テッドの使徒編4
魔族領中央部。
「う〜ん。暇だねぇ 」
暖かい陽気に目を細めるヤーフル。
「ふふふ、順調です。この調子なら明日にでもエルフの隠れ里に着きそうです 」
「油断しすぎだ、二人共。ここは敵地のど真ん中、どこから敵が現れるかわからないんだ 」
叱咤するアライブ。
顔を合わせるヤーフルとデュラ。
大丈夫!!アライブさんがいる限り出番が減るから、と伝えたいヤーフル。
これが噂のアライブ効果。恐るべき効き目です。とアライブを褒めたいデュラ。
何はともあれ順調に進んでいる3人であった。
都市南端部
倒れ込んだイヤービは立ち上がり、唾を吐いた。目が座っている。
「回転ビンタなんて父さんにもくらった事がないんだ。許さない!! 」
イヤービがピンクのテッドに攻撃をしようとした時だった。
「ブルーのテッドも許さない!! 」
どこから響き渡る若い女性の声。
「え?? 」
変な声が聞こえて不安になるイヤービ。キョロキョロと辺りを見回す。その一瞬の隙が命取りだった。
ビタタタタタタタタタタタタタタタタター!!
ピンクのテッドは一瞬の隙を見逃さずに回転ビンタを開始した。グルグルとイヤービの周りを回りながら回転ビンタを続ける。
「ピンクのテッドも許さない!! 」
ビンタをくらい続けながらイヤービは思った。天才の僕は既にこの技の破り方を見つけてある。我慢せずに倒れてしまえはいいだけ。カッコ悪いけど……まぁ、いいや……
流れに沿ってゆっくりと倒れていくイヤービ。ホッとした時だった。
ビタタタタタタタタタタタタタタタタター!!
倒れ込もうとした先にブルーのテッドが現れて、逆回転の回転ビンタを開始したのである。逆回転に持ち上げられるイヤービ。
「えええぇえ? 」
「『ピンク!! ブルー!!クロスビンタ♾!! 」』
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グレートグレティ艦橋
「ウルフンさん、言いたい事がありそうね」
「……回転ビンタする父さんは嫌や……」
「そうね…… 」
都市南端部
どれくらいビンタされ続けているのだろうか……イヤービは薄れゆく意識の中で思う。8を横にして♾ ( 無限大 )を現わす記号になる……その逆回転する2つの丸の接点にいる僕は……
イヤービは考えるのをやめた……
都市東端部。
青い鎧の戦士達が倒されて山積みになっている。その上に目を瞑り座る悪魔が一人。青い鎧の戦士達の呻き声が聞こえている事から死んではいないようだ。
「やっと強そうなのが来ましたね。私の名はメレッド。お相手しましょう 」
戦士達の山積みから飛び降りるメレッド。
赤いスカーフの壮年の戦士と、緑のスカーフの若い戦士が現れる。
『「赤いテッドと緑のテッドだ 」』
「よろしい。では始めましょうか 」
「ちょっと待った〜!! 」
黄色いスカーフの大柄な戦士がやって来る。
「誰ですか?貴方は 」
「黄色のテッドだ。緑のテッドに用があってやって来た。ちょっと待ってくれないか? 」
メレッドは黄色のテッドの真剣な目を見て、頷いた。
「おい、グリーン。お前、虫大丈夫だよな。なんか、俺の相手、虫まみれで恐いんだけど。近づきたくすら無いんですけど 」
「僕は環境に優しいエコな戦士ですからね。虫は大好きですよ。虫まみれ、いいなぁ。見てみたいなぁ 」
赤いテッドをチラチラ見る2人。
「行っていいぞ、緑のテッド。お前の役割は済んでいるからな。大丈夫だ 」
「ありがとうございます。赤いテッド。黄色のテッドの持ち場はあっちでしたね 」
「おう、真っ直ぐに10分も飛べばつく。誰も近づかないし、虫まみれも攻撃する気はないみたいで被害はゼロだ 」
「良かった。では行ってきます!! 」
緑のテッドは尻から火を出して飛び出した。