表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/196

ようこそ!楽しいキュードランド2

「私の名前はファングー。皆さまの夢先案内人です。この2体のゴーレムは4号と5号。私のガードマンです 」


 ファングーは人々を見渡す。


「皆さまに、素晴らしいお知らせがあります。なんと、なんと、なんと、なんと…… 」


 ()めを作るファングー。息を飲む人々。


「この、楽しいキュードランドに挑戦してクリアしたお客様には…… 」


 ゆっくりと目を瞑るファングー。そして目を開いて声を出す。


「キュードランド3カ月間無料パスポートをプレゼントします。ご本人様に限らせて頂きますが、3カ月内であれば何度でもキュードランドを楽しめる優れ物です……さぁ、勇敢な挑戦者は手を上げて下さい!! 」


 シーン……


 冷たい目でファングーを見る人々。ファングーは上空を指差した。そこにはまつ毛の長い大きな目玉と大きなガラスの板が浮いている。


「え、遠慮は入りませんよ。この挑戦は魔法映像で世界中に放映されるのです。クリア出来たら……英雄(ヒーロー)ですよ。いや、クリア出来なくても英雄(ヒーロー)です。私のように!!」


 ドヤ顔のファングーをアップで映し出すガラスの板。


 シーン……


「仕方ありません。皆さん、照れ屋さんのようです。私が指名してあげましょう。さぁ……誰にしましょうか…… 」


 群衆を見渡すファングーの目に、おずおずと上がる手が目に入る。


「おぉっ!!年老いた勇士よ。このファングーはあなたの勇気を忘れません!! 」


「すまん。家に帰りたいんじゃが…… 」

 皆の注目がお爺さんに集まる。そしてお爺さんの勇気に皆の心が動かされた。


「俺もだ!! 」

「私も 」

「お家に帰りたい 」

「僕も 」


「み、皆さん!!何をおっしゃるのです。楽しいキュードランドにせっかく来たのに、遊ばずに帰るのですか 」


「イカに連れて来られたんだ 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「最低 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「タコのせいだ!! 」

「キュードランドは誘拐犯 」


「うぅ…… 」

 うろたえるファングー。


「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」

「キュードランドは誘拐犯 」


 ファングーは頭を抱えて震えている。しかし人々の非難は止まらない。


「うぉおおおぉぉ!!おのれ!!人間共。キュードランドは誘拐犯では無い!!ただ片道切符なだけだ!!クリアしなければ帰れない事すら知らずに、好き勝手言いおって……そんなに帰りたいなら、飛び降りて帰りなさい!!名誉毀損で死刑です!!」

 遂にぶち切れるファングー。


「イカさん!!タコさん!!皆さまにお帰り頂いて下さい。下まで連れて行く必要はありません 」


 ・

 ・

 ・

 ・


 グレートグレティ艦橋


「なんやなんや、姫はん。緊急事態って何なんや? 」ウルフンが艦橋に現れた。


「ウルフン様、キュードランドから世界に向けて魔法映像が発信されているんです 」


「なんやて!! 」

 ウルフンが正面のスクリーンを見ると、長い牙の悪魔が頭を抱えて震えている。


「姫さま!音声も届きました!音声入ります! 」


「……名誉毀損で死刑です!! 」

 艦橋に響き渡るファングーの声。


「な、な、なんやて〜!! 」




 キュードランドにて


 多数のイカとタコが人々に襲いかかろうとした時だった。


 ぴ〜ぴっ、ぴ〜ひゃらら〜

 高い笛の音色が何処から聞こえてくる。


「な、何ですか?この笛の音は 」

 戸惑うファングーに、動きを止めたイカとタコ。


 ぴ〜ぴっ、ぴ〜ひゃらら〜


「アソコ! 」

 ゴーレム4号が広場の左方の崖の上を指差す。そこには青い鎧、赤いマントの金髪の若い男がいる。男は咥えていたフルートを外して、ファングー達を見据える。


「この世の悪が栄え続けた試し無し。テッドがいる限り、この世の悪は許されぬ!! 」


「誰かは知らぬが愚か者め。4号さん!イカさん!!殺して差し上げなさい 」


 猛スピードで崖を駆け上がり、謎の男に迫るゴーレム4号。金髪の男は右手のフルートを腰の辺りに構えた。


「シネ!! 」

ゴーレムの右手の爪が金髪の男の頭に突き刺さろうとした瞬間だった。


「テッド ストイック!! 」


金髪の男のフルートの横薙ぎで、ゴーレム4号は瞬時に遥か遠くまで弾き飛ばされて……爆散した。


「よ、よ、4号さん…… 」

愕然とするファングー。しかし数多のイカは止まらない。金髪の男に襲いかかる。


「 テッド スタイリッシュ!! 」

金髪の男が回転しながらフルートを振るうと、イカの大群が爆散する。


「お、お、おのれ……キュードラ様から預かった大切な従業員を……何者だ!!名を名乗れ!! 」


金髪の男はフルートをファングーに向ける。


「私の名はテピュア……テッド ピュアハート(純粋な心) ラブ フォーエバー(愛は永遠)


金髪の男は微笑む。


「テピュアだ!! 」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ