうも俺のカレーは人々の口に合わないみたいなんだ。だから魔族にはどうかなって思ってたんだ。なぁ、あんた、俺のカレー屋のフランチャイズ店を始めないか? 」
「……私は戦士です。カレー屋など始めません。わかりましたか? 」
「……わかったよ、残念だ……なぁ、あんた。シチューは食った事があるか? 」
都市西部
ビートゥール博士は虫達を引き連れて、街をゆっくりと散策していた。
「こんにちは 」
緑のメガネの若い戦士が話しかけてくる。
「こんにちは 」
穏やかにかえすビートゥール博士。
「良い散歩日和ですね 」
「うむ 」
「ご一緒しても良いですか 」
「大丈夫じゃよ 」
「素晴らしい虫達ですね 」
「わかるかの? 」
「はい、僕は緑のテッドとか呼ばれていますが、実は真の名前があるのです 」
「ほうほう 」
「ザ、グリーンエコロジー、テッド。それが僕の正体なのです。赤いテッドさんにどうしてもコンビになって欲しいと言われて…… 」
「大変なんじゃな…… 」
「はい、でも慣れました…… 」
グレートグレティ艦橋
皆がピンク、ブルーとイヤービ戦を見ていた。
「『クロスビンタ♾フィニッシュ!! 」』
ビターーーーーン!!イヤービに強力な一撃が放たれる。甲高いビンタ音が響き渡り、イヤービがサラサラと砂の様になって崩れ落ちていった。
「何なんや?イヤービはんが粉になりおったで 」
「クロスビンタ♾は魔族を浄化させる聖なる力を持っていると言われているわ。ただ周囲の聖なる力を少しずつ取り込むのて時間がかかっちゃうって 」
「ホンマかいな?ただ、まぁ、これで初勝利はテッドの使徒やな。最先ええで 」
「そうね。ただ本当の強敵はキュードランドの中にいるわ 」
「そうやな。お、テピュア兄様が動き出しおったで 」
キュードランド入口前
「フォージュリーとやら、我々も決着をつけようか 」
「愚かなる人間よ、このフォージュリーに勝てると思うのか。その錯覚から目覚めさせて、後悔させてやろう 」凄惨な笑いを見せるフォージュリー。
テピュアは武器をマラカスから戦闘用フルートに持ち替える。フォージュリーは爪を伸ばし隙を見ている。
お互いに相手の様子を見て、中々動かない。
ばい〜ん!!
「仕方ねぇ、俺たちもとっととやるぞ、キバ 」
「舐めるなよ人間。イヤービの仇は取る!! 」
ファングーと向かい合うテミュジン。
バイ〜ン!!
「行くぜ!! 」
ダッシュでファングーの元に駆け寄るテミュジン。ファングーは、テミュジンに向けてカウンターの態勢を整える。
バイ〜ン!!
途中で1回鳴らすテミュジン。
無駄な動きをしやがって、と思うファングー。
ファングーの目の前に現れたテミュジンの盾パンチを、スッとかわすファングー。そのままカウンターの噛み付きが決まったと思った瞬間だった。
「あれ? 感触が無い? 」
「残念、お前は蜃気楼に騙された 」
ガンっ!!
ファングーのアゴにテミュジンの盾パンチが炸裂する。吹っ飛ばされるファングー。そこへテミュジンの尻から数多の炎の矢が出て襲いかかる。
「ぐわぁあああ 」
次々と炎の矢が刺さるファングー。物凄い勢いで全身が燃え上がる。
「お、おのれ……人間……貴様も道連れだ!! 」
全身が燃え上がるファングーが、最後の力を振り絞ってテミュジンに襲いかかる。
バイ〜ン!!
ファングーはテミュジンを捕まえて、そのままキュードランドから地上に向けて飛び出した。炎に包まれているから網では救えない。お前も一緒に死ね……
「残念。お前は空気を抱いている。じゃあな 」
「な、な、馬鹿な…… 」
燃え盛るファングーは天高く浮上するキュードランドから1人で地に堕ちていった。