大蛇再臨8
少し前に遡る。
ミズガルノズの大蛇を視界に捉えたテッドは空中で急停止した。
「何だあれは……身体が地平線まで続いているぞ 」
「テッド様、モヒカン集団が逃げています 」
「あれは……モヒー・カーンの部隊か、このままでは全員食われるな…… 」
「いかが致しますか? 」
「仕方ない。本日2回目の限界突破 尻から火が出て大回転 極みXだ 」
「しかし……それでは残りのエネルギーが10%くらいにまで減ってしまいます 」
「ブリーフワン、換えのパンツは頼んであるんだ。恐らく本日中には届くと思う 」
「さすがテッド様。この事態を読んでいらしたのですね。ミズガルノズの大蛇に、合体ロボばりの空中着替えを見せつけてやりましょう!! 」
「ちょ、ちょっと待って。ぜ、前回は酷い目にあったんだ。なんでパンツが空から飛んできて、自動誘導で勝ってに空中で履き替えさせられたんだ。
ヤバイから、凄くヤバイ人扱いされるから、大蛇もビックリだから、普通に地上の物陰で履き替えるぞ 」
「テッド様、今の時代はAIです。猛スピードで飛行中に着替えるには、自動誘導でオートマチックに着替えるしかありません。ブリーフワンは自動誘導をお勧め致します 」
「ちょ、ちょっと待って。猛スピードで飛行中にパンツを着替える必要性が…… 」
ドガガガガガガーン!!
「テッド様!! 」
「あれは3号の飛竜騎兵隊か!! 着替えの話は後だ。世界を極みXで埋め尽くす 」
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「走る〜、休む〜、骨達。ふふふん、骨、骨、骨、ふんふんふん 」
ガシャンガシャンガシャンガシャン
神話の巨人は歌いながら走っていた。
「師匠!!あちらの空が真っ赤に!! 」
「あれは尻から火が出て大回転Xでござるな。
ならばミーネ殿。Xの炎を引き連れて先に行くでござる 」
「え? 」
「拙者、閃めいたでござるよ。
尻から火が出て大回転Xの2重攻撃、名付けて尻から火が出て大回転 XX。この技ならばミズガルノズの大蛇の強力な防御を打ち破るかも知れぬでござる 」
「え? 」
神話の巨人は肩に乗った黒龍号をむんずと掴んだ。
「拙者の無回転ストレートとミーネ殿の操船技術なら一気にテッド殿の所まで行けるでござるよ 」
「ちょ、ちょっと待って下さいケンマロ師匠。それは余りにも危険では 」
「さよう。無回転の直球は空気抵抗で最後に予想出来ない変化をするでござる。しかし、ミーネ殿の操船技術ならば、加速や減速でコントロールできるでござる 」
皆が注目して、ミーネは黙って考えこんだ。そして、
ゆっくりと皆を見渡した。
「わかったわ、やってみる 」
「ミーネ!! 」
心配そうな声を上げるライル達。
「きっと大丈夫。それよりも大蛇を倒せる確率を少しでも高めないと…… 」
「見事な覚悟でござるよミーネ殿。拙者達もすぐに追いつくでござる。Xの炎達を頼むでござるよ 」
「はい!! 」
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「なんだ?なんだ?空が真っ赤に 」
「見ろ!!英雄テッドが!!英雄テッドがあそこにいるぞ!! 」
真っ赤に染まった空を見上げて、テッドに気がついたリッキー達。
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
パンツライダーコールが巻き起こる。
ゴゴゴと尻から出る火の音でリッキー達の声がよく聞こえないテッド、歓声に手を上げて応えた。
「うぉおおおおーっ!! 」
「パンツの英雄テッドが応えてくれたぞ!!」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
「パンツライダー2号!! 」
ミズガルノズの大蛇も真っ赤な空の異様な気配に気がついた。鎌首を持ち上げてテッドを威嚇する。
「愚かな……世界は既に極みXで埋め尽くされている。限界突破 尻から火が出て大回転 極みX 」
数多のXの炎が整列して巨大なXを形作ってゆく。
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「では、行くでござるよ 」
神話の巨人 超巨大骸骨inケンマロは大きく振りかぶって、黒龍号を回転しないように投げだした。