表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/196

外伝 キュードラ 愛の詩5

「ゴ、ゴーレムさん、貴方、何を笑っているのですか? 」


「ミテレバ、ワカル。ウフフフフ……」


 羽の生えた8つ目の魔族が前に出た。

「私は、魔界秩序管理局 係長のエイング。さぁ、その指輪を返して頂きましょうか。それはエタール様から局長が拝領した宝物。狼男風情が持って良い物ではありません 」


 狼男のリーダーは、ちょっと待ってという感じで、手を前に突き出した。


「えーっ、本部、本部。魔界秩序管理局 係長のエイング様より、キュードランドのゴーレム様からお預かりの指輪を寄越せとの要望あり、返答求む 」

 腕時計のような魔法具に語りかける狼男。


「えーっ、責任者に確認を取ってくる。エイング様に少しお待ち頂くように伝えて頂きたい 」

 魔法具から返答が来た。


「了解 」


「え〜、今のは何でしょう? 」


「すみません。現場には権限が無いんです。ちょっと待って頂いて宜しいですか? 」


「わかりました。我々は紳士。不要な争いは望みません。指輪さえ戻れば良いのです 」

 鷹揚に構えるエイング。大人の対応である。


「ありがとうございます。それでは返事が来るまで、少々お待ち下さい 」

 そう言うと、狼男達は棍棒の先を、キャップの蓋を開く様にクルクルと回しだした。


 パカッ


 棍棒の上部が取れる。蓋の様に取れた上部をポケットに入れる狼男達。


 何だ、あの棍棒、中が空洞みたいだ。あんなスカスカじゃ痛くないぞ、と思う魔族達。


「えー、本部より返信。エイング様には大人しくお引き取りを願うとの事。あとは一任する。頼んだ 」


「え…… 」


「すみません。お引き取り頂く事になりました 」


「くくく……ふざけおって。貴方達は既に包囲されているのですよ。我々、上位魔族の力を思い知らせてくれましょう 」


 エイングは仲間の魔族達を見渡す。


「行きますよ!! 」


「『「『「おう!! 」』」』」


 一斉に襲い掛かる魔族達。狼男達にあと一歩と迫った瞬間だった。


 ブァサァァ


 狼男達が中が空洞の棍棒を振り下ろすと、網が発射されて魔族達に絡みついた。もがけばもがくほど絡みつく網。


「一丁上がり 」

 リーダーの狼男が満足気に頷く。


「な、なんなんですか?この網は 」

 網から顔だけ飛び出したエイングが聞いてくる。


「王国技術部のノーミズ博士のグループが開発した魔族捕獲ネットです。魔力阻害繊維が練り込まれているので、力が出せないでしょう 」


「くっ……」


「それに動けば動くほど絡まるし、ネバネバ接着成分が出ますので、逃げられませんよ 」


「エイング様、チ、チカラが出ません 」

「ま、魔法が発動しない……」

「ネ、ネバネバします……」


「それでは、王様連盟の憲兵隊に引き渡しに行きますか……」


「『「フォ、フォージュリー様〜っ!! 」』」


「仕方ありません。皆さん、助けに行きますよ!! 」


 ダダダっとゴーレムがフォージュリーに駆け寄る。


「ダメ……ウルドラ、ケイビタイ、ツヨイ……」

 ゴーレムがフォージュリーに抱きついた。


「ゴーレムさん……」


「キット、ミンナ、ツカマル。オマエタチ、キュードラ、タオス、モクテキ……」


「くっ……確かに、我々はキュードラの首が最優先ではあります 」


「ダイジョウブ、キュードラ、タオス。スベテ、オッケー 」


「しかし……仲間達が……」


「ダイジョウブ、ホシャクキン、ヒトリ、1センマンG……オマエタチ、ナラ、キット、オッケー 」


「え……? 」


「フォ、フォージュリー様、ウルドラ警備隊が去って行ってしまいました……」

 メレッドが悲しい顔で告げた。


「くっ、こ、このゴーレム……」


「オレ、タオス、イミナイ。プロフェッショナル、ユウセン、ジュンイ、マチガエナイ……」


「ムキーッ!! 」

 その場で地団駄を踏むフォージュリー。


「ムキーッ!! 」

「ムキーッ!! 」

「ムキーッ!! 」


 フォージュリーに続いて、地団駄を踏む部下達。


「ダイジョウブ、3カイ、チリョク、タメサレル。デモ、モンダイ、ダイタイ、イツモ、オナジ 」


「え? 」


「シュッダイ、ハンイ。キュードラ、アイノウタ 」


ゴーレムは一冊の本を差し出す。


「コレ、キュードラ、アイノウタ、ゲンテイ、サインボン。セカイニ、イッサツ 」


「げ、限定、サイン本……」


「ソウ、オレ、テバナシ、タクナイ……デモ、オマエタチ、ガンバッタ。オレ、カンドウ……ダカラ、1センマンGデ、トクベツニ……」


ふらふらと本に手を伸ばすフォージュリー。


「フォージュリー様!! 」

メレッドが声を上げる。


「キュードラのサイン本なんかに1千万Gなんか払っては駄目です!! 」

メレッドが止めに入った。


「しかし……」


「大丈夫です。私はキュードラ 愛の詩を暗記するほど愛読しております 」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ