テッドの使徒編3
グレートグレティ艦橋。
「毎度の事やけど……誰? 」
「ピンクのテッドよ。顔出し、名出しはNGなの。わかっているのは決めゼリフだけ。ピンクのテッドが許さないって 」
「ワイも知ってる 」
「他にも強者がまだいるわ 」
「……ならワイらは戻らなくても大丈夫な気がして来たで。なんかわからんけどテッドの使徒が負けるとは思えへんで 」
「ただキュードラはエタールに近づくほど強くなる眷属。今、ここで全力で潰すしかないわ。あと、いくつか気になる事が…… 」
「気になる事って何なんや? 」
「国境地帯にはメガネ総司令やマカダミアナッツ、エイマさん達がいるのに、何の連絡もつかない状況が続いているわ。ミズガルノズの大蛇も気になるし 」
「そうやな……黒衣はん、あとどのくらいかかりそうなんや? 」
「緊急用の超高濃度の魔法石を使用して飛ばしていますが、丸1日……明日の昼ぐらいまではかかるかと…… 」
「まだまだやな 」
「それに夜を超えるわ。夜は吸血鬼の、キュードラの時間。夜になる前に倒さないとやっかいよ 」
騎士王国城壁地帯
「なんだ?あれは? 」
城壁地帯では避難民を受け入れながら、周囲から湧き出てくる魔物の駆除を進めていた。
ある老兵士は急に周辺が暗くなったのに気がついた。そして慌てて上空を見た。そこには巨大な大理石の扉が開きつつあった。
「全員!!影の下から退避!! 」
マカダミアナッツのリーダー カシューの声が響いて、皆が影の下から離脱を図る。
「リーダー……ヤバそうじゃな…… 」
カシューの元にやって来るヘーゼル。
「これは……ヤバそうだな…… 」
「どうするんじゃ?戻って来る避難民達の守りが必要じゃ。遠回りして城壁内に誘導するか?一度、離れた位置で待たせるかじゃ 」
暫し沈黙するカシュー。
「待たせていても状況が改善するとは言えない。遠回りして城壁内に誘導しよう 」
「そうじゃな。わかっ…… 」
突然、強風と豪雨が巻き起こり、ヘーゼルがふきとばされそうになる。
ガシッ
ヘーゼルを掴んで引き寄せるアーモン。
「アーモン、助かったわい 」
頷くアーモンの横のカシューが声を上げる。
「来た!! 」
巨大な扉から緑色の足が出てくる。そして胴体が出て来て、地上に落下した。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーン!!
ミズガルノズのアマガエルが顕現した。
天を突くような高さの巨大なアマガエルが、両の目を動かして周囲を警戒している。そしてゆっくり位置を変えた。
「でかいな……城壁の高さとほぼ同じって事は 」
「20メートル級じゃ 」
「かなりデカイがこちらにはメガネ君もいる。俺達なら出来る!!倒すぞ!! 他の者達は避難民の誘導に回れ!! 」
ゲロゲーロ……
上空から薄気味悪い鳴き声が響いた。
「リーダー!! 」
アーモンの重低音ボイスが響き渡る。
慌てて上空の扉を見ると、巨大な茶色の足が出て来ている。
「なんだと…… 」
扉から徐々に姿を現わす魔物は、轟音を響かせて地上に落下した。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーン!!
ミズガルノズのヒキガエルが顕現した。現れた巨大なヒキガエルはゆっくりと位置を変える。
「オイオイ、嘘だろう…… 」
更に天空の扉から、巨大な薄気味悪い足が出てくる。
足が出て、腹が出て、轟音を響かせて地上に激突した。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーン!!
前の2体を大幅に上回る巨体。ミズガルノズのウシガエルが顕現した。
城壁上
「エイマさん、ココ。城壁の守りは頼む。僕も前線に出る!! 」
メガネ君は尻から火を出して城壁上から飛び出した。
「わかりました!! 」
「お願い、メガネさん 」
飛び出したメガネ君に向けて、ミズガルノズのヒキガエルが舌を放つ。ギリギリでよけるメガネ君。
避けられた舌は、そのまま城壁に向かう。
ドガガガーン!!
城壁にかけられた天の絆に一撃でヒビが入った。衝撃で倒れこむエイマとココ。
エイマやココが気になってメガネ君が、後ろをチラ見した瞬間。ミズガルノズのアマガエルの舌がメガネ君に放たれた。
「しまっ…… 」
メガネ君は瞬時にかわす間がない事に気づいた。その時だった。
「せいやーっ!! 」
アマガエルの足元に回りこんだアーモンが、足の小指に向けて大鎚の一撃を叩き込む。
ドガガガガーン!!
「ぐぎゃ〜 」
足の小指を潰されたアマガエルがひっくり返って、メガネ君の前から舌が遠ざかった。