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臨時株主総会編1

 ドラゴンラブのリーダー 剣士カシューは不眠症に陥っていた。


 予想もしなかった所から、人生で最大級のピンチが降りかかって来たのだ。


 いや、前回の竜王戦も生死の間際に立っていたが、今回は別の意味で非常に大変な事になるとカシューは思う。


 古くからの大株主であり、スポンサーでもあるナッツ商会から、パーティ名をマカデミアナッツに戻す為の、臨時株主総会の招集場が送られて来たのだ。


 そんな事を言われても、好きで変えたわけでも無いし、メガネ君も大株主だし、どう考えても面倒な事にしかならない。


 考えても考えても結論が出ない。ならばパーティ皆の責任だ。という事で、パーティ全員で対策を練る事にした。

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「では、儂から大まかな説明を始めるぞい」魔法使いのヘーゼルが話し始める。


「多数決で過半数を取った方が、株主総会の提案の決定権を持つのじゃが、ナッツ商会が30%、メガネ君が25%、我々ドラゴンラブが20%、その他が25%というのが現状の株主構成じゃ 」


「うーん。ナッツ商会とドラゴンラブが組めば50%でほほ勝利確定するわけね 」聖女のココが頬杖をつきながら答える。


「逆にメガネ君とドラゴンラブが組めば45%で、その他から5%を獲得すればほぼ勝利なんじゃ」


「我々ドラゴンラブが付いた方がほぼ勝利確定というわけだな 」


 戦士アーモンの発言に皆が頷く。


「問題はそこなんじゃ、大株主であり、大口のスポンサーであるナッツ商会とは、今後とも協力が必要じゃ」


「しかし、メガネ君を怒らせるのも非常にマズイ。命に関わるし、知恵が回るのでタチが悪いんじゃ」


「どちらも怒らせてはいけないわけね。」


「それは難しいな、メガネ君は前回の件でわかるように簡単に諦めるような奴じゃない……ナッツ商会の会長も当代随一の商売人だ。人脈も広いし我々の仕事が非常に難しくなる 」


 俺は苦悶の表情を浮かべながら声を絞りだす。


「大丈夫よ、リーダー。良い事を思いついたわ」ココがパンと手を打って笑顔で答える。


「まずリーダーは、純粋に名前だけなら、ドラゴンラブとマカデミアナッツのどちらが良いの?」


「俺は、マカデミアナッツだ 」


「ヘーゼルは?」


「儂は、マカデミアナッツだが、ドラゴンラブでも別に構わんわい。」


「アーモンは?」


「俺もどちらでも構わない 」


 俺はハッと気がつく。


「ずるいぞ。みんな。俺だけがメガネ君に怒られるじゃないか 」


「大丈夫よ。リーダー。私はドラゴンラブでいいわ 」


「そうか、我々は4人、票を半分ずつに分ければ双方の顔が立つという事か……」


「まぁ、どちらが勝つかはわからんが、恨みを買うよりはマシというわけじゃな 」


「よし方針決定だ。誰がどれとは言わずに票が割れた事にして、半分ずつに票を分けよう 」






 ナッツ商会は、創業者である先代ペカン ナッツがゼロから基盤を作り、息子である当代のピスタチオ ナッツが世界的企業にまで発展させた穀物商会である。


 当代ピスタチオ ナッツは修羅場を潜った冒険者上がりであり、その豪腕と胆力を持って、ライバル商会を蹴落とし商売を世界中に拡大させた。


 ある時、王国新聞の新規上場のニュースでマカデミアナッツの記事を見た彼は、運命的な何かを感じ、彼らとの面会を求める。


 マカデミアナッツと面会した彼は、ナッツ感溢れるエピソードと彼らの将来性を大変気に入って、大株主となり、また大口のスポンサーになったのだった。


 だからこそドラゴンラブ等という改名は、マカデミアナッツの裏切りで許せないと思ったのだが、


 修羅場を潜り抜けて来た彼は、感情で行動せずに改名の背景を密かに調査した。


 すると改名は、メガネクンという人化できるドラゴンの差し金という事実が判明した。


 武力ではドラゴンには敵わないが、市場のルールで戦うのであれば勝算はある。メガネクンは知恵は回るが、ルールは守る人物である。


 長年の勘が、どちらに転んでも損は無いと言っている。ピスタチオ ナッツは、ドラゴンに知恵を持って戦さを仕掛ける事にした。




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