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外伝 キュードラ 愛の詩10

「見て下さい、ビートゥールさん。メレッドさんのアクロバティックな高速移動を…… 」


「ふふふ、罠の位置さえ把握すれば、メレッド殿にとっては、キュードランドなど子供の遊戯(あそび)の様な物でしょう 」


 次々と迫り来る巨大なアルマジロを、ジャンプの連続でかわすメレッド。そして大ジャンプして、天井から伸びているツタに勢いよく飛びついた。


「あ〜あ〜あ〜〜っ!! 」

 雄叫びを上げてツタを次々と飛び移るメレッド。壺を足に挟んでいる。


「とうっ!! 」

 壺を片手に持ち替えて大ジャンプしたメレッドは、3階に登るハシゴに飛びついた。


「凄まじい気迫ですな……」

 虫を纏いしビートゥールが近づいて来る。


 ビートゥールさん、貴方も凄まじい状態ですよ、と言いたいが、言えないフォージュリー。


「残り時間が30分以上あります。20数分でここまで来る為に全力を出したのでしょう 」


 ・

 ・

 ・

 ・

「ついに最後の問題ですね。フォージュリー様 」


「久しぶりにメレッドさんの本気を見ました。魔族領随一の体操選手の名は伊達ではありません 」


 フォージュリーとビートゥールの視線は水晶玉に集まる。水晶玉の中のメレッドは自信満々に見えた。


「第10問、最後の問題です。キュードラ 愛の詩より出題。貴方はちょいエロシーンを増やしたい 」


「ふふふ、貴方とは、キュードラ 愛の詩の多くのファンを示す ……」

 メレッドは時を図るように歩いて、丸の幕に向かう。


「しかし、ちょいエロの秘訣はギリギリを攻める事。ならば……焦りは禁物なのです 」


 丸の幕の前で立ち止まるメレッド。そして、おもむろに幕を破り、歩を進めた。空中を歩く様に進んで行く。


「ふふふ、私には見えます。この細い透明なガラスの橋がね。ファングーさんは、焦りの余り橋から飛び出してしまった。認めたくはありませんね。彼自身の若さゆえの過ちである事を……」


 メレッドはゆっくりと透明の橋を進んで行く。そして、メレッドは透明の橋を渡りきった。


「何が言いたいのかはわかりませんが、メレッドさんの勝利です。キュードランドは遂に陥落したのです 」


 壺を持った右手を、高々と突き上げるメレッド。


 ひゅ〜


 ドカン!!


 メレッドの全クリアを祝う様に花火が上がる。



 ひゅ〜


 ドカン!!



 ひゅ〜


 ドカン!!



「エンディング、ハジマル……」


 透明の橋を渡り終えたメレッド。その前に現れた巨大な扉がゆっくりと開く。


 薄暗い室内にはアンティークな家具やら何やら置いてある。そして、室内の真ん中には棺桶が一つ。メレッドはゆっくりと慎重に近づく。蓋は閉まっていた。


「愚かなりキュードラ……こんな時に棺桶で眠っているとは……よろしい、永遠の眠りに着くが良いでしょう 」


 メレッドは左手を懐に入れて、懐のニンニクを取り出した。


「ふん!! 」


 ニンニクを握りつぶすメレッド。そしてニンニクまみれの左手に魔力を込める。


「吸血鬼最大の弱点、ニンニクエキス入りのメレッド砲を喰らえば、貴方はお終いです。

 さようなら、キュードラ……私は魔界秩序管理局の一員。魔界の秩序を乱す貴方を許す事は出来ません……しかし……キュードラ 愛の詩の続きが読みたかった……」


 シンミリと涙ぐむメレッド。涙をニンニクまみれの左腕で拭いて、刺激で更に涙が溢れ出す。目も真っ赤だ。


 その時、ふわりと風が吹いた。


 ばさっ


 メレッドの顔にどこからか飛んで来た紙が被さった。


「何ですか?この紙は……」紙をニンニクまみれの左手で掴んだメレッドは息が止まる。


「こ、これは……キュードラ 愛の詩の原稿……」


 メレッドは食い入る様に読み進んで行く。そして衝撃の展開に目が止まった。


「わ、私がキュードラ 愛の使徒に……」


 ギィッ……


 ギィッ……


 上の方から音がする。メレッドが上を見ると、薄暗い室内の高い天井からブランコが伸びている。そして、そこには優雅に座るキュードラがいた。


いつも読んで頂き、本当にありがとうございます。急に忙しくなってしまった事もあり、執筆時間が取れなくなってストックが尽きてしまいました。しばらくは週1回を目処に更新させて頂きます。何とぞ宜しくお願い致します。

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