外伝 キュードラ 愛の詩4
「フォージュリー様、ここは払いましょう。キュードラさえ倒せば問題ありません 」
メレッドの言葉を聞いて、フォージュリーは頭を冷やした。そ、そうだ。後で取り返せば良いのです……し、仕方がありません……エタール様から拝領した……お、オリハルコンの指輪なら……しかし……この指輪を無くしたら……私も処罰されてしまう……
フォージュリーの動きが止まった。
「フォージュリー様!! 」
メレッドが激励する。
ハッとするフォージュリー。
「ゴ、ゴーレムさん。さすがに1億Gの持ち合わせはありません。代わりに、このオリハルコンの指輪では駄目ですか?1億を上回る価値がありますよ 」
ゴーレムは指輪を受け取ってジロジロと見る。
「マイドアリ……」
頭がパカっと開いて、指輪を入れて閉じるゴーレム。
フォージュリー達の視線がゴーレムの頭に集まる。キュードラを倒したら、次はオマエの番だ。皆の心が一つになった。
その後、フォージュリーは リアルタイム視聴を活かして、局員を犠牲にしながら情報を集めて、難関を一つずつクリアして行ったのである。
「ふふふ、2階クリア時点で、残り50人。ここまで、来れば後一息です。しかも残るは選りすぐりの最精鋭。もはや勝負は決まりましたね 」
「3カイ、チリョク、タメサレル……デモ、オマエタチ、スゴイ、キット、ダイジョウブ 」
「ゴーレムさん……」
「そうだ!!俺達なら出来る!! 」
「魔界秩序管理局〜!!ファィッ!! 」
「『「『「ファィッ!!」』」』」
「スゴイ!!オマエタチ、スゴイ !!オレ、カンドウ 」
盛り上がる局員達。見守るフォージュリーは内心でほくそ笑んだ。
見事です、皆さん。これでアコギなゴーレムも油断するでしょう。ククク……所詮はゴーレム。最上級魔族の私の相手ではありません。
ブァサ……
「ん?何の音ですか? 」
フォージュリーは辺りを見渡す。
ブァサ、ブァサ……
「オオ、キタ。サスガ、ハヤイ。オレ、カンドウ 」
頭をパカッと開けて、オリハルコンの指輪を取り出すゴーレム。
武装した大きな飛竜が3体、上空から降下してくる。
「お待たせしました。ウルドラ警備輸送です 」
ヘルメットに棍棒を装備したムキムキの狼男達が飛竜から降りて、ゴーレムの前に来た。
「キョウノ、シュウカク 」
ゴーレムは指輪を差し出す。
「こ、これは……」
「ウフフ……オリハルコンノ、ユビワ 」
「これは凄いですね。初めて見ました。今、魔法で鑑定するので、ちょっと待って下さいね 」
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「本物ですね。魔法効果も付与されています。ざっと3億G以上の価値はあります 」
「ウフフフフ……」
「相変わらず儲かっているみたいですね。ハイ、魔法データで登録した受け取り証です 」
ムキムキの狼男は指輪を保管BOXに入れて、再び飛び去って行った……
「ウフフ、オレ、ハッピー 」
「ちょ、ちょっと待って下さい。い、今のは何ですか? 」
「ン……アレ、ウルドラ、ケイビ、ユソウ。シュウカク、ギンコウニ、ユソウ。コレデ、アンシン。オレ、ハッピー 」
「う、ウルドラ警備輸送? 」
「ウルフンサマ、リュウオウサマ、キョウドウ、セツリツ。ケイビ、ユソウ、プロフェッショナル 」
「え……」
フォージュリーの顔が青ざめる。メレッドがフォージュリーの前に出た。
「貴方達!!ウルフンは敵です。ならばウルドラ警備輸送も敵です。逃してはなりません!!指輪を奪い返すのです!! 」
「『「『「はっ!! 」』」」
一斉に飛び立つ40人ほどの上級魔族。猛スピードで上空の飛竜に向かう。
「メレッドさん……」
「フォージュリー様、上級魔族の最精鋭を残しておいた甲斐がありましたな。彼らは飛竜より早い。棍棒で武装した狼男など敵ではありません 」
「そうですね。彼らならきっと大丈夫ですね 」
フォージュリーとメレッドは遥か上空を見上げた。上級魔族達は飛竜のブレスを躱して、飛竜達を包囲している。
「棍棒を装備するなど原始人のような奴らですね、フォージュリー様 」
「ふふふ、野蛮な狼男達など一蹴です 」
メレッド「うふふ 」
フォージュリー「ふふふふふ 」
ゴーレム「フフフフフ……」
メレッド、フォージュリー「え? 」