外伝キュードラ愛の詩6
「ふふふ、私は何を隠そうキュードラ愛の詩の大ファンなのです。どんな問題が来ようと間違える事などありえません 」
「ソレナラ、シツモン。キュードラ アイノウタ、257ページ のキュードラのセリフ 」
メレッドは目を閉じて記憶を辿る。
「257ページと言えば、第3章辺り。キュードラが愛を求め荒野をひとり彷徨う章です。あぁ、情景が思い浮かびます……」
目を開くメレッド。
「そうだ。キュードラが月に語りかけるシーンです。『月よ、なぜ、お前は月なのか……エタール様を太陽とするならば、私も月。寂しく闇夜に浮かぶ、哀しい星……』でしょうか? 」
皆の視線がゴーレムに集まる。
「セイカイ。オマエ、スゴイ 」
「ふふふ、今、ここに居る、フォージュリー様以外の全員がキュードラ愛の詩のファンクラブ会員なのです よ。必ずやキュードラを連れ戻して、ちょいエロシーンを増やさせるのです 」
「そうだ!!俺の本にもサインをさせてやる!! 」
「俺、一生の宝物にするんだ!! 」
ウンウンと頷く局員達。1人でびっくりするフォージュリー。
「フォージュリー様、ここは我々、『キュードラ 愛の詩』ファンクラブにお任せを」
胸を張るメレッド。
「わ、わかりました。貴方達にお任せしましょう 」
「キュードラ 愛の詩 ファンクラブ会員ナンバー3、イヤービ、行きます 」
耳の大きな悪魔が前に出た。
「ワカッタ、ソレジャ、ゲーム、サイカイ 」
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「さすがイヤービさんですね。危なげなく3階に辿り着きました 」
「イヤービさんは若手のエース。大きな耳は伊達ではありません 」
3階の扉を開けると大広間に繋がった。そこには、左右に丸とバツが書かれた幕があった。
「遂に我々のキュードラ愛が試される時が来ましたね……」感慨深げなメレッドに、ウンウンと頷く部下達。
ピーガーと魔法音声が流れ出す。
「……質問が終わりましたら、10秒以内に正解の幕に飛び込んで下さい。それでは、第1問。キュードラ 愛の詩からの出題です 」
「ふっ……」
「エタール様は、キュードラを愛している。丸かバツか!!どうぞ 」
フルフルと震えるイヤービ。
「な、なんたる不敬……だが、それが良い。答えは丸だ!! 」
イヤービは丸の幕に飛び込んだ。
ピンホーン!!
丸の幕の内側には板が敷いてあり、踏みしめるように立っているイヤービ。
「『「『「ヒャッハー!!」』」』」
フォージュリーを除いて盛り上がる隊員達。
ちょっと待ちなさい。不敬罪で逮捕します、と言いたいが、言えないフォージュリー。
「第2問、キュードラ 愛の詩より出題。キュードラは、フォージュリー局長よりセクシー、丸かバツか、どうぞ!! 」
「愚問、答えは丸だ!! 」
イヤービは丸の幕に飛び込んだ。
ピンホーン!!
丸の幕の内側には板が敷いてあり、踏みしめるように立っているイヤービ。
「『「『「ウッヒー!!」』」』」
フォージュリーを除いて盛り上がる隊員達。
「フォージュリー様、見てください。イヤービ君の勇姿を、彼が、彼こそが真実の勇者です!! 」
フォージュリーは、腰を捻り手を当てていた。
「フォージュリー様、何を? 」
「な、なんでもありません 」
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「キュードラの事で、俺が知らぬ事など無い!!答えは丸だ!! 」
乗りに乗って立て続けに正解を選ぶイヤービ。遂に最後の10問目に到達した。
「第10問、最後の問題です。キュードラ 愛の詩より出題。貴方はちょいエロシーンを増やしたい 」
「な、なんと愚かな……ちょいエロシーンなど不要。答えはノーだ!! 」
バツの幕に飛び込むイヤービ。
「え……」
バツの幕の向こうには板が無かった。深い虚空の穴に吸い込まれるイヤービ。
「え〜〜〜〜〜〜 」
ガチャーン!!
BAD END
〜残念〜の文字が浮かび上がり、画面が暗くなった。
静まり帰る局員達。
「ちょ、ちょっと待って下さい。イヤービさん、本人がノーと言ったのに、なぜ不正解になっているのですか? 」
「そうだ!!ズルだ!! 」
「英雄イヤービを返せ!! 」
水晶玉に向けてクレームを入れる局員達。
「オマエタチ……ナニモ、ワカッテ、ナイ。オレ……カナシイ……」
ゴーレムは哀しい目で皆を見渡した。