大蛇再臨6
「どうしたんだ?みんな。感動でまだ動けないのか? 」
「ふふん、この神話の巨人の声に聞き惚れて、感動の余りに皆、動けないでござるよ、ライル 」
「確かに、神話の巨人の声は深く遠く響いていますね 」
「仕方ないでござる、ライル。拙者と2人で魂の叫びをするでござるよ 」
「わかりました、師匠 」
「せーの 」
「『エーックス!!! 』」
神話の巨人とライルの声が、天を響かせ、地を震わした。ゆらゆらと揺れていた超巨大なXの炎の揺れが大きくなる。
「見て、みんな。Xの炎が揺れているわ 」
「あぁ、魂の叫びがXの炎を揺り動かしている 」
「うむ 」
「お、俺達も協力しようよ 」
「パルンの言う通りね。みんな!! 私達も協力しましょう!! 」
神話の巨人とライルが頷きあう。
「せーの!! 」
「『「『「『エーックス!! 』」』」』」
心を一つにした神話の巨人とパーフェクトオーダーの魂の叫びが、天を響かせ、地を震わした。
そして……Xの超巨大な炎がグルングルンと回転を始めた。
「ミーネ殿、Xの炎とのリンクは完了でござる。動かしてみるでござるよ 」
「はい、ケンマロ様 」
ミーネがゆっくりと右手を動かすと、Xの炎達がつられて動き出した。
「良きかな、良きかな。準備は全てが整ったでござる。目標 ミズガルノズの大蛇。
行くでござる、神話の巨人 超巨大骸骨inケンマロと、Xの炎と共に!! 」
「『「『「おう!!! 」』」』」
皆の心が一つになって、前に一歩足を踏み出した時だった。ゴゴゴゴゴと大地が大きく震えた。
「ケンマロ師匠 」
「うむ、これは神話の怪物 ミズガルノズの大蛇の身震いでござる。身震い一つで大地震を引き起こす。
誰かが足止めをしているのでござろうが、神話の怪物を倒せるのは、神話の巨人 超巨大骸骨inケンマロと極みXの炎のみでござろう…… 」
「それでは師匠 」
「うむ、急いで助けに行くでござる。超巨大骸骨inケンマロとXの炎と共に 」
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ミズガルノズの大蛇の身震いで、大地が大きく揺れて大蛇の前に陣取っていたマッドマキシマム1番隊の親衛隊は倒れ込んだ。
そこへ巨大な毒液を吹きかける大蛇。毒液が迫り、皆が死を覚悟した時、リッキーは倒れながらも最後の一枚のお札を毒液に投げつけた。
「天の絆のお札!! 」
リッキーは思い出す。 ミズガルノズの大蛇に手も足も出なかった事で多くの仲間を失った八賢者イルスの話を。絶対的な強大な力を前にした時に為すべき事を……
少しでも良い、無駄なのかも知れない。それでも諦めずに、今打てる手を打つ事の大切さを。
ピカッとお札が光って透明の壁が広がっていく。毒液は透明の壁に阻まれて宙で止まった。
「い、今だ!!ひ、引くんだ 」
リッキーの声に倒れた親衛隊員達が動き出す。
ガンッ!!!
透明の壁に、大蛇の舌がぶつかる。走る衝撃に怯える隊員達。リッキーも躓いて倒れてしまう。
ガンガンと透明の壁に舌をぶつける大蛇。その、あまりの迫力に隊員達の動きが止まる。リッキーは声を出そうとするも声が出ない。ダメだ、このままでは、みんな死んでしまう……
「良くやった、リッキー 」
リッキーの肩に手がかけられた。リッキーは呪縛が解けたかの様に、身体に力が戻るのに気がついた。
「おかげで準備は整った。お前は皆を連れて後退しろ。後は俺がやる 」
顔を上げたリッキーの前には、モヒー・カーンの背中があった。
「み、みんな。ここは隊長に任せて後退だ!! 」
「お、おう!! 」
リッキーの声に再び動き出す隊員達。
彼らに一瞬、横目を向けた後、モヒカンに手を伸ばすモヒー・カーン。ガンガンと透明な壁にぶつかる大蛇に正対して睨みつける。
「よぉ、大蛇。俺の名前を言ってみろ 」